「FP」にお金の相談をするのはもうやめよう
「お金のことはFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しましょう」
SNSで何度も何度も見聞きした言葉です。
しかし、20年このFP業界の現場に立ち、5,000世帯以上の人生の岐路に立ち会ってきた実務家の視点から言わせれば、その広告はとても薄っぺらく、危ういものです。
はっきり言います。
「FP」にはもう、あなたのお金のことを相談するのはやめましょう。
FPという仕事が悪いわけではないのです。最近増殖したFPを自称する人たちの、薄っぺらい価値観が筆者には危険としか感じません。
いま、FP業界には何が起きているのでしょうか。消費者のみなさんにぜひ知っていただきたいことがあります。
「副業FP」という言葉の不遜さ
最近、広告で「FP資格を活かして副業で月〇〇万円稼ぐ」というものを見るようになりました。
どうやら、FP資格があれば副業ができるので、講座を買ってくださいという「情報商材」の広告のようです。
はっきり言うと、情弱(情報弱者)をカモにして情報商材を売り、仲間内のミーティングを繰り返して洗脳し、高額なシステムも売るという、成功願望を商材にしたビジネスでしょう。受講者はFPとして成功することはほぼありません。金銭的に成功するのはFPをする受講生ではなく、情報商材を売る側です。
AIにブログ記事を書かせ、お仲間同士で買い合って売り上げを水増しし、お仲間同士でSNSで褒め合ってサクラ行為を繰り返す。そんな「副業ごっこ」が実態です。
正直なところ、あまりにも陳腐で安っぽく、恐怖すら覚えます。
FPの仕事って、そんなキラキラしたものなのか?というと、全くそうではありません。筆者はこの業界に20年いますが、FPの仕事よりも成功しやすい仕事はたくさんあります。難易度が高い上にさほど儲かりもしない仕事で、責任だけは非常に重いのが現実です。
副業FPが月30万円を稼ぐことは十分に可能ですが、その程度の売り上げが欲しいのであれば情報商材を買う必要はありません。筆者に聞いていただければすぐに無料で教えます。でも「割に合わない労力が必要」なので結果、やめとけという話になります。
人生には必ず、不測の事態が起きます。 金利が跳ね上がる。病で職を失う。あるいは筆者自身が直面しているように、突然「家族の介護」という現実が生活を飲み込む。その時に向けて確実に備える解決策を、FPが相談者に実行させることは極めて困難です。にもかかわらず万が一のときに、あのFPは教えてくれなかったとなぜか叩かれ、何でもFPのせいにされるのです・・・。
そんな泥臭く、壮絶なリアリティが渦巻く現場において、副業感覚の自称FPがどうやってその責任を背負えるのでしょうか。それはビジネスではなく、ただの「サークル活動」です。そんな場所から、本当の顧客を救う「実務家」が生まれるはずがありません。
FPには「独占業務」がない
そもそも、FPという資格の正体を皆さんはご存知でしょうか。
弁護士、税理士、司法書士といった「士業」には、その資格がなければ行ってはいけない「独占業務」が法律で定められています。無資格で業務を行えば逮捕されます。
しかし、FPには独占業務が一切ありません。
資格(ファイナンシャルプランニング技能士)がなくとも、FPを名乗って業務を行っても違法ではありません。自称でいいのです。 (技能士を無資格で名乗るのは違法だが、「FP」ならOK)
FP試験も決して難易度は高くありません。受験に慣れた学生であればすぐに合格できるでしょう。FPである筆者が言いますが、FP資格は誰でも簡単に取れます。資格自体の価値は高くありません。
独占業務という責任の重みがないからこそ、安易な副業や、保険を売るためのお飾りとして利用されるのです。資格を取ったばかりの素人が、さもプロのような顔をしてアドバイスができてしまうのが現実です。
あなたの数千万円の住宅ローンを背負う決断を、そんなお飾りの看板に委ねてはいけません。
大切なのは、そのFPの人生経験と、実務経験の量です。多くのFPが自力で集客自体ができません。下手をすると、1年に10人も集客できない負け組がほとんどというのが実態です。
実務経験がほとんどないFPにアドバイスを求めるよりも、GeminiやChatGPTに質問したほうがずっと有益でしょう。少なくとも情報収集ではAIには敵いません。
机上論で医療や介護の説明をする自称FPではなく、自分自身や家族の大病や介護を戦っている実務家のリアルな一次情報が重要なのです。
保険営業マンをFPと呼ぶようになった残念な現状
もう一つ、この業界の大きな歪みがあります。世の中に溢れる「無料FP相談」です。
無料でFP相談を行うという触れ込みで集客し、生命保険をゴリ押しするあのいつものパターンです。
住宅購入時のライフプランを相談できるといっているその人は、本当に「住宅購入の専門家」でしょうか?
残念ながら、その大半は保険営業マンです。保険会社や保険代理店に勤務する営業マンなのです。
彼らの目的は、あなたの人生設計をアドバイスすることではありません。保険の契約を取り、その手数料を受け取ることです。
FPという看板は、彼らにとって都合のいい擬態なのです。「保険の勧誘です」と言うよりも、「FPです」と言ったほうが営業の色を隠せるからです。実際、会ってしまえばかならずといっていいほど、変額保険をゴリ押ししてきます・・・。
保険のプロは保険を比較販売するプロであって、人生設計や住宅購入の実務家ではありません。
もちろん、誠実な保険営業マンはたくさんいますが、実務の問題として「コンプライアンス上、保険以外のことについて具体的な助言をするのはNG」であるはずです。能力が高くても親身になり過ぎたアドバイスはできないという事情もあるでしょう。
保険営業マンは本来の意味でのFP相談は制度上できないのです。
その保険FPは、
- ハウスメーカーの見積もりに潜む「意図的な予算のグレーゾーン」を見抜けますか?
- 建物の資産価値や、将来のメンテナンスコストの現実を語れますか?
- 住宅ローンの返済に行き詰まるリアルな現場を見た経験がどれほどありますか?
保険を売ることがゴールの人間に、人生設計の岐路に立つ時の、重大な決断を委ねるわけにはいかないのです。
「正しさのインフレ」が、本物の情報を握りつぶす
いま、世の中に起きているのは「正しさのインフレ」です。
ネット上には「正しいこと」や「道徳的な正解」の主張が過剰に増殖しています。SNSやネットニュースのコメント欄には、誰かが不謹慎だとして執拗に叩く正義マンがたくさんいるのは、すでに見たことがあるでしょう。
現代では「正しさ」の価値が暴落しています。かつては許容されていたグレーゾーンや「中庸な態度までもが、次々と不謹慎とか不正義であるとして糾弾されています。
まさに集団ヒステリーという状態です。
その結果、何が起きたか。
大手企業のブログは、炎上に怯える臆病さゆえに、コンプライアンスという言い訳のもとに本当の情報を隠すようになりました。
彼らの発信する情報は、どこまでも正しいとされるものでしょう。しかし、そこには血が通っていません。なぜなら、人生においてかならずある毒やグレーを全て消毒し、当たり障りのない抽象論にしているからです。
- 「実際の解決」よりも「叩かれないこと」を優先する。
- 炎上を恐れるあまり、毒にも薬にもならない「退屈で均質化されたゴミ情報」を量産する。
筆者は、FP事務所として防犯設備会社の記事を依頼されたことがありました。防犯対策として防犯設備を導入するメリットを説くというものでしたが、そこで驚くようなことを防犯会社から言われたのです。
「家族の身の危険から守る」とか「強盗が入る」とか「子供への犯罪行為を防止する」とか、そのようなネガティブな表現はNGだというのです。じゃあどう書けばいいのかというと・・・「家族の未来を守る」に表現を替えてくださいと防犯会社の担当者が言っていました・・・(笑)
空き巣と鉢合わせした子供が殺されないように防犯設備を買おうね!というニュアンスの言い方は炎上するからダメなのです。攻撃的でネガティブな印象を受けるとのことですが、そもそも商材がネガティブなニーズに応えるものだろうとツッコミを入れたくなりましたが、我慢しました。
その記事の執筆は結局お断りしました。
そのように、コンプライアンスという言い訳で、誰の役にも立たない殺菌された情報が垂れ流されているのは、FP業界も同じです。
本音や、リアルな情報、リアルな危機感を、完全殺菌して提供するようなFP相談会には何の意味もありません。情報だけならAIに質問すれば十分なのです。
責任を持って、人生設計に向き合います
長岡FP事務所のFP相談会は、人生設計の重大な岐路での決断に、責任を持って向き合っています。
キラキラしたFPごっこはしません。保険契約欲しさにゴリラのように迫って来ることもありません。そして、殺菌されたどうでもいい言葉しか使わない会社員でもありません。
お客さまの重大な人生設計に寄り添うためには、耳障りの良くないことも言うこともあります。業界の各方面で嫌われることも多々あるでしょう。(実際、嫌われている界隈がある笑)
長岡FP事務所は副業FPでもなく、保険代理店の社員でもありません。相談者の人生設計に真正面から向き合う実務家です。

























