【断熱材の火災リスク比較】燃えやすい種類はどれ?有害ガスの危険性と後悔しない選び方

断熱材 燃えやすさ

小さな家なのに、なぜ火災になると逃げられないのか

住宅火災のニュースを見ると、不思議に思うことはないでしょうか?

高齢者でもないのに、30代、40代の若い人が、なぜ外に逃げることができなかったのか、掃き出し窓や玄関などから急いで外に逃げることはできなかったのか・・・?

この原因の一つが、断熱材の燃焼です。断熱材が燃えた時に発生する有毒ガスによって、身体が動かなくなることがあるせいです。

 マイホームの断熱材を選ぶ際、断熱性能(UA値)ばかりにに意識が向きがちですが、火災の時に断熱材がどのような影響を及ぼすかという点も、安全のためには非常に重要です。

この記事では、火事という切り口で断熱材を比較してみたいと思います。

【比較表】主要な断熱材の可燃性と有害ガスリスク

まずは、代表的な断熱材の特性を一覧で比較しましょう。

断熱材の分類種類燃えやすさ(耐火性)有害ガスのリスク
無機系グラスウール燃えないなし
無機系ロックウール燃えないなし
木質系セルロースファイバー燃えにくい(炭化する)低い
合成樹脂系ネオマフォーム(フェノール)難燃(炭化して延焼抑制)発生しない
合成樹脂系ウレタンフォーム燃えやすい極めて高い(シアン化水素)
合成樹脂系スタイロフォーム(ポリスチレン)燃えやすい高い(一酸化炭素・黒煙)

断熱材の燃焼特性

それぞれの断熱材が火に対してどう反応するのでしょうか。

① 無機系(グラスウール・ロックウール)

ガラスや岩石を原料とするため、物理的に燃えません。高温で溶けることはあっても火種にはならず、煙も出さないため、防火性能において最も信頼できるグループです。

② セルロースファイバー

紙が原料ですが、ホウ酸処理により高い防炎性を持ちます。火が当たると表面が「炭化」して層を作り、酸素を遮断して内部への延焼を遅らせる特性があります。

③ ネオマフォーム(フェノール樹脂)

プラスチック系断熱材の中で、火に強いのが特徴です。炎が当たっても溶け落ちず、炭化して形状を維持します。最大の特徴は、シアン化水素などの猛毒ガスを発生させない点にあります。

④ ウレタン・スタイロフォーム

石油を原料とするため、基本的には「可燃物」です。火がつくと激しく燃え、大量の煙を発生させます。ウレタンフォームは特に有毒ガスを発生させます。

そのため、建築基準法では石膏ボードなどの不燃材で覆い、直接火が触れにくい施工が義務付けられています。

しかし石膏ボードがあっても火災の進行を遅らせる効果しかなく、完全な遮断効果はありません。

炎よりも怖い、有害ガスの正体

火災における死亡原因の多くは熱傷ではなく、ガスの吸入による中毒や窒息です。断熱材の種類によって、人体への作用が異なります。

シアン化水素(青酸ガス)

主にウレタンフォームの燃焼時に発生します。

  • 作用: 吸入すると細胞の酸素利用を即座にブロックします。
  • 影響: 「呼吸をしているのに細胞が窒息する」状態になり、わずかな吸入でも意識を失い、短時間で心停止に至る極めて凶悪な毒性を持っています。

このため、ウレタンフォームを使用した住宅が火事になった場合、住人が死亡する可能性が他の断熱材を使用した場合よりも高くなります。

一酸化炭素(CO)と黒煙

スタイロフォームの燃焼時に顕著です。

  • 作用: 血液中で酸素を運ぶヘモグロビンと強力に結合し、全身を酸欠状態にします。
  • 影響: 無味無臭のため気づかぬうちに判断力が低下し、体が動かなくなります。同時に発生する大量の黒煙(スス)が視界も奪い、避難パニックを引き起こします。

断熱材選びは、断熱性能だけでなく、「火災時の生存可能性」も真剣に考える必要があります。

後悔しないための断熱材選び

安全性という切り口から断熱材を選ぶときのポイントを紹介します。

まずはグラスウールを検討

安全性を最優先するなら、不燃材であるグラスウールやロックウールが第一候補となります。

グラスウールは昭和から平成初期に施工不良が多発したことと、もっと高い断熱材を売りたい業者のポジショントークに晒されているため、消費者も難色を示す人が多い傾向があります。しかし、燃えにくいうえにシロアリにも強く、施工がちゃんと出来れば非常に頼もしい断熱材です。

日本の最大手ハウスメーカーがグラスウールを採用していることからも、高い信頼性があります。

プラスチック系なら「フェノール樹脂」を検討

高い断熱性能と安全性を両立したい場合、延焼を抑え有毒ガスを出さないフェノール樹脂(ネオマフォーム等)が有効な選択肢です。

「省令準耐火構造」に適合させる

火災に強く、火災保険料も安くなる「省令準耐火構造」にするには、断熱材の種類に応じた施工が必要です。

ウレタン・スタイロ等の可燃性断熱材を使う場合は、室内側に厚さ12.5mm以上の石膏ボードを貼る、あるいは断熱材との間にファイヤーストップ材を設けるなど、住宅金融支援機構が定める基準を満たす必要があります。

また、壁や天井だけでなく、軒裏を防火構造にしたり、火の通り道となる壁の内部に「防火区画」を設けたりする設計が求められます。

黒煙と有毒ガスで逃げられなくなる

断熱材選びは、単なる省エネ性能の比較ではありません。万が一の時、有毒ガスを吸わずに避難できる「数分間」を稼げるかどうかが重要です。

住宅会社に「この断熱材は燃えた時にどんなガスが出ますか?」「省令準耐火にするための施工方法は?」と一歩踏み込んだ質問をすることで、より安全な住まいづくりに繋がります。

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