【育児休業制度】夫婦で育休を取るときの基礎知識・・・気になる収入はどうなる?➡夫婦で育休を取るメリットは大きい

子供が生まれたら、夫婦で育休を取って育児に専念する時間を作りたい!と多くの人が思っています。

しかし、夫婦で育休を取ることを考えるとすぐにぶつかるのが「収入」のこと。子育て世代は住宅ローンをはじめ、支出が沢山待ち構えています。特に男性は「育休なんて取ったら家計はどうなるのか」と恐怖を抱きがちです。

この記事では、収入減への備えについて詳しく解説していきます。

夫婦で育休を取れる「育児休業制度」の基礎知識

育児休業等給付を聞いたことはあるでしょうか。

これは子どもを育てるために親が一定期間、仕事を休める国の制度です。勤務先独自の制度ではなく、国が行っている公的な制度なのです。

育児休業中は育児休業給付金が支給され、収入が確保される素晴らしい制度です。

子供が1歳になるまでの期間を対象で、条件によっては最長で2歳まで延長 できます。

育児休業給付金は非課税です。これも嬉しいところ。さらに。育休中の社会保険料も免除されるため、手取り額は勤務先からの給与(休業開始時賃金日額)の約8割に相当します。

「出生後休業支援給付金」も追加

従来の育児休業給付に、2025年4月から新しい給付金が追加されました。

これは、夫、妻のどちらもそれぞれ14日以上育休を取得した場合、出生後休業支援給付金を受け取れる制度です。

期間は最大28日間で、給付額総額の手取り額は、勤務先からの手取り給与(休業開始時賃金日額)の約10割相当になります。

つまり約1カ月間は、夫婦ともに手取り額を減らさずに収入を得られるのです。

夫婦で育休が取りやすくなりました

育児休業制度について国が推進しているものの、実のところ、父親の育児休業取得率はまだ低いのが現状です。

厚生労働省の調査によると、2023年度の育児休業取得率は母親が84.1%、父親が30.1%となっています。男女で大きく差が開いている状態です。

2022年10月から産後パパ育休(出生時育児休業)が施行され、父親の取得率は2022年度より13.0ポイント上昇しましたが、母親に比べると依然低い割合となっています。

これは父親側が「仕事が忙しいから」という理由が最も大きいと思われます。また、父親の勤務先に潜む、「男性が育休を取るのはおかしい」という古い考え方の影響もあるでしょう。「育休で収入が下がるのは困る」という意識もあるかもしれません。

父親本人の意識の変革も必要ですが、職場が積極的に育休の取得を推進する必要もあります。

国では父親の育児休業の取得率アップに向けて、2022年に制度改正を行いました。

【改正点1】産後パパ育休(出生時育児休業)の新設

産後パパ育休とは、父親が子の誕生直後(出産後8週間以内)に取得できる育児休業制度です。

この制度は以前「パパ休暇」として知られていましたが、使い勝手が悪かったため、2022年10月に「産後パパ育休」として改正されました。主な違いを以下に示します。

産後パパ育休

産後パパ育休では、 父親は育休を分割して取得できます。

また、労使協定があれば、育児休業中にも就業が可能になります。

産後パパ育休中も出生時育児休業給付金として育児休業給付金が給付されます。

【改正点2】育休の分割が可能になりました

改正前は、育児休業は連続して取得するのが原則でした。

しかし、制度の改正により、2回まで分割して取得できるように。育児や仕事の状況に合わせて、計画的に育児休業を利用することができます。

男性の場合、産後パパ育休も2回に分割して取得できますが、それとは別に通常の育児休業も2回まで分割して取得可能です。

つまり、基本的には子どもが1歳になるまでに最大で4回の育休を分割して取ることができます。

【改正点3】1歳以降の育休の拡充

育休が終わりに差し掛かっても、保育園の定員状況により1歳や1歳6ヶ月時点で入園できないことがあります。

この問題を解消するため、満1歳や1歳6ヶ月以降にも育休を延長できるようになりました。

これとは別に「パパ・ママ育休プラス」制度を利用すれば、育休期間を最大で子どもが1歳2ヶ月時点まで延長できます。

パパママ育休プラス

(資料:厚生労働省改正育児・介護休業法について)

2025年度から、さらに育休制度が拡大しました

2025年4月1日からはさらに育休制度が拡大しています。

●育児休業給付の給付率引上げ
子どもが生まれた後、男性は8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に、それぞれ14日以上の育児休業を取得すれば、休業開始時賃金日額(手取り)の10割相当が給付されます。

資料:厚生労働省

●育児時短就業給付
あらたに「育児時短就業給付」ができました。

2歳未満の子どもを育てるために短時間勤務をしている場合に支給されます。給付率は短時間勤務中の賃金額の10%です。

育児休業制度について最も分かりやすい資料がこちら

何かと難解な育児休業制度ですが、最も分かりやすい資料がこちらです。

厚生労働省が作成しています。

育児休業等給付の内容と支給申請手続(2025年4月改訂版)

夫婦で育休を取得するメリットとは?

夫婦で育休を取るメリットは非常に大きいです。

子供がいなかった夫婦だけの生活から、出産後は生活スタイルが大きく変わります。母親は体力面、精神面での負担が大きいため、父親が家事、育児において全面的にサポートする必要があります。

出産後に夫婦の協力がうまくいかず、関係がぎくしゃくしてしまうと、子供にも悪影響を及ぼします。

まずは育休をしっかり取り、育児と家事に専念できるよう時間とお金を確保しましょう。

夫婦で育休取得のモデルパターン

夫婦で育休を取得する際、休む期間の組み合わせによって、育児や仕事のバランスが大きく変わります。ここでは、仕事への影響を最小限に抑えながら、夫婦で育休を取得する場合のおすすめパターンをご紹介します。

【モデルパターン1】産後パパ育休で産後すぐの妻をサポート

産後パパ育休を活用すれば、出産直後の妻をサポートできます。夫が4週間連続で育休を取得することで、妻と赤ちゃんのケアに専念できます。

育休は分割取得が可能で、妻の出産のタイミングに合わせて1回目を取得し、仕事に一度復帰してから2回目を取るなど柔軟な使い方ができます。

産後パパ育休取得パターン

(資料:厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内)

【モデルパターン2】パパ・ママ育休プラスでパートナーの仕事復帰をサポート

パパ・ママ育休プラス制度を活用すれば、最大で子どもが1歳2ヶ月まで育休を延長できます。

母親が職場復帰するときには、保育園の入学時期に重なり、慌ただしくなります。この時期に父親が育休を取ることで、母親の職場復帰がスムーズになります。

夫婦で育休のデメリット

夫婦で育休を取ることには、デメリットも存在します。

育休はぜひすべての夫婦に取得していただきたい制度ですが、デメリットもよく検討して臨む必要があります。

6ヶ月以上の取得で給付金が減る

育休期間が6ヶ月を超えると、給付金の支給割合が67%から50%に減少します。

これによって世帯年収が大きく減り、家計のバランスは一時的に崩れます。多くの家庭ではこの時期は赤字となります。貯蓄がない場合には、現実的に育休を継続することは難しくなります。

住宅ローンを抱えている場合には世帯年収の減少は大きな問題です。

出産前には、育休中に家計がどのくらいのマイナスになるのか計算し、その分の貯えを持っておく必要があります。

キャリアが途切れる可能性がある

育休取得だけを理由として、企業が社員に対して合理的な理由なく職務変更や賃金減額をすることは、育児・介護休業法で禁止されています。

ただし、現実はどうでしょうか。

1年間、職場を離れることでキャリアが途切れてしまうことも考えられます。営業職など生産性を問われる職種では、育休をきっかけに業績低下に陥る人も少なくありません。

育児休業給付金の支給額について

育児休業給付金を具体的に計算してみましょう。

育児休業給付金とは?どれくらい支給される?

育児休業給付金は賃金日額に基づき計算されます。6ヶ月までは休業開始時賃金日額の67%、その後は50%が支給され、2025年時点での上限は67%で約31万5000円、50%で約23万5000円です。

育児休業給付金

育児休業給付金を受け取るには、過去2年間に「賃金支払い日が11日以上ある月が12ヶ月以上」が必要です。

育休中の就業は「月10日以下または80時間以下」であることにも要注意です。

育児休業期間中は社会保険料が免除になる

育休中は社会保険料が免除されます。賞与に対する保険料免除は連続1ヶ月以上の育休が必要なので注意です。

育児休業給付金を試算します

育休を取った場合、手取り額はどのようになるのでしょうか?個人の月の給与を30万円(額面)として試算してみます。

◼︎育児休業給付金の支給額(1ヶ月あたり)

給付金月額

育休中でも住民税は1年遅れで納税するため、給付金から住民税1万2741円を支払った後の金額が実質の手取り額となります。

当初28日間は13%上乗せとなるので、給付割合は80%となり、24万円となる計算です。所得税と社会保険料の分を考慮すると、手取り額はほぼ同じになります。

育休で収入はどのくらい減少する?

夫婦で育休を取ると、収入が減るのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。通常の給与が育児休業給付金に置き換わるため、手取り額は確かに減りますが、事前にしっかりと準備しておけば安心です。夫婦で育休を取る際の収入減少に備える具体的な方法をわかりやすく解説します。

育休中、収入はどれくらい減少する?モデルケースを紹介

育休中は育児休業給付金が支給されますが、通常の収入よりも少なくなります。最初の28日間は手取りがほぼ変わらないのですが、それ以降は確実に減ってしまいます。

育休開始前の個人の給与が月30万円の場合、どのくらい減っていくのでしょうか。

◼︎通常通り勤務した場合の手取り額

モデルケース

◼︎給付金と手取り額との比較

手取り額の比較

手取り額と給付金の比較に注目してください。

実質的に給与の80%になっています。

育休休業給付金は非課税であること、社会保険料が免除になることから、67%となっても実質の手取りは80%になるように設計されているのです。(育休中も住民税の支払いはあるため、手取り額から納税は必要になります)

繰り返しますが、2025年4月から制度が改正され、夫婦がそれぞれ14日以上育休を取得した場合、最大28日を上限に手取り額の8割相当から最大10割相当に引き上げられました。一か月間だけですが、安心につながりますね。

自営業者・フリーランスには育児休業給付金制度がない

残念ながら、個人事業主、フリーランスのかたは、育児休業制度は一切使えません。あくまでも雇用されている会社員・公務員のための制度なのです。

個人事業主と会社員・公務員との格差は広がるばかりで、もはや差別ともいえる状態です。国がこの格差是正に乗り出す様子はなく、個人事業主のかたは自助努力が求められます。

貯蓄や資産運用、保険などを活用して、育休に備えるしかありませんが、そもそも人員のリソースが不足していることが多く、育児ための休業するのは難しいかもしれません。

育休中に住宅ローンは借りられる?

育休中に住宅ローンを借りることはできるのでしょうか。

答えは「△」です。

借りられるケースもあれば、借りられないケースもあり、断言はできません。

住宅ローンを借りる時には前年度の源泉徴収票に記載された収入額で審査を受けます。ところが育児休業給付金を受けて休職していると、課税収入がほとんどない状態になります。

こうなると、銀行はいくつかの対応をします。

  • 過去3年分(育児休業に入る前のフル勤務の源泉徴収票)の提出
  • 勤務先の属性による判断
  • 職業の属性による判断

一般的に育休中でも審査が通るのは、公務員や大企業に勤務する人、看護師や医師などの専門職の人です。フルタイムで復帰するのはほぼ確実と判断され、復帰後の収入も予想がつくからです。

一方で審査が通りにくいのは、零細企業に勤務している人、インセンティブ給(歩合給)に大きく依存した給与体系の人、復帰後はパート勤務をする予定の人、です。復帰後の収入が不透明であるため、多くはNGとなります。

育休中は住宅ローンを借りるのは難しい、と覚えておきましょう。

出生前に子供に保険は必要?

子供が出生する前に、保険に入っておく必要はあるでしょうか。

母親や父親に、ではありません。まだ生まれていない子供に、です。

もし子供が病気や障害を持って生まれてきたら、生命保険に加入することが難しくなります。

生まれる前に保険に入っておけばいいのでは・・・と思いがちですが、実は「出生前加入」ができる保険は、限られています。

保険会社では「学資保険」のみが可能です。

唯一、コープ共済だけが「お誕生前加入」として医療保険に加入することができます。保障内容は限定的ですが、もし何事もなく生まれた後は充実した生命保険に入りなおすこともできるので、一時的なつなぎとしては非常に便利です。

教育費を貯める方法は?

子供が生まれたら、多くのご両親が「教育費の積み立て」を検討しはじめます。

50代以上の祖父母世代は学資保険を勧めてきますが、慎重に検討した方が良さそうです。祖父母世代が子供を産んだ時代は、まだバブル~バブル崩壊直後の好景気の時代です。学資保険の金利が非常に高く、効率よく教育費を貯めることができました。

しかし現代では学資保険は資産運用としては金利が低すぎ、あまり効率的ではありません。

そこで、現代ではつみたてNISAや変額保険、外貨建て保険などで教育費の用意をする人が多いのが現状です。

しかしリスクもあるため、万人におすすめできるものでもありません。住宅ローンを借りる時期とも重なっているため、貯蓄をいくらできるのかはプロのFPによるアドバイスを求める必要があるでしょう。

長岡FP事務所では無料でFP相談を受けることができます。お気軽にご予約ください。


もし保険だけの相談をしたい場合、日本全国の優秀なFPをご紹介するサービスがこちら

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長岡FP事務所代表社員
長岡FP事務所合同会社 代表社員 長岡理知。

住宅メーカー比較サービス「家づくりコンパス」運営。

住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。住宅購入時の、ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険・損害保険の見直しを専門業務としています。 当社のブログは執筆にAI(LLM)を使用していません。