潰瘍性大腸炎でもガン団信に入れるのか?
結論から言います。「やり方次第で入れます」
もちろん告知義務違反なしで、です。
告知書の書き方にコツがあります。当社のお客様には潰瘍性大腸炎でのガン団信の加入実績があります。
「潰瘍性大腸炎と診断されているけれど、住宅ローンの団信に入れるだろうか」
「一般団信はあきらめて金利の高いワイド団信にするしかないのだろうか」
「ガンの不安があるのでガン団信に入りたい」
家を買おうと考えたとき、潰瘍性大腸炎を患う多くの方がこのような不安を抱えます。
潰瘍性大腸炎は国の指定難病に指定されているため、「審査で一発アウトになるのではないか」と思われがちです。実際、Googleで検索してみると、ネガティブな情報しか出てきません。
絶対入れないと言わんばかりの情報ばかりです。FPでさえそんなことを書いているので驚きます。少しでも生命保険の実務の経験があったらそんなことは絶対に言わないはずなので、おそらく潰瘍性大腸炎の方に対する実務の経験がないのでしょう。
結論からお伝えすると、潰瘍性大腸炎であっても、団信に加入できる可能性は十分にあります。一概に絶対に無理とはいえません。いま服用している薬の種類、発症からの年数など一定の条件がクリアできていれば、ガン団信も入れるのです。
当社では潰瘍性大腸炎を患う方がガン団信に加入した実績があります。もちろんコツはあるとはいえ、告知義務違反は一切していません。正々堂々の団信加入です。
この記事では、潰瘍性大腸炎の方が団信の審査を受けるにあたって知っておくべき基本的な仕組みを詳しく解説します。
そもそも住宅ローンの「団信」とはどんなものか
最初の基礎知識から書きます。詳しい方はこの章は飛ばしてください。
住宅ローンを借りる際、ほとんどの金融機関で「団体信用生命保険(通称:団信)」への加入が必須条件とされています。
団信とは、住宅ローンの返済中に借りた人が死亡したり、所定の高度障害状態になったりした場合に、保険会社が残りのローンを全額返済してくれる仕組みの保険商品です。残された家族が住まいを失わずに済むように用意されている大切な制度です。
団信は生命保険の一種であるため、申し込む際には「過去や現在の健康状態」を保険会社に正直に報告する義務があります。これを「告知(こくち)」と呼びます。
一般の生命保険と同じように、持病がある人は健康な人と比べて亡くなったり働けなくなったりするリスクが高いと判断されやすく、審査が厳しくなる傾向があります。
潰瘍性大腸炎が団信審査で厳しく見られる理由
ここから本題です。
なぜ潰瘍性大腸炎があると団信の審査で不利だと考えられているのでしょうか。理由は大きく分けて3つあります。
- 国の指定難病であり、完治が難しい病気だから
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、潰瘍やただれができる原因不明の病気です。医療技術が進んだ現代でも完全に治す(根治させる)方法は見つかっておらず、国の指定難病に指定されています。保険会社の審査基準は、会社によって異なります。全く入れないという保険会社がたしかに存在しますが、一方で緩い保険会社もあります。 - 再燃と寛解を繰り返す特徴があるから
この病気は、症状が治まっている「寛解期」と、症状が悪化して血便や下痢が続く「活動期(再燃期)」を繰り返す特徴があります。いま症状が落ち着いていても、将来的に再び悪化して入院や手術が必要になるリスクがあります。 - 発症からの期間が長くなると大腸がんのリスクが高まるから
潰瘍性大腸炎に長期間かかっていると、健康な人に比べて大腸がんを合併する確率が上がると医学的に知られています。特にガン団信を申し込む場合、保険会社はこのがん化リスクに慎重になります。
繰り返しますが、これらの理由があるからといって、無条件に全員が断られるわけではありません。病気の状態によって審査の判定は大きく分かれます。
潰瘍性大腸炎でも「団信」に通る人の共通点
では、団信に加入できる人は、どのような状態だったのでしょうか。
当社における事例を見ると、3つの共通点があります。
共通点1:「寛解」と呼べる状態である
最も重要なのは、症状が出ない期間がどれだけ長く続いているかです。
血便・下痢・腹痛・発熱などの症状が一切なく、長期間にわたって日常生活や仕事を問題なく送れている状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。
例えば「症状が安定してから6年が経過している」といった実績があれば、保険会社としても「急激に悪化して亡くなるリスクは低い」と判断しやすくなります。
一般の保険会社では、安定から5年程度で医療保険も死亡保険も加入できるという取り扱いをしているケースが多いです。
共通点2:薬が「維持療法」の内服薬のみである
現在使っているお薬の種類がポイントです。
一般団信に通る人の多くは、「5-ASA製剤」と呼ばれる基本的な内服薬を、症状の再発予防のために飲んでいる状態です。
代表的なお薬には以下のようなものがあります。
- リアルダ(成分名:メサラジン)
日本国内では1錠あたり1,200mgの規格があります。寛解を維持するための一般的な用量は「1日1回2錠(計2,400mg)」です。 - ペンタサ
- アサコール
これらの予防的なお薬を1日決まった量だけ飲んでいることが通過の目安となります。
逆に、以下のような治療を行っている場合は、病状が重い時期とみなされ、一般団信の審査に通ることは難しくなります。
- ステロイドの内服薬(プレドニンなど)
- 局所ステロイド製剤(レクタブル注腸フォームなど)
レクタブルは、直腸などの炎症を一時的に抑えるための「活動期の治療薬」です。この処方が出ているということは、現在進行形で炎症がくすぶっていると判断されるため、使用中や処方直後は審査で大幅に不利になります。 - 免疫抑制剤(アザニン、イムランなど)
- 生物学的製剤(レミケード、ヒュミラ、シンポニー、ステラーラなど)
ただし、この処方がある時期は難しいというだけで、安定したら団信加入の可能性が高くなります。
共通点3:直近の内視鏡検査で炎症がないことが確認されている
大腸カメラ(内視鏡検査)を定期的に受けており、直近(1〜2年以内)の検査結果で「大腸の粘膜がきれいで、炎症が見られない」と診断されていることも強力な判断材料になります。
意外に思うかもしれませんが、この条件が揃うとガン団信も加入できる可能性が高いです。筆者も驚きました。
団信の告知書を書くときの4つの重要ポイント
ここから団信に加入するテクニックです。
団信の申し込みで最もやってはいけないのが、病名欄にただ「潰瘍性大腸炎」とだけ書いて提出することです。
保険会社の査定担当者は、何千人もの健康診断書をチェックしています。詳細を書かずに病名だけを出すと、「難病だからリスクが高い」と機械的に判断され、書類を見ただけで謝絶(審査落ち)にされてしまうおそれがあります。
大切なのは、潰瘍性大腸炎だとしても自分が今どのような症状なのかを詳しく書くことです。
ここを失敗している人が多すぎます。病名だけを書いて何の説明もなければ、必ず落ちます。これは住宅メーカーの担当者の無知が原因です。
自分の状態がどのような状態かを正しく伝えるために、以下の4つを気をつけてください。
- 正確な確定診断の時期と、寛解が続いている期間を書く
いつ発症し、いつから症状が落ち着いているのかを具体的に書きます。
【記入例】
「2018年に潰瘍性大腸炎と確定診断。治療により寛解に至り、直近6年間は血便や腹痛などの自覚症状は一切なく、完全寛解状態を維持しています。日常生活および仕事に支障はありません」 - 処方されている薬の「正確な名称・用量・目的」を書く
飲んでいる薬の名前だけでなく、それが「悪化を防ぐための予防薬」であることを明記します。
【記入例】
「リアルダ錠1200mgを1日1回2錠(2,400mg)服用中。現在症状はなく、寛解維持を目的とした予防的処方のみです。ステロイド薬や点滴治療などの使用歴はありません。」ステロイド薬はないとわざわざ書くことがポイントです。これ、書かないと絶対に通りません。保険会社や銀行から、「どんな薬を飲んでますか?」などの問い合わせは絶対になく、機械的に謝絶となるだけです。 - 通院の頻度と目的、状態を書く
病院に行っている理由が「治療」ではなく「経過観察と薬の処方」だけであることを伝えます。
【記入例】
「3か月に1回、定期的な経過観察および処方のため通院中。医師からは再発はないと言われている」 - 直近の検査結果を先回りして書く
大腸カメラを受けて良好な結果が出ているなら、それも記入します。
【記入例】
「202●年●月に大腸内視鏡検査を実施。粘膜の活動性炎症はなく、寛解維持との診断を受けています」
もし手元に直近の大腸カメラの検査結果表や、血液検査の結果用紙があれば、そのコピーを添付して提出するのも非常に有効です。
「この人どれだけアピールすんだよ」と言われそうなほど、好材料はこれでもかと書いてください。ポイントは寛解からの期間、薬の名前、ステロイドがないこと、内視鏡検査の結果を書くこと、医師の診断書や検査結果表を添付すること。実はこれで、寛解6年目でガン団信に加入できたケースが複数あるのです。
残念ながら、このあたりのノウハウは住宅メーカーの営業マンにはほとんどありません。
告知義務違反はコスパが悪い
「正直に書くと落ちそうだから、隠して申し込もうか」と考える方がいるかもしれません。
どうしても家は欲しいので、告知義務違反もしたくなる気持ちはよく理解できます。
ただ、潰瘍性大腸炎程度で告知義務違反のリスクを背負うのは、割に合いません。コスパが悪いのです。
もし病気を隠して団信に加入できたとしても、以下のような重大なリスクを背負うことになります。
告知義務違反が発覚した場合、生命保険であれば解除(つまり強制解約)をされるだけで済みます。しかし住宅ローンの場合は、一括返済を要求されることもあるのです。
潰瘍性大腸炎なら、別に危険な橋を渡らざるをえないような病気ではありません。いま無理でも、時間が経てば団信に入れるので、焦らないようにしてください。
引受保険会社による審査の違い
団信の審査基準は、すべての銀行で同じではありません。銀行そのものが審査しているのではなく、銀行が提携している「引受保険会社」が審査を行っています。
同じ潰瘍性大腸炎の告知内容であっても、A保険会社では断られたのに、B保険会社では一般団信の加入が認められた、というケースはめずらしくありません。
主な引受保険会社ごとの特徴や傾向を理解しておくことは、住宅ローン選びにおいて非常に重要なポイントになります。
クレディ・アグリコル生命(地方銀行などで広く採用)
多くの地方銀行で引受保険会社となっているのが、フランス系のクレディ・アグリコル生命です。
提出された健康診断書や告知内容を丁寧に査定する傾向があります。
そのため、「寛解期間が数年以上にわたって続いている」「リアルダなどの維持薬のみを飲んでいる」といった安定した状態を具体的に証明できれば、地方銀行の一般団信でも十分に承認を狙うことができます。
カーディフ生命(ネット銀行や大手地銀で主流)
団信の取り扱いシェアが非常に大きく、ワイド団信の先駆けとしても知られているのがカーディフ生命です。
カーディフ生命は公式サイトで「潰瘍性大腸炎だからといって必ずしも一般団信に入れないわけではない。寛解状態が続いており経過が良好であれば、医師の診断書などを添えることで通る可能性がある」と説明しています。
カーディフ生命は適応障害での団信審査もOKがでたことがあり、非常に頼もしい保険会社です。
「引受の保険会社が違う銀行」を順番に試す
住宅ローンの事前審査を申し込む際は、引受保険会社が異なる2〜3の金融機関を試しましょう。
例えば、クレディ・アグリコル生命が引き受ける地方銀行に申し込み、NGだった場合はカーディフ生命が引き受ける銀行に申し込みます。
最初にOKが出た銀行で借りることになるので、優先順位が高い順番に審査をしてください。
どの保険会社が引き受けているかは、各銀行のホームページを見ると分かります。
一般団信に落ちてしまったときの3つの対処法
もし万が一、一般団信の審査に落ちてしまったとしても、家を買うことを諦める必要はまったくありません。以下の3つの対処法が用意されています。
対処法1:ワイド団信に切り替える
最も現実的で使いやすいのが「ワイド団信」への切り替えです。
金利が年0.3%ほど高くなりますが、治療中であっても審査に通る確率は極めて高くなります。
対処法2:団信への加入が任意の「フラット35」を利用する
民間の銀行では団信への加入が融資の絶対条件になっていることがほとんどですが、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」であれば、団信への加入は任意(自由)です。
健康上の理由で団信に入れない場合でも、団信なしで住宅ローンを組むことができます。団信を付けない場合は借入金利が年0.2%引き下げられるため、毎月の返済負担を抑えられるメリットもあります。
対処法3:寛解するのを待つ
当社がお勧めするのがこれです。無理にいま家を買わず、数年待ちましょう。病状が安定してからまた申し込めばいいのです。ただし年齢的に待てないという場合は、フラット35やワイド団信を検討する順番で考えてください。
年齢が許すのであれば待つことをお勧めします。治療に専念しましょう。
まとめ
潰瘍性大腸炎は国の指定難病ですが、「寛解状態が長く続いている」「処方されている薬がリアルダなどの予防薬のみである」という条件が揃っていれば、金利上乗せのない一般団信に加入することは十分に可能です。
審査に通るかどうかは、「現在の自分の体がどれほど安定しているか」を、告知書を通じて積極的に保険会社へ伝えることです。
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