FPが言うことには嘘が多い
家づくりの相談やマネーセミナーに行くと、FPから決まって言われるセリフがあります。
「銀行が貸してくれる金額と、あなたが実際に返せる金額は違います」
「住宅ローンは無理のない金額に抑えましょう」
一見すると親身なアドバイスに聞こえます。SNSやブログでも「住宅ローンを上限まで借りると破綻する」「25人に1人、あるいは50人に1人が破綻している」といった話をよく見かけます。
しかし、実際の金融データを見てみると、これら話がまったくのデタラメであることがわかります。
繰り返します。
これらの話は全部、嘘です。
今回は、公表されているデータをもとに住宅ローンの実際の破綻率を整理し、なぜ多くのFPがこのような嘘を並べるのか、その裏事情を解説します。
住宅ローンの「破綻率」はどれくらい?
SNSなどでは、住宅ローンを借りた25人に1人が自己破産する、などと言っている人がいます。
ほんと、どうしようもない嘘なのですが、一応、数字を出して全部否定したいと思います。
審査が比較的通りやすい「フラット35」でも1%未満
住宅金融支援機構が扱う「フラット35」は、民間銀行に比べて審査の門戸が広いローンです。アルバイトやパートでも借りられるとしています。
つまり安定した収入とは言えない人でも借りられる、「緩い」住宅ローンです。
そのフラット35のデータを実際に確認すると、返済が滞ったり破綻したりしている債権の比率は0.93%(2024年度・2025年3月末時点)にとどまります。
よく言われる「25人に1人(4%)」といった高い数字は、何十年も前の旧住宅金融公庫時代(バブル期の高金利ローンなど)の古い債権をごちゃ混ぜにして計算されたものです。
いま住宅ローンを組む人には関係のない数字を使って、不安を煽っているにすぎません。
一般的な銀行の破綻率は「0.05%」程度
民間の銀行になると、破綻率はさらに下がります。
例えば、住宅ローンを専門的に多く扱っているソニー銀行の決算(2025年3月期)を見てみましょう。リスク管理が必要とされる債権の比率は、全体のおよそ0.05%しかありません。
これは、仮に人数としてみると「2,000人に1人」という割合です。25人に1人どころか、ほぼ全員が問題なく返済しています。3ヶ月滞納者にいたっては、0人なのです。
もし本当に「借りられる額」と「返せる額」が大きく乖離していて、銀行の言うとおりに借りると破綻するなら、街中やタワーマンションで破産者が続出していなければおかしいはずです。
しかし現実には、そんなことは起きていません。
銀行の融資審査は甘くない
そもそも、銀行はボランティアでお金を貸しているわけではありません。貸したお金が戻ってこなければ、銀行自身が大損をします。
そのため、銀行の審査は非常に緻密です。
単に「年収の何倍か」を見るだけでなく、勤続年数、勤務先の経営状態、過去のカードの利用履歴、携帯料金の支払い状況、奨学金返済の滞納歴、銀行によっては家族の信用状態などを調べ上げたうえで、「この人なら確実に最後まで返せる」と判断した金額だけを融資しています。
銀行がローンのプロとして綿密に弾き出した「貸せる額」を、審査の仕組みも知らないFPが「その額は返せない」と否定すること自体、本来はおかしな話なのです。
なぜFPは「貸せる額と返せる額は違う」と言い続けるのか?
データを見れば事実無根だとわかるのに、なぜFPたちは口を揃えて「銀行の貸してくれる額は危険だ」と言うのでしょうか。
理由はふたつです。
理由1:根拠のない話を鵜呑みにして、他人に説教したい人が多い
世の中のFPの多くは、自分で一次データ(公表されている統計資料や銀行の決算書など)を調べていません。
驚くほど勉強していないのです。
情報の根拠は、保険会社など自分の勤務先で受けた浅い研修のみ。保険会社の営業所長などが教えたことを絶対的な知識として鵜呑みにしてしまうのです。
その研修担当もどこで仕入れたか不明な怪しい知識であることも非常に多いです。
また、誰かがSNSや本で書いた「住宅ローンは危ない」「破綻する人が多い」という根拠のない話を、FP自身もそのまま信じ込んでいます。
そして、「銀行の言いなりになってはいけない」と相談者に忠告することで、さも自分がお金の専門家として価値のあるアドバイスをしている気になっているのです。
悪気はなくとも、単なる勉強不足と思い込みでお説教をしているケースが後を絶ちません。
他人にお説教するのは快楽のひとつで、気持ちよくなってしまいますからね。
理由2:住宅予算を削らせて、保険や投資商品を買わせたいから
もう1つの理由は、かなり深刻で、業界に蔓延している問題です。
FP相談の多くは、相談料無料です。
その代わり、高額な積立保険や、投資信託などを契約してもらうことで手数料を得て収益としています。
実際のところ、家を建てる時のライフプラン相談は、生命保険料を上手に安くして家計を楽にする話になります。ところがそれでは「保険屋さんFP」は困るのです。
相談者に売りたいのは、高額な積立保険です。
もし相談者が、銀行の借入可能枠いっぱいを使って理想のマイホームを建ててしまったらどうなるでしょうか。毎月の手元に残るお金が少なくなり、FPが売りたい「月数万円の積立保険」や「資産運用の商品」にお金を回してもらえなくなります。
つまり、相談者の住宅予算を無理やりにでも低く抑えさせないと、自分の儲けになる商品が売れないのです。
「借りられる額と返せる額は違う」と恐怖心を植え付け、住宅の予算を削らせることで、自分が売りたい金融商品のための予算を確保しようとしています。
これは本当に深刻な問題で、FP相談の利益相反行為として厳しく規制するべきだと筆者は考えています。「その家の予算は高いです」と言っておいて、月掛け数万円の変額保険を売りつけようとする保険営業マン(自称FP)は、倫理的に最低ランクと言っても過言ではありません。
不安を煽る言葉に惑わされず、正しく資金計画を立てよう
「25人に1人が破綻する」
「銀行の限度額いっぱいに借りると危険」
こうした言葉は、一見すると親身な忠告に見えますが、実際の数字を調べればまったく根拠がないことがわかります
銀行が提示する借入可能額は、プロが厳密な審査を経て出した現実的な数字です。根拠のない警告に怯えて住みたい家を諦めたり、不要な保険や投資商品に大切なお金を回してしまったりしては本末転倒です。
都合のいいセールストークに惑わされず、客観的な事実とご自身の家計のバランスを見極めて、納得のいく資金計画を進めていきましょう。
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