住宅メーカーの「FP相談会」の正体…保険営業マンが来る理由

住宅メーカーから紹介されたFP

住宅メーカーからFP相談会を誘われたけど・・・

住宅メーカーでの商談時に、「支払いが不安で・・・」と漏らすと、営業マンが「FPに相談してみませんか?」と誘ってくることがあります。

住宅資金の専門家に相談できるなら、ぜひお願いします!となりがちですが、最近、この無料FP相談会に対する疑念と苦情が増えています。

「結局、FPといっても保険屋じゃないか。バカ高い変額保険の勧誘が目的かよ!」と、憤りを覚える人が増えているのです。Googleの検索ワードでもこの問題が激増中。

この住宅メーカーで紹介されるFPの正体とその内情について書いていきます。

提携FPの正体とは

提携FPとはどんな人なのか、正体を解説します。

住宅メーカーと提携するFPにはいくつかの種類があります。

保険会社に勤務する営業マン

2000年~2010年頃に最も多かったのは、FP=生命保険会社の営業社員、というケースです。当時は筆者もこれでした。

この時代はライフプランニングという考え方が登場した時代で、これによって顧客に貢献し、保険販売にも活用しよう、という健全な手法でした。住宅メーカーも、保険営業マンも、相談者もみんなメリットのある「三方良し」の手法だったのです。

しかし時を経て、住宅FP=保険の見込み客を捕まえる手法、のような安易な考え方を持つ保険営業マンが激増し、住宅相談のクオリティは著しく下がっていきました。

現在、住宅購入の不安を、変額保険や外貨建て保険の勧誘に利用するだけのFPが増え、住宅メーカーへの苦情も同時に増加しています。住宅メーカーにも迷惑をかけ、FPなど二度とお客に紹介しないと憤慨しているケースもめずらしくありません。

保険代理店に勤務する保険営業マン(自称FP)

現在、こちらが増えています。

FPですと自称するものの、実態は保険代理店に所属する保険営業マンです。住宅資金の相談としてはさほど専門性は高くなく、一般論程度の話が多い傾向です。

資産運用の話に誘導され、変額保険や外貨建て保険の勧誘に繋がっていきます。

IFAを自称する保険営業マン

IFA(独立金融アドバイザー)を自称する保険営業マンが増えています。これは保険だけでなく、証券会社の商品の取り扱い資格を持つ人たちです。

投資信託やNISAの勧誘も行います。金利上昇の不安が、資産運用の話にすり替わっていく傾向があります。やはり住宅そのもののアドバイスよりも、金融商品のに勧誘に着陸します。

独立系FP事務所

数は多くありませんが、保険会社や保険代理店の社員ではない、独立系の法人FP事務所も存在します。

非常に専門性の高い事業者であるのがメリットですが、一方で、住宅メーカーと提携することで利益相反のリスクを抱えています。完全に中立の立場で住宅メーカーからの影響を排除することは難しく、「あなたはここで家を買うべきではないから止めとけ」とは言いづらいのです。

住宅メーカーから料金をもらっていたとしたら論外です。もらっていないとしても、中立であることは不可能です。住宅メーカーへの忖度が入ると思ってください。

「無料FP相談」は一見気楽なようで、実際は保険勧誘など、本当の目的が隠れています。

提携FPの闇

なぜFP=保険営業マンの意味になったのでしょうか。その背景については関連記事を読んでください。

住宅メーカーで紹介されたFP(保険営業マン)は、高確率で変額保険を勧誘してきます。

なぜ変額保険を勧めてくるのか?

実は住宅メーカーでFP相談をする保険営業マンは、原則「タダ働き」です。保険が売れなければ、土日の時間を使っても報酬ゼロ。交通費だけをかけて、何の見返りもありません。

住宅資金相談の内容が極めて薄いため、お客さまが熱心に相談を継続してくれることなどごく稀です。保険に加入してくれる人は、全体の1割程度。

そこで、その1割程度のお客さまから大きな契約をもらわないと、割に合わないと考えてしまいます。

そこで登場するのが、積立保険の一種である変額保険です。投資信託のように積立金を運用する機能があります。このかけ金を高額にするためのポジショントークが始まるのです。

家を買うと住宅ローンの返済が不安ですよね?→変額保険でお金を貯めると安心ですよ、というすり替えトークを展開するわけです。そもそもライフプランのリスクは、金融商品を買ったからといって解決できるわけではありません。建物そのもののメンテナンス費用や資産価値などが深く影響するため、変額保険を購入したら人生の問題が全て解決するかのようなトークは詭弁としかいえません。

そもそもこれから高額な住宅ローンを返済していくのに、さらに毎月の出費を増やしてどうするという点にFPもお客さまも気づいていないのです。

高額な保険を売りたいFPは住宅予算を安くしようとする

さらに悪質なFPの場合、変額保険を売りたいがあまりに、住宅の適正な予算額を低くアドバイスすることがあります。

住宅は安くていいんです、老後が不安です、資産運用を優先しましょう!などと、変額保険や投資信託を販売しようとします。

その論理には、家のメンテナンス費用のことなど無視されています。安い家を買ったら寿命が短くて老後に建て替えになるよ・・・と思うのですが、そんなことなど知ってか知らずか、住宅予算を安くするように誘導していきます。

そんな安い予算しかないのなら、積み立て投資なんかやっちゃだめだろと、筆者は思うのですが。

変額保険は悪い保険ではないが、家計にミスマッチしているのはNG

誤解がないように言うと、変額保険は決して悪い保険ではありません。筆者も取り扱っていて、適切に加入すれば、ライフプランの味方になります。

参考記事がこちら。

問題は、あまりにも家計にミスマッチした高額なかけ金の場合です。

毎月10万円以上のかけ金の契約を勧めてくるようなFPには注意してください。さらに、「掛け捨て保険は要らない」など、保険本来の機能すら否定する乱暴な保険営業マンさえいます。

とてもじゃありませんが、人生を託す相手としては不適格です。

こんな提携FPなら断ってください

今の時代、FPというだけで信用はできません。

保険会社や保険代理店の社員の場合は、なるべく断ろう

住宅メーカーの営業マンにこう質問してください。

「そのFPは保険会社や代理店の社員ですか?住宅専門の独立したFP事務所ですか?」

保険会社、保険代理店に勤務する保険営業マンの場合、申し訳ないのですが、住宅メーカーでのFP相談は断ることが無難です。

もちろん、保険営業マンが悪いわけではありません。生命保険の相談では非常に頼りになります。

しかし重要なのは、保険会社や保険代理店の社員という立場で、住宅資金の相談を受けてもコンプライアンス上、違反はないのか?という点です。

保険営業マンではなくFPを自称して面談する場合、法的な立場が曖昧になり、利益相反を管理できなくなります。責任の所在も不明です。

保険会社からすれば、その保険営業マンは住宅FPではなく、保険を販売する営業社員です。保険営業以外の、FPを自称した住宅資金相談の活動を認めていないことがほとんどです。認めているとしても、生命保険の勧誘とは一線を引くように指導されているはずです。

相談者がトラブルに巻き込まれる危険もあるため、避けた方がいいでしょう。

FP事務所を自称する場合には、「本業」は何か質問する

ややこしいのは、生命保険の営業マンが「兼業」でFP事務所を自称している場合です。

保険代理店の営業マンの場合、兼業が許可されていることが多く、保険代理店の名前を出さずに兼業として「FP事務所」を自称することがあるのです。

この場合、保険代理店の名前を出さないため、保険の勧誘という目的が目立たなくなります。しかし保険の契約が収益源であることには変わりません。面談の目的を意図的に隠す、悪質な立ち振る舞いと言えるかもしれません。

FP事務所の名刺をもらった場合は、本業はなにか、収益源はなにか、所属している保険代理店はどこかを明確にしてください。

保険を販売するのが悪いのではなく、隠していることが問題なのです。

住宅関係の相談実績を質問する

住宅資金の相談に乗った経験が、何世帯あるのか、質問しましょう。

住宅購入は高額な買い物です。絶対に失敗できません。責任を持って適切なアドバイスができるのかどうかは、相談件数が、専門性の高い事業者かどうかの判断材料のひとつになります。

筆者の経験では、だいたい住宅資金の相談件数が300世帯を超えていないうちは、素人同然のクオリティです。筆者自身、300世帯を超えるまでの相談会は酷い内容だったと思います・・・

収益源は何かを明確にする

提携FPの収益源はなにか、住宅営業マンに確認しましょう。

住宅メーカーから料金を受け取っている場合は、明らかな利益相反になります。中立の相談ではなく、そのFPは住宅メーカーの営業マンの1人だということになります。住宅予算の相談相手にはなりません。

もしFPの収益源が生命保険の勧誘であるなら、その旨、文書を持って明確に説明しているか、確認してください。「FP相談を無料にするかわりに、生命保険の勧誘を行います」という明確な一文を確認してください。

収益源が何であってもいいのですが、目的を明確に告げずに相談会を始めるのは、倫理的な問題があるといわざるをえません。「その人はFPじゃなくて、保険屋さんなんだ!」と後で発覚すると、騙された気分になりますよね。

【重要】プライバシーポリシーをホームページに掲示しているか確認

相談前に必ずプライバシーポリシーを見せるように要求してください。

FPが保険会社、保険代理店のプライバシーポリシーを出してきた時は、その場で相談会を断って帰ってください。

これは保険の商談ではなく、住宅資金の相談のはずです。FPの目的が保険の勧誘だとは聞いていない以上、住宅資金の相談会としてのプライバシーポリシーが必要なのです。住宅FP相談と、保険の商談は別物です。

「住宅資金のFP相談」としてのプライバシーポリシーを提示してくださいと要求しましょう。用意していないのであれば、一切の個人情報を渡さないでください。

「住宅資金についてのFP相談会」として会ったのに、無断で保険会社のシステムに個人情報が入力されることは、本来、個人情報の不正取得であり個人情報の流出事件です。

プライバシーポリシーには、FPを自称して会っていたとしても、保険会社のシステムに個人情報を登録し、その情報を今後、保険勧誘に利用するという明確な文言が掲載されている必要があります。その同意も必要です。

ほとんどの「FP」は住宅FP相談に対応するプライバシーポリシーを持っていません。もし無断で保険会社の設計書を持ってきたときは、保険会社や保険代理店に強いクレームを申し立てるべきでしょう。

【結論】提携FPへの相談は慎重に

提携FPが全てダメなわけではありません。筆者もいまも提携している住宅メーカーは多数あります。

問題は、住宅資金の相談経験が少ない自称FPが、明らかに変額保険の勧誘だけが目的で相談に乗っているケースです。

筆者が数多くの住宅メーカーの営業担当者や経営者とお話をしていると、「FPへの不満」を耳にすることが増えました。「相談会をやる意味がないし、企業としてのイメージダウンやコンプライアンス上の火種となるリスクがある」とまで、批判をお受けすることがあります。

当初の三方良しだった純粋な相談会の理念は失われつつあるようです・・・。その批判はごもっともと言わざるをえないほど、住宅メーカーでのFP相談のクオリティが荒れているのは否定できないでしょう。

あなたのライフプランの不安を、自分の欲を満たすための道具にするFPと出会ってしまうと不幸です。住宅メーカーからFPを紹介してもらうときには、会う前に、それがどんな人なのかを明確にしましょう。

できることであれば、完全に第三者の住宅FP事務所に相談してください。

住宅FP相談

もし保険だけの相談をしたい場合、日本全国の優秀なFPをご紹介するサービスがこちら

ABOUT US
長岡FP事務所代表社員
長岡FP事務所合同会社 代表社員 長岡理知。

住宅メーカー比較サービス「家づくりコンパス」運営。

住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。住宅購入時の、ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険・損害保険の見直しを専門業務としています。 当社のブログは執筆にAI(LLM)を使用していません。