【完全版】住宅ローン団信の「労働制限」とは?脳卒中・急性心筋梗塞での60日ルールをFPが解説

三大疾病団信 60日ルール

三大疾病に罹患した時の住宅ローンのこと

住宅ローンを借りる時、多くの人が金利にばかり注意が向いています。

しかし、FPとして数多くの相談を受けてきた私が、金利と同じくらい重要視しているのが「団体信用生命保険(団信)」の条件です。

団体信用生命保険については、こちらの記事を参照してください。

この団信、実は・・・

日本人の死因上位を占める「三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)」についての保障内容が、銀行によって天と地ほどの差があるのです。

「三大疾病になったらローンがチャラになるんでしょ?」と軽く考えていませんか?

実際はそう甘くありません。罹患しても保障が適用にならないケースが多々あります。

がんの場合は上皮内ガンは適用対象外ですし、脳卒中や急性心筋梗塞では罹患だけでは適用になりません。

「脳梗塞を起こし一命を取り留めたのに、数千万円のローンはそのまま残る」という事態が起こりうるのです。

この記事では、青森県民がよく利用する主要金融機関(青森みちのく銀行、岩手銀行、東北ろうきん、JA、ネット銀行など)を実名で挙げながら、団信の「発動条件」を徹底解説します。

「労働制限(60日ルール)」というハードル

まず、団信選びで絶対に知っておかなければならないポイントについて解説します。

それは、住宅ローンのパンフレットに小さく書かれている以下の文言です。

【急性心筋梗塞・脳卒中の支払い条件】 「医師の診療を受け、60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと診断されたとき」

つまり、急性心筋梗塞や脳卒中に罹患しても、60日以上労働の制限がなければ保障は適用されないというルールです。

「労働制限」の定義

「労働の制限」と聞くと、「今まで通りのペースで仕事ができなくなることかな?」と思うかもしれません。しかし、保険約款上の定義はもっとシビアです。

一般的に、以下の状態を指します。

  • 本来の業務だけでなく、事務作業や軽作業もできない。
  • 家事すらも医師から禁じられている。
  • 入院、または自宅療養で絶対安静の状態。

つまり、「退院して自宅にいるけれど、会社には行かずにリモートワークでメールチェックをしている」という状態は、労働制限とはみなされない可能性が高いのです。

急性心筋梗塞や脳卒中の場合、実は60日以内に職場に復帰できる、あるいは復帰の準備が現実的にできているという、軽い症状の人も大勢います。

その場合は団信は効かないということです。

軽度の症状もありうる

医療は大変進歩しています。

かつて心筋梗塞や脳卒中は、長期間の入院を余儀なくされる病気でした。しかし現在は、カテーテル手術(PCI)や血栓回収療法などの低侵襲治療が普及し、軽度であれば入院期間は劇的に短縮されています。

【平均的な入院日数の目安】

  • 急性心筋梗塞: 順調なら 10日~14日 程度で退院
  • 脳梗塞: 軽度であれば 2週間~1ヶ月 程度で退院

もちろん、これらの病気は非常に重症になる可能性もあります。

脳卒中で重度の麻痺が残っている場合、入院期間は急性期と回復期合計で180日(半年)に及ぶこともあります。その状態であれば、60日の労働制限は現実的な条件となるでしょう。

重度の脳卒中の場合、就労そのものを諦めるケースが非常に多いです。

問題は、軽度の場合なのです。

軽度の脳梗塞では1カ月程度の入院で済み、退院後は特に労働制限がないことが多いです。しかし一か月の入院では、脳梗塞の原因となった高血圧や糖尿病を徹底的に改善することは難しく、再発の危険性が非常に高いのです。

脳梗塞を患った人は、長期の出張や単身赴任は不安から避けることになるでしょう。ストレスフルな昇進の話も断る人も大勢います。もう無理ができないのです。そうなると収入が下がることもありえます。

しかし、団信は適用になりません・・・。

手術をしていれば適用になるが・・・

60日以内の入院や療養でも、もし手術があれば団信は適用されるケースがあります。

「手術も適用条件に入っています!」とアピールする金融機関もありますが、冷静になりましょう。

よく考えると少々矛盾がある話です。

軽度の脳梗塞や脳出血で手術に至ることはまれです。仮に手術に至れば、療養期間は60日では済みません。

急性心筋梗塞では多くの場合、手術が行われますが、一部軽症の場合は薬物療法で対処できることがあります。手術を受けるほどであれば労働制限は60日以上になります。

ん?と思いませんでしたか?

「手術をするということは60日以上の労働制限は必ずある」というのが実情です。

軽度の罹患であれば、結局のところ団信は適用外です。

三大疾病団信は、重度の罹患の時に役に立つものと理解してほうがいいでしょう。

東北エリア主要銀行の三大疾病団信を比較しました

青森県にお住まいの方が検討する主な金融機関について、その裏側にいる「引受保険会社」の傾向から判定を行いました。

ネット銀行・フラット35

  • 住信SBIネット銀行(引受:カーディフ生命)
    • 条件: 「手術」 または 60日以上の労働制限
    • 特徴: 業界のスタンダードを作った存在。「全疾病保障(働けない状態が12ヶ月続けば0円)」が無料で付帯するなど、盤石の体制です。
  • auじぶん銀行(引受:クレディ・アグリコル生命)
    • 条件: 「手術」 または 60日以上の入院・労働制限
    • 特徴: 「がん100%保障」など、がんに対する強さに加え、入院日数(180日など)での保障もあり、非常に手厚いです。
  • 住宅金融支援機構 フラット35(引受:幹事生保)
    • 条件: 「手術」 または 60日以上の状態継続
    • 特徴: 「新3大疾病付機構団信」は手術要件をクリアしています。さらに、要介護2以上でチャラになる「介護保障」がついているのが公的機関ならではの強みです。

「手術」も適用になることをアピールしますが、少々矛盾があることは前述の通りです。

2. 東北労働金庫・岩手銀行

地元の頼れる金融機関も、ネット銀行に対抗して条件を大幅に改善しています。

  • 東北労働金庫(ろうきん)
    • 条件: 「手術」 または 60日以上の状態継続
    • 解説: かつては「ろうきんの団信は条件が厳しい」と言われた時代もありましたが、現在は改善されています。明治安田生命などが引き受ける「オールマイティ保障型」などは手術要件が含まれています。
  • 岩手銀行
    • 条件: 「手術」 または 60日以上の労働制限
    • 解説: 岩手銀行などの有力地銀は、地銀協の最新プランを採用しています。

3. JAバンク

JA(農協)の住宅ローンは手術要件はありません。

  • JAバンク(JA住宅ローン)
    • 条件: 60日以上の労働制限・後遺症(※プランによるが、手術要件がないケースが多い)
    • 引受: JA共済(全国共済農業協同組合連合会)
    • 解説: JAのバックボーンは「生命保険会社」ではなく「共済」です。そのため、民間の保険会社が「手術したら払います」と競い合っている中でも、独自の「状態継続基準」を維持していることが多いのです。
    • リスク: 短期入院で復帰した場合、保障されない可能性が他行に比べて高くなります。

手術要件がないからといって、劣っているというわけではありません。特に脳卒中において手術するほどの重症であれば、60日以内に退院できることは稀です。

青森みちのく銀行の場合

青森県民にとってのメインバンク、青森みちのく銀行(プロクレアホールディングス)について詳しく解説します。

合併により巨大化した同行ですが、団信のラインナップには「旧銀行の商品」や「複数の保険会社の商品」が混在しており、どれを選ぶかで保障内容が全く異なります。

「3大疾病団信」

  • 引受保険会社: 明治安田生命(地銀協団信)など
  • キーワード: 「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」
  • 発動条件: 「所定の手術」を受けたとき、または60日以上の労働制限
  • 解説: ネット銀行やろうきんと同等、「心筋梗塞でカテーテル手術をして、10日で退院した」という場合でも、このプランなら住宅ローンは0円になります。

三大疾病団信は加入すべきだが、違う手段もある

家族の脳卒中の治療を体験した筆者が、個人的体験から言うと、三大疾病は絶対にあると助かる制度です。ぜひ加入すべきとおすすめしています。

しかし、金利の上乗せは0.3%程度であり、決して安い負担ではありません。

今後金利が上昇していく中で、0.3%がさらに上乗せされるのは費用負担が大きすぎるのも事実です。

そのため、代替えとなる手段も選択肢に入れましょう。

民間の「医療保険」を活用する

民間の生命保険(医療保険)で、「三大疾病一時金」という保障を300万〜500万円程度と厚めに設定しておく方法があります。ローンは消えませんが、この一時金を当面の返済に充てることで、生活の破綻を防げます。

また、脳卒中によって身体障害者手帳の1級に認定された場合、生命保険から「高度障害保険金」が支払われる可能性があります。住宅ローン以上の保障額である場合は、その保険金を住宅ローンに充てることができます。

「就業不能保険」に加入する(推奨しません)

「働けない期間」が続いた場合に、毎月10万円〜30万円が給付される保険です。ただし、就業不能保険の場合、適用条件は三大疾病団信よりも厳しくなっているため注意です。

商品名から来るイメージと保障内容が乖離している傾向があるため、商品概要を確実にチェックしてください。

まとめ

住宅専門FPとしては、三大疾病団信は絶対に必要であると断言しています。

しかし、それは重い罹患の場合にのみ助かる制度であるという割り切りが必要です。

軽度の罹患の場合は適用にならないため、生命保険と医療保険での備えが役に立ちます。

三大疾病団信のご検討と、生命保険の見直しをご希望のかたは、ぜひ長岡FP事務所にご相談ください。

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長岡FP事務所代表社員
長岡FP事務所合同会社 代表社員 長岡理知。

住宅メーカー比較サービス「家づくりコンパス」運営。

住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。住宅購入時の、ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険・損害保険の見直しを専門業務としています。 当社のブログは執筆にAI(LLM)を使用していません。