地方在住50歳独身。家を買っていいのか?
「50歳、年収450万円。家を買うのは無謀だろうか」
「独身で収入合算できる配偶者がいないが、ローンは借りられるだろうか」
「75歳まで再雇用で働ける見込みはあるが、住宅ローンを組んで大丈夫だろうか」
「万一に備えてがん団信に入りたいが、50歳でも加入できるのだろうか」
こうした不安を抱える方は少なくありません。もちろん、銀行が融資さえしてくれたら、50歳で住宅ローンを組んで家を購入することは可能です。
ただし、問題はローンを完済できるか?です。
もっというと、ローンを返済できるほどの収入がいつまであるか?収入は下がらないか?失業しないか?という点が不安になるはずです。
さらには、独身なので万が一の時に生活を支えてくれる人がいないことも不安でしょう。
ライフプランの観点から見ると、50歳で住宅ローンを借りるのはリスクが低くはありません。定年後の収入減少や医療費の増加に耐えきれず、老後破綻に陥るリスクが高まります。
ただし、家を買うにはラストチャンスだとも言えます。いったいどう考えたらいいのでしょうか。
この記事では、年収450万円・貯蓄500万円・退職金見込み300万円という条件をベースに、適正借入額、がん団信の加入条件、返済計画のポイントを解説します。
50歳からの住宅購入における「強み」と「潜むリスク」
条件
年齢:50歳
年収:450万円 退職金見込み:300万円
預貯金:500万円
独身・両親は介護状態で施設で生活・今後結婚の予定なし・職場は65歳で退職だが、75歳までは再雇用で働ける見込み。
このケースの強み
50歳という年齢から住宅ローンを借りるのは、よほど自己資金が用意できる人でない限り、大きなリスクになります。
しかしこの方のケースでは、75歳まで働けるという点が強みです。少なくともあと25年は働けるということなので、60歳定年の人の35歳に相当します。こう考えると決して無謀とは言えません。
年金受給開始後も継続的な給与収入が見込めます。
注意すべきリスク
65歳以降の収入ダウン
再雇用時の年収は、現役時代の50〜70%程度(年収200万〜300万円程度)に下がるのが一般的です。手取り収入が減った状態で現役時代と同じ毎月返済額が続くと、家計の返済負担率が一気に跳ね上がります。
病気のリスク
50歳からの住宅ローンは、病気で働けなくなるリスクと隣り合わせです。脳卒中、ガン、心臓病など、大病をした後にそれまでと同じペースで働くは不可能と思っていいでしょう。もし住宅ローンを返済できなくなったとき、家を売ればいいと簡単に考えるのは危険です。地方の戸建て住宅の場合、よほどの立地の良さがない限り、売る時は二束三文です。多くは自己破産へと進みます。
問題は、家計の収支と物件選び
75歳まで働けるからと言って、現在の預貯金と退職金の額では、4,000万円の新築分譲住宅を購入することはできません。
25年返済として、毎月の返済額をいくらにすると安全でしょうか?金利の上昇は確実に始まっているため、余裕を持った返済計画にする必要があります。
年収450万円での適正借入額
年収450万円(手取り月収:約28万〜30万円想定)の場合、安全な借入額の目安は以下のとおりです。
※金利1.5%(元利均等・金利変動しない前提)で試算
| 借入額 | 15年返済(65歳完済) | 20年返済(70歳完済) | 安全性の評価 |
| 1,000万円 | 毎月 約6.2万円 | 毎月 約4.8万円 | 最も安全。再雇用後の収入減でも比較的返済しやすい水準。 |
| 1,500万円 | 毎月 約9.3万円 | 毎月 約7.2万円 | やや危険。何かトラブルが起きると行き詰まる可能性が高い。 |
| 2,000万円 | 毎月 約12.4万円 | 毎月 約9.7万円 | 危険。生活が成り立たなくなる可能性大。 |
※物件購入時には別途、諸費用(物件価格の6〜9%程度)や、購入後の維持費(固定資産税、マンションの場合は管理費・修繕積立金で月2万〜3万円程度)が必要です。
年収450万円の場合、物件価格を1,000万円~1,500万円の間に留めておくと、地方のアパートの家賃と同程度で収まります。
現実には物件選びは中古物件が中心になる
資金計画で1,000万円~1,500万円というのは、いくら地方でも新築は不可能です。もしこの価格帯で土地込み新築になるとしたら、建物の品質と土地の立地を疑ってください。
実際には中古物件の検討になると思います。物件を調べると分かると思いますが、中古でも築浅は手に入りません。築25年以上~40年という建物が多いはずです。日本の建物の平均寿命は40年前後ですので、解体まであと何年持ちこたえそうか、専門家を交えてよく吟味することが重要です。
毎月の返済シミュレーション
住宅ローンの返済シミュレーションを作りました。
スライダーを動かすと返済額が分かります。返済期間は80歳までが上限です。
いくら借りると、いくらの返済額になるかご自身で確認してください。
大切なのは、今後金利が上昇し、返済額が1万円程度増える可能性があるという点です。余裕を持った借り入れ額を決めてください。
50歳でも「がん団信」に加入できるのか?
前述しましたが、病気のリスクは重大です。
住宅ローンを組む際、がんと診断されたら残債がゼロになる「がん団信」を検討するべきですが、50歳という年齢は加入できるギリギリです。
「満50歳以下」か「満50歳未満」かが分かれ目
金融機関や保険会社によって加入条件の表記が異なります。
- 加入できるケース(満50歳以下 / 満51歳未満)基準が「借入時に満50歳以下」または「満51歳未満」となっている金融機関であれば、50歳0ヶ月〜50歳11ヶ月の間は申し込みが可能です。
- 加入できないケース(満50歳未満 / 満46歳未満など)基準が「借入時に満50歳未満(49歳まで)」や「満46歳未満」と定められている商品は、50歳の誕生日を迎えた時点で対象外となります。
過去に病気の履歴があると、年齢に関係なくガン団信に加入できないことがあります。
生命保険の見直しは必須
ガン団信だけでなく、生命保険の見直しも必ず行ってください。
特に、死亡保障に多めに入っておくことが重要です。万が一脳卒中で重い障害が残った場合、死亡保障から「高度障害保険金」を受けとることができます。
高度障害に該当する場合は住宅ローンの残債がゼロになります。そのうえで生命保険も受け取ることができたら、その後の生活は保険金と障害年金ということになり、かなり助かります。
ただし、生命保険の見直しは住宅専門のFP事務所で行ってください。保険ショップや保険営業員に依頼すると、全く筋違いな保障内容となってしまいます。
50代が住宅ローンを組む際の注意点
50代で住宅ローンを組み場合の注意点をまとめました。
生活費の中から安全に返済できる金額を見極める
返済できだけでなく、老後のために貯蓄もできる余裕があるか
返済のことばかり考えず、貯蓄できるかどうかも重要です。65歳のときに最低でも2,000万円の貯蓄が必要といわれています。
手元に最低200万〜300万円は必ず残す
預貯金を全額頭金や諸費用に充てるのは避けてください。住宅設備の故障、ご自身の病気やケガによる一時的な休職などに備え、すぐに動かせる生活防衛資金を手元に残しておきましょう。
退職金300万円を返済のあてにしない
「退職金が出たら繰り上げ返済する」という計画は危険です。退職金は老後の基礎生活費や介護費用として確保し、現役時代の給与の範囲内で完済できる毎月の返済額を設定しましょう。
公的年金から住宅ローンの返済は不可能
老齢年金から住宅ローンを返済するのは不可能です。現役時代の年収がよほど高かった人でない限り、年金だけで生活するのは非常に困難です。住宅ローンを返済できる余裕は1円もないことがほとんどです。
生命保険の見直しは絶対
生命保険の見直しは必ず行ってください。ただし保険ショップや乗合代理店、保険会社の営業マンに依頼するのではなく、住宅専門のFPに依頼してください。団信や家計を緻密に計算し、必要な保障を安く作ってくれます。
もちろん、長岡FP事務所でも生命保険の見直しができますので、お気軽に依頼してください。
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