ぺアローン・・・結構無茶ですよ・・・
夫婦の収入を合算してより多くの融資を受けられる「ペアローン」。
価格が高騰するマイホームの夢を叶える強力な味方ですが、もしもの離婚時にはその契約形態が新しい人生の足手まといとなります。
ぺアローンを組んで離婚した場合、多くは自宅を失います。東京都心の一部のブランドマンションでもない限り、離婚後は夫婦ともに大きな借金だけが残るでしょう。第二の人生は大借金を抱えて苦難の船出となります。
ぺアローンは、夫婦が助け合って自宅を購入し、夫婦共有名義にするという部分だけを抜き取ると男女平等で素晴らしい契約形態です。しかし残念ながらぺアローンを組む夫婦の多くは、「ぺアローンでなければ必要な額の融資が受けられないから」という理由です。
住宅専門FPである筆者から言わせていただくと、安全にぺアローンを借りている世帯はごくわずかです。圧倒的多数は、「無茶な大借金」になっています。
ぺアローンには離婚以外のリスクも潜んでいます。特に妻が定年退職まで働き、退職金ももらえる前提でライフプランを計算している人が多すぎるのです。住宅メーカーと提携するFPも住宅営業マンも、家の契約と保険の契約が欲しいがあまりに、無責任なライフプランを作っているのが現状です。
施主としても家を買う時は夫婦ともにまだ若いため、自分が中高年世代になった時のことを想像できません。
定年退職まで正規雇用で働く女性は、数パーセントにすぎません。多くの女性は50歳程度を境に正社員を辞め、パート勤務になっています。これは男女間の体力差もあるし、男性主体の社会構造も原因として考えられるでしょう。女性が65歳まで正社員として働けるのは、公務員、大手企業勤務、専門職などが中心です。
将来の収入を甘く見通してぺアローンを借りているケースが多く、今後は離婚や収入減で大きなトラブルを抱える光景をよく見ることになるかもしれません。
この記事では、ペアローンを組んだ夫婦が離婚する際の手続きについて、住宅専門のFPが解説していきます。これからペアローンを借りる予定の方は、ぜひ最後までご覧ください。
【ぺアローン離婚】離婚が決まったらまずやるべきこと
ペアローンを組んだまま離婚する場合、感情的な対立は一旦脇に置き、契約に基づいた冷静な話し合いと作戦会議が必要です。(さっそくここから躓いている人が多い)
1. 金融機関への報告
まず、ローンを借り入れている金融機関に離婚の事実を報告します。ペアローンの契約条件には、多くの場合「契約者双方がその家に居住すること」が含まれています。離婚してどちらか一方が家を出ることは、この契約条件に違反する行為です。ペアローンとは、「離婚しないのでお金を貸してください」という条件の下で融資されているのです。
意図的に報告を怠ると、その悪質性もあってローンの一括返済を求められます。
2. 夫婦間での話し合い
次に、購入した家と住宅ローンを今後どうするのか、夫婦間で冷静に話し合う必要があります。主な論点は以下の通りです。
- 家を売却するのか、どちらかが住み続けるのか
- 住み続ける場合、ローンを借り換えて一本化できるのか
- ローンを借りかえれない場合は家を売却するしかない
- 売却しても借金が残る場合があるが、相手の借金を肩代わりはできない
これらの話し合いは非常にハードです。
感情論が先に立ち、冷静な結論を出せる夫婦は多くありません。
これらの話し合いで合意した内容は、後々のトラブルを防ぐためにも、必ず「離婚協議書」や、より法的な拘束力の強い「公正証書」として書面に残しましょう。
ペアローン離婚、2つの選択肢と手続き
ペアローンを組んだ家を離婚時にどう扱うか、主にふたつの選択肢があります。
選択肢1 家を売却してローンを完済する
最もシンプルで後腐れのない方法は、家を売却し、その売却代金で夫婦それぞれの住宅ローンを完済することです。
アンダーローン(売却価格 > ローン残高)の場合
ローンを完済しても手元にお金が残る状態です。残ったお金は財産分与の対象として、夫婦で話し合って分割します。
オーバーローン(売却価格 < ローン残高)の場合
家を売ってもローンを完済できず、借金だけが残る状態です。不足分は預貯金などの自己資金で補填する必要があります。もし自己資金を使っても完済できない場合は、金融機関の許可を得て任意売却という手続きを取れることがあります。
これは、「借金を完済していないけど、家を売っても残った借金を夫婦が離婚しても払っていくのであれば、抵当権を外してあげます」という制度です。
家もないのに借金返済は続くので、第二の人生はスタートから躓くことになります・・・
選択肢2 どちらか一方が住み続け、ローンを支払う
子供の学区を変えたくないなどの理由で、どちらか一方が家に住み続けることを選択する場合、手続きはより複雑になります。
ケースA そのままペアローンを継続する
離婚後も、元夫婦がそれぞれローンを支払い続ける方法です。しかし、これは金融機関との契約上、違反行為です。金融機関に嘘をついて隠し続けるということです。
また、さらに大きなトラブルが発生する危険もあります(後述)
ケースB 単独名義への借り換え(一本化)
家に住み続ける側が、相手の分のローンもまとめて引き受け、新たに単独名義の住宅ローンを組む方法です。これができれば、出ていく側はローン返済の義務と連帯保証人の立場から完全に解放されるため、最も理想的な解決策と言えます。
ただし、これができないのでぺアローンを借りているわけですから、不可能に近いです。「1人でも融資を受けられたが、あえてぺアローンにした」というケース以外は、望みはありません。
【最悪は自己破産】ぺアローンを継続した場合の人生転落リスク
離婚協議の場で、家に残る配偶者が「あなたの分のローンも私が責任を持って払うから」と約束するケースは少なくありません。
出ていく側としては、それで関係が清算できるならと安易に合意してしまいがちですが、この約束には非常に大きなリスクが潜んでいます。
口約束は金融機関に通用しない
たとえ公正証書で「住宅ローンは家に残る〇〇が全額支払う」と明記したとしても、それはあくまで元夫婦間の約束事に過ぎません。金融機関とのローン契約が変更されたわけではないため、法律上の返済義務は出て行った側にも残り続けます。
金融機関にとっては、「離婚したからとか別に関係ないので借金は毎月返してくださいよ。返さないなら追い込みますよ。」ということです。
もし、家に残った元配偶者の支払いが滞れば、金融機関は契約通り、連帯保証人であるあなたに容赦なく請求してきます。「元妻(元夫)が払う約束だった」という言い分は一切通用しません。
返済できないのであれば、残債を一括請求された挙句、競売にかけられるまでです。
新しい人生に傷がつく
元配偶者がローンを幾度となく滞納し、あなたに一括返済の請求がくるとします。もし新しい配偶者と第二の人生を歩んでいるとしたら、そこに数千万円もの一括返済の請求が舞い込んできたらどうなるでしょうか。
当然ながら自己破産となることが多いでしょう。住んでもいない家のことで、元配偶者が借金を滞納したばかりに突然自己破産を余儀なくされるのです。
新しい夫婦関係にも傷がついてしまいます。借金を抱えて結婚していたこともバレてしまい、信用を失うことになります。当然、第二の人生では住宅を購入することは難しくなります。
家に残った元配偶者が亡くなった場合
家に残った元配偶者が死亡した場合、その人の分のローンは団信で完済されますが、あなたのローン返済義務は依然として残ります。元配偶者が死亡しているため、あなたの肩代りで返済を続けている人はいなくなるのですから、返済義務は債務者であるあなたです。
また、その場合、その物件の相続問題はかなり複雑になります。元配偶者の持分は親族に相続されます。あなたは赤の他人と、住んでもいない家を共有名義で所有し、なおかつ借金の返済もしなければなりません。
相続した親族は、あなたに、元配偶者のものだった持分を買い取ってくれと迫ってくるかもしれません。もしそれが、元配偶者の実家の隣だったとしたら?買い取れるだけの資金があったとしても、欲しくはないでしょう。
どうすればいいのか?
ペアローン離婚のリスクを回避するためには、安易な口約束に頼らず、法的な手続きをきちんと踏むことが不可欠です。
最優先は「借り換え」を目指すこと
時間はかかり、審査も厳しいですが、家に住み続ける側の単独名義への借り換えが最も安全な方法です。複数の金融機関に相談してみましょう。
借り換えが無理なら「売却」を検討する
借り換えが困難な場合は、オーバーローンの可能性も考慮しつつ、家の売却を現実的な選択肢として検討しましょう。財産関係を清算することが、将来のリスクを断ち切る最善策です。
やむを得ずローンを継続する場合は「公正証書」
どうしても売却も借り換えもできず、元配偶者の支払いを信じるしかない場合は、せめて専門家(弁護士や司法書士)に相談の上、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しましょう。これにより、万が一支払いが滞った際に、裁判を起こさずに相手の給与などを差し押さえることが可能になります。ただし、これはあくまで元配偶者への対抗策であり、金融機関を欺いていることは自覚してください。
元配偶者に対して、自分を受取人にした生命保険に加入してもらう
ローンを継続する場合に必要です。元配偶者がもし亡くなった場合、団信で保障されない部分の返済ができるように、死亡保険に加入してもらいましょう。ただし離婚した後では保険金の受取人になれません。離婚手続きを行う前に生命保険への加入をします。
ぺアローンのリスクを正確に分析できる専門家に相談してください
ペアローンは、夫婦が協力してマイホームを手に入れるための有効な手段ですが、離婚という事態に直面した途端、複雑なトラブルになります。
ぺアローンを検討している場合は、必ず住宅専門のファイナンシャルプランナーに助言を求めてください。




























