なぜ日本の家は40年で解体されるのか?
日本の住宅寿命は、欧米諸国に比べて短いのが現実です。
その最大の理由は、いくつかあり、高温多湿の気候による構造体(骨組み)の弱さがまず挙げられます。多湿の環境ではシロアリが発生しやすいのです。そこにやはり日本特有の「地震の多さ」が加わり、劣化を早めてしまうのです。
次の理由として、戦後の日本の住宅は、質より量を重視してきた背景もあります。高度成長期に核家族化が進み、住宅が圧倒的に不足するようになったのです。戸建てだけでなく、集合団地もとにかく戸数を増やすように乱造されました。
ほぼ無断熱で気密という考え方も存在しない、乱暴な建物がたくさんできたのです。
一生に一度の買い物、という言葉は実は実態が伴っていません。実際のところは、若いころに家を建てて、一生住めることはごく稀です。建て替えることが当然で、お金がない場合は老後に劣化したボロ屋に我慢して暮らすしかありません。
日本における滅失登記(解体の登記)された建物の築後年数は、平均40年弱です。アメリカやイギリスは100年前後なので、いかに日本の建物が遅れているかが分かります。欧米のように古くなるほど価値が高くなるような中古市場も発達していません。
建物の寿命が短い→古くなったら無価値→すぐ壊して新築にする→新築の時も寿命を気にしない
まさに資産価値の負のスパイラルなのです。
日本人が豊かになれないのは、住宅のせいもある
日本は1980年代に経済大国の仲間入りをしましたが、日本人の生活はさほど豊かとはいえません。海外から見た日本人の生活が想像よりもはるかに貧しく見えるといいます。
給料が上がらないからという意見もありますが、それは少し見当はずれでしょう。
大手企業の給料は上がっています。昨今は株価も上がり、資産額が増えている人は大勢いるのです。
実は、日本人が貧しいままなのは、住宅のせいではないかと筆者は考えています。
なぜか?
それは、各世代が高額なローンを組んで住宅を買うからです。
祖父が家を建てる
↓
父が家を建てる(祖父の家は空き家にしたまま)
↓
子が家を建てる(祖父と父の家は空き家のまま)
↓
その子供も家を建てる(資産価値ゼロの空き家をたくさん相続)
このように、各世代が莫大なローンを借り続けていれば、下の世代に相続できるような資産など持てるはずがありません。ずっと豊かになれない理由がこれです。
もし、寿命が100年~150年という家を建てたとしたらどうなるでしょうか。
子供の世代は親世代が亡くなったあとで住める家があるということです。自分の代で高額な住宅ローンを借りずに済み、その分を教育費に回すことができたり、資産として相続することも可能です。
富が積みあがらない、消耗品としての家を全世代で買い続けていたら、絶対に豊かになりません。当たり前の理屈です。
500兆円をドブに捨て続けてきた日本人
このグラフは衝撃的な現実を表しています。
なんと、日本人が1969年から2009年にかけて、建物を購入してきた金額(投資額)は900兆円あるそうです。しかし、2009年で残っていた住宅資産(ストック額)の額は400兆円。
その差、500兆円です。つまり、500兆円分の建物が解体されてきたといえます。

一方でアメリカでは、投資額をストック額が上回っています。

アメリカは近年色々な問題を抱えているとはいえ、日本人よりも豊かな資産額を持つ人が多いのが現実です。その差は、住宅が消耗品なのか、資産なのかという違いが大きいでしょう。
老舗たい焼き屋の水道管は・・・ステンレス管
東京・麻布十番。香ばしい香りと共に、100年以上続くたい焼きの味を守り続けているのが「浪花家総本店」です。
かつては肉体労働者のためのハイカロリーなおやつがたい焼きだったといいます。しっぽにあんこが入っていないのは、たい焼きを持つ部分がしっぽだったため。しっぽは食べず、野良犬にあげるのが習わしだったとか。
その浪花家総本店は、太平洋戦争中、金属の供出から逃れるため、たい焼きを作る道具を全て地面に埋めたそうです。戦後掘り出して店を再開し、絶大な人気店に。
『およげたいやききん』の歌のモデルはこの浪花家総本店なのです。

現在の店舗ビルが建て替えられたのは2000年代のこと。
そのとき、このビルの水道管は全てステンレス管になりました。ステンレス管にしたのは、店主いわく、「樹脂の水道管は水に臭いがつく」という理由とのことですが、業者は大変驚いたそうです。
当時の店主は、新しいビルを建てる際、設計士にこう告げたと言います。「100年持つ建物にしてくれ。自分の子供や孫の代になったとき、建物の修理で商売を止めるようなことがあってはならない」
この言葉が意味したのは、単に地震に強いビルを作ることではありませんでした。最も腐食しやすく、かつ修理が困難な「配管」に、当時としては住宅や一般ビルでは異例だった「全面ステンレス配管」を採用することを決断したのです。
ステンレスにすることで建物の寿命は大幅に伸びる
通常のビル建築では、コスト削減のために塩化ビニル管や鋳鉄管が使われます。それらは20年から30年もすれば劣化し、水漏れや錆による赤水の原因となります。その時、修理するためには壁を壊し、営業を休み、多額の工事費を投じなければなりません。
これがステンレス管にし、建物を頑丈にすることで、商売は末代まで続いていくことができます。つまり、富を蓄積することができるのです。
理想のマイホームを建てる際、多くの人は広々としたリビングや最新のキッチン、あるいは断熱性能といった「目に見える部分」に予算を集中させます。しかし、ファイナンシャルプランナーの視点から言わせていただければ、本当に住宅の価値を左右し、将来の家計を脅かすのは、むしろ「目に見えない部分」への投資です。
特に、給排水管や雨樋といった住宅の維持管理に関わる部位の素材選びは、建築時の初期費用(イニシャルコスト)の差以上に、30年後、50年後のランニングコストに決定的な格差を生みます。

100年以上持つ家にするためには・・・
建物の寿命を100年以上にしようと思ったら、建物の構造や建材を頑丈にするのは当然ですが、メンテナンス性とその費用の問題が最も大きいでしょう。お金がかかりすぎる家は、いずれメンテナンスできなくなります。
ローコスト住宅や、膨大な設備で性能を維持しているような住宅は論外です。
外壁、屋根、構造(工法)、気密断熱性能、建材の品質などが寿命に影響しますが、忘れがちなのが配管です。
住宅の壁の内側や床下を這う配管は、いわば家の血管です。現在、日本の新築住宅の大部分で採用されているのは「架橋ポリエチレン管」を中心とした樹脂製の配管です。これらは施工が極めて簡単で材料費も安いため、コスト競争が激しい住宅業界では標準仕様として広く普及しています。
しかし、冷静に比較すれば、ステンレス鋼管とはその性質に大きな隔たりがあります。
架橋ポリエチレン管は錆びないという利点があるものの、長期間の使用においては、熱や経年変化による「脆化」という宿命から逃れられません。一般的な耐用年数は30年程度とされており、住宅ローンを完済し、老後の生活が始まるタイミングで、家中の配管が寿命を迎えるというシナリオが待っています。
一方で、ステンレス鋼管は、その強度と耐食性において別次元の素材です。
錆に強く、高温・高圧にも耐え、化学的にも極めて安定しています。50年、あるいは100年近い耐用年数を期待できるため、一生に一度の家づくりにおいて、ステンレスを選択することは「将来の配管更新工事」という巨大な不確実性を排除するリスク管理そのものです。
もし樹脂管を選べば、将来、床を剥がし、壁を解体して、数百万単位のリフォーム費用を支払うリスクを、子供世代が背負い続けることになります。
ステンレスへの投資は、その未来の出費を前払いし、かつ将来の安心を担保することになります。
雨どいの劣化も家計に影響する
雨樋もまた、メンテナンスが必要な部材です。
一般的な住宅では塩化ビニル製の雨樋が使われますが、これは直射日光(紫外線)と風雨にさらされる最も過酷な場所に設置されています。塩化ビニルは紫外線によって硬化し、弾力を失うと、わずかな衝撃で割れたり、変形したりします。特に積雪地帯や寒暖差の激しい地域では、冬場の凍結や夏の酷暑によって劣化スピードが早まります。
雨樋が破損した際、DIYで交換できる場所は限られています。
多くの場合、足場を組んで職人を手配する必要があり、この足場代だけで1回あたり20万円〜30万円ほどかかります。ビニール製の雨樋は、15年から20年おきにこの足場代を含めた修繕を繰り返すことになり、30年、40年と住み続ける間に、トータルコストは驚くほど膨れ上がります。
対してステンレス製の雨樋は、紫外線で劣化することがなく、金属特有の強度で強風や積雪にも耐えます。一度施工してしまえば、メンテナンスフリーで数十年を過ごせる可能性が高く、足場を組む回数を劇的に減らすことができます。初期費用の差額は、この「将来の足場代と修繕費」を数回分、相殺して余りある投資となります。
建築業者はオーバースペックだというが
「ステンレス管を使うのはオーバースペックで、意味がない」と言う業者も存在します。
家の寿命よりも配管の寿命が長いのはナンセンスだということなのですが、そもそも本末転倒な話です。配管程度の寿命しかない家を作ってきたのが問題なのです。
家の寿命を長くしようと本気で取り組む建築業者はごく一部だけのようです。長寿命、メンテナンスコストの低減、そこをセールスポイントにしているハウスメーカー、工務店はごくごくひとり握り。
多くは、流行りの設備(太陽光発電や全館空調など)をいかに盛るかに一生懸命な様子で、目の前のお客様の人生のその先を考えてくれることはありません。
「早稲田大学の研究によると家の寿命は80年です。」などと研究結果を自社の建物に当てはめて説明する乱暴な営業マンもいます。そもそも寿命がライフプランと家計に与える影響について無知な営業マンもいるほどです。
営業マン達が語らないから重要ではない、ではないのです。
イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも考える
なぜ、明確な差があるにもかかわらず、安価なビニール系素材を選んでしまうのでしょうか。理由はシンプルで、多くの工務店と施主が「目の前の見積書の合計額」だけに集中してしまい、30年後のライフサイクルコストを計算に入れていないからです。
長期優良住宅などの制度が普及し、住宅は「使い捨て」から「資産として受け継ぐもの」へと価値観がシフトしています。もし、この家を子供の代まで住み継ぎたい、あるいは老後の生活資金を守りたいと考えているのであれば、家と設備の寿命とメンテナンスコストをよく考えてみるべきです。

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