家を買わないようにアドバイスすることがあります
「マイホームが欲しい」
それは多くの人が持つ夢です。そのための頭金を貯めたり、情報収集を続けたりしている人が多いですよね。長岡FP事務所のような住宅購入を専門分野とする専門家のところにも、数多くの人が相談に訪れています。
しかし、専門家として、必ずしも夢の実現を応援するというわけではありません。
「今はちょっと止めておきましょう」と言うこともあります。
それはどういうケースなのか、この記事で説明していきます。
基本的に家は誰でも買えますが・・・
銀行が住宅ローンを貸してくれる、あるいは、預貯金がたくさんある場合、家を買うのは誰でも可能です。
あまり難しいことではありません。
たとえ年収が300万円以下だとしても、2,500万円程度であれば銀行は貸してくれるはずです。土地込み2,500万円の物件は、地方都市ではまだたくさん見つかります。親からもらった土地があるというのであれば、十分間に合うでしょう。
問題は、買えるか買えないか、お金を借りれるか借りれないか、ではないのです。
家を買ってはいけないと筆者が言うのは、収入の問題ではありません。
家を買ってはいけない5つのケース
具体的に代表的な5つのケースを解説していきます。ちょっと厳しい言い方になります。
夫の実家の敷地内に家を建てる場合
筆者がとにかく全力で全否定するのが、これです。
地方では実家の土地が200坪以上あるケースもめずらしくありません。どうせ余っている土地なのだから、実家の敷地内に建てようと夫が言い出すことがあるのです。
土地がタダだし、お金の節約になるよ?という理由なのですが・・・
筆者が見てきたケースでは高確率で大失敗します。
その理由はたくさんありますが、ふたつ挙げると・・・まず、夫が若くして亡くなってしまったら、妻はもうその家には住めないと思ってください。敷地内の両親にとって、妻は赤の他人です。孫が生まれていたとしても、あなたがそこに住み続けることはよく思われません。
仮に住み続けたとしても、その家で再婚は難しいでしょう。再婚時に違う家に住むとしたら、夫の実家の隣の家は売却することになります。これ、夫の両親からしたらどうでしょうか。実家の敷地内の家が他人に売られてしまうということです。
そもそも妻が、家を建てる時に既に再婚で子供もいたとしたら、夫の両親はすぐに出ていくように願うはずです。将来的に赤の他人である妻が実家を相続することになり、夫の親族とトラブルになるのが目に見えています。
また、敷地内同居は、二世帯住宅と同じく両親との関係が悪化することがめずらしくありません。同じ建物に住んでいなくても、若い夫婦の一挙手一投足が気になって、文句を言う両親は多いのです。
「両親はそんな人じゃない!」と夫は言うかもしれませんね。残念ながらその感覚は幼いとしか言えません。両親が悪いのではありません。人はみな聖人ではないのです。
極端な僻地に家を建てる場合
予算が限られているからといって、坪単価1万円といった激安の土地を選択するケースがあります。
100坪買っても100万円であれば、資金計画はかなり安く住むでしょう。
しかし、その資産価値はどうでしょうか?もし家を売ることになったとき、その家は売れるのでしょうか。スーパーも、学校も、病院も、ガソリンスタンドもないような僻地の家を買う人が現れることはめったにありません。
地方では人口がどんどん減っていきます。いまよりも便利になることはありません。廃れていく僻地では、あまりよろしくない人たちに家を貸す人も増えます。治安が悪くなっていく中で一生住み続けることは難しいでしょう。
安物買いの銭失いは、家づくりでは洒落になりません。
維持費を無視して「ハイスペックな家」を欲しがる夫
これは男性に多いのですが、住宅の性能(スペック)の数字に夢中になってしまうパターン。まるで洗脳でもされたかのように、住宅メーカーの性能数値に溺れてしまいます。
残念ながら、その数値は体感できないことがほとんどです。光熱費に有意な差があることも少なく、自己満足に近いことも。スペックが差別化だと信じている住宅メーカーや工務店は多く、その数値は体感できないと指摘するとムキになって怒る人もいます。
しかし自動車の馬力のスペックと日常の使いやすさがイコールでないことと同じでしょう。
一方で、その性能数値は高額な設備で実現してはいないでしょうか。設備は交換の時期が来ます。半永久的な機械は存在しません。維持費に追われる高性能住宅を欲しがってはいませんか。
落ち着いてください。あなたの妻はどんな家が欲しいと言っていますか。耳を傾けましたか?動線が優れた水回り、日当たりのいいリビング、広いクローゼット、お洒落なインテリアなどではなかったでしょうか。
夫が性能数値に溺れ、まるで中学二年生にように理屈っぽくなっている場合、筆者はいったん落ち着くようにアドバイスしています。そのままでは妻からの信頼を失います。それに加えて高額な維持費をイメージできないのであれば、数年延期して頭を冷やしてください。
夫婦のコミュニケーションがうまくいっていない
夫婦のコミュニケーションが足りない、もっというと、夫婦仲が悪いのに家を欲しがる人も多くいます。
筆者の経験では決して少なくありません。家の商談なのに夫婦はまともに口をきかず、お互いが小馬鹿にしたような態度をとってみたり。挙句の果てには、夫婦2人で商談に行かなくなり、妻だけ、あるいは夫だけが毎回打ち合わせにやって来るなど・・・
商談中に離婚した夫婦さえいます。建築途中で離婚した人まで。なぜ家を欲しいと思ったのか不思議でなりません。
友達や同僚が家を買ったから自分も欲しい、という理由の人も結構います。自分は自分です。冷静になりましょう。まずは夫婦のコミュニケーションを取り戻すよう、お互い大人になることが先です。
住宅営業マンとコミュニケーションができない人
これは地方に非常に多い特徴です。
住宅営業マンに対してなぜか警戒心を持ったまま家の商談をしているのです。その理由を尋ねると、「営業マンは口が上手いから信用しない」のだとか・・・
それであれば、もう、家を買うのはやめましょう。あなたの家づくりをお世話してくれるコンシュルジュが営業マンです。もちろんやる気のない営業マンもいますが、最初から腹を割って話せないのであれば、お互いに不幸です。
営業マンは販売担当者であって、詐欺師ではありません。ビジネスマンであって社会人です。営業マン=悪い人、と決めつけて関わるのは失礼でしかありません。残念ながらこれはローコストの家を買う人に目立つ心理的特徴で、高価格帯の住宅メーカーでは、そのようなことを言うお客さんは皆無です。
安い価格の住宅を喧嘩腰で商談して手に入れて、営業マンの人権を踏みにじっても平気な顔、それで自分に幸福な生活が待っているはずがありません。家の商談の在り方には人生への向き合い方が現れてしまうのです。一度、家づくりはやめましょう。営業マンと対等な関係を築けるくらいに成長したら、再開してもいいはずです。
これらに共通するものは
これらに共通するものは、そのままでは家族が幸福にならない、ということに気づいていないことです。決して収入や住宅ローン審査の話ではありません。
収入が低くても、家族が仲良く、気配りと思いやりがあるのであれば、小さな家を買っても幸せに暮らせるでしょう。
しかし家族のコミュニケーションが不全であれば、どんな家を買っても不幸がつきまといます。
目先の損得や、イニシャルコストにばかり目がいき、「なぜ家を買うのか」という思いの部分が言葉にできていない人は、少し注意です。どうして家がほしいのですか?という質問に答えられる夫婦の家づくりは大成功し、答えられない夫婦は決して満足できない買い物になってしまいます。
家を買う時は夫婦でたくさん会話をしてください。
家とは、家族の在り方そのものです。家族のことを思いやって家を買おうとしていなければ、筆者は家の購入を全力で止めています。
厳しいことを言いましたが、「家」は大人の買い物です。


























