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実家じまいで地方・築古の家が売れない現実とは?放置リスクと売却・手放すための完全ガイド

実家問題
目次

実家問題、ご存じですか?

「親が亡くなり地方の実家を相続したが、買い手がつかない」

「解体したくても解体費用が高く、更地にすると固定資産税が跳ね上がると聞いて手が出せない」

実家の処分で悩みを抱えているという声は、当社の相談会に非常に多く存在します。子どもたちは全員自分を家を買ってしまい、実家に住む人は誰もいない場合、両親が亡くなった後で建物と土地の処分に非常に困ることが多いのです。

都市部の好立地にあるマンションや戸建てであれば買い手や借り手を見つけるのは難しくありません。しかし、地方都市であったり、築年数の古い戸建て出会ったりする場合、資産どころか維持費とリスクばかりが生じる「負動産」になりやすいのが現実です。

不動産事情にあまり詳しくない方の中には、「家は何十年経っても、何千万円で売れる」などと間違って覚えている人もいます。残念ながら、地方の戸建ては20年も経過すれば、基本的に価値はなく、立地と建物の良さで何とか売値が付いているだけなのです。

築50年も経過した建物は、解体して更地にしないと売れず、解体の値段よりも更地の値段がはるかに安いということが頻繁に起きます。

実家を解体するには坪あたり7万円程度の費用がかかり、更地にすれば土地の固定資産税が一気に高くなります。一方で、解体せずに空き家のまま放置すれば、建物の倒壊や野生動物の侵入、防犯上のリスクなど近隣トラブルの火種となり、法的なペナルティを受ける可能性もあります。

団塊の世代が相続のときを迎えている現在、1970年代~1990年頃に大量生産された「マイホーム」は耐久性が乏しく、50代の子供世代にとっての負の遺産となっています。

この記事では、地方にある築古の実家が直面する現実や放置する重大なリスク、実家を売却するための正しい進め方、そして売れなかった際に取れる最終手段までを詳しく解説します。

田舎の実家の「建物」は売れません

実家は子供世代にとって思い出の場所ですが、不動産の商品として見ると、完全に無価値です。

三つの理由を挙げます。

1. 人口減少と過疎化

地方都市や中山間地域では、若年層の都市部流出と急激な少子高齢化が進んでいます。地域の総人口が減るなかで住宅需要そのものが縮小しており、家を買いたい一次取得者層が極めて少なくなっています。

地方で出回る中古住宅は、高齢者が手放したボロ屋であることがほとんどで、若い家族が住みたいとは到底思えない代物です。若い世代は新築に集中します。

2. リフォームしても無駄になる

木造戸建て住宅は、税法上の耐用年数が22年と定められています。築30年、40年と経過した実家は、建物自体の資産価値はゼロです。

購入希望者が現れたとしても、給排水管の劣化、耐震性の不足、雨漏り、シロアリ被害などの修繕に数百万円から1,000万円規模のリフォーム費用が必要となります。

1,000万円でリフォームしても、完全寿命までの年数に大きな変化はなく、10年~20年程度で解体されることには違いありません。

そのような家を買いたいと思う人などいないのです。明らかに損をする買い物なのです。

3. 不動産屋は全く儲からないので嫌がる

不動産会社が得られる仲介手数料は「売買価格×数パーセント」という上限が法律で決まっています。

数百万円以下、あるいは数十万円程度の低廉な空き家を取り扱っても、現地調査や契約手続きにかかる手間に見合う利益が得られません。ほぼボランティアです。

そのため、不動産会社や大手仲介会社に相談しても、査定を断られたり、依頼できても何年も動きがないということがほとんどです。

まさに負の遺産です。手を出せば全員が損をするのが古い実家です。

解体したらもっとお金がかかる

「売れないなら解体して更地にすればいいのでは」と考えがちですが、そうは簡単にいきません。

解体費用は高いです

一般的な木造住宅を解体する場合、坪あたり7万円程度、鉄骨造やRC造ではさらに高額になります。

延床面積30〜40坪の家屋を解体するだけでも、150万〜250万円前後の費用がかかります。

さらに、家財道具や不用品(残置物)の撤去費用、狭小地や傾斜地で重機が入らない場合の割増費用などが加わり、総額で300万円を超えるケースも珍しくありません。

更地にすると固定資産税が最大6倍になる

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の課税標準額が大幅に減額されています。

  • 小規模住宅用地(200平米以下の部分):固定資産税が6分の1に減額
  • 一般住宅用地(200平米を超える部分):固定資産税が3分の1に減額

家を取り壊して更地にすると、この特例が適用されなくなります。

建物の固定資産税はなくなりますが、土地の固定資産税が高くなるため、「売れる見通しがないのに解体すると、毎年の税金負担だけが重くなる」という地獄になります。

空き家のまま放置するのは悪手

解体費用や税金を気にして「とりあえずそのまま放置する」すると、将来的に深刻な被害を招きます。

実家までの交通費が往復数万円かかるなど、遠方の場合は特に放置しがちです。

野生動物の住処・害虫の大量発生

人の気配がなくなった空き家は、イタチ、タヌキ、ハクビシン、ネズミ、野良猫などの棲み家になります。猫が大繁殖した空き家もめずらしくありません。

屋根裏や床下に糞尿が堆積して強烈な異臭を放ち、シロアリやゴキブリ、ハチなどが大量発生して隣家に侵入する、野良猫大量発生など、衛生環境の著しい悪化を引き起こします。

外壁・屋根瓦の崩落、倒壊による損害賠償責任

建物は換気や通水をしないと急速に湿気がこもり、腐食が進みます。台風や大雪、地震などの自然災害をきっかけに、外壁材や瓦が強風で吹き飛び近隣の車や家屋を破損させたり、通行人に当たって怪我をさせたりする危険があります。

工作物責任(民法717条)により、建物の不備で他人に損害を与えた場合、所有者は過失がなくても損害賠償責任を負わなければなりません。

被害の規模によっては数千万円から数億円の賠償請求に発展するリスクがあります。

不審者の住み着き・放火などのリスク

庭木が生い茂り、ポストにチラシが溜まった空き家は、外から見て一目で放置されていると分かります。

不審者が勝手に住み着いたり、不法投棄の投棄場所にされたり、犯罪の拠点として利用される恐れもあります。怖い人たちが数十人出入りするようになっていたら、自分ではもう対処できません。

また、空き家は放火のリスクもあります。割れた窓ガラスから煙草を投げ入れられただけで、一気に燃え上がるでしょう。

近隣住民からの激しいクレーム

伸び放題の植栽が隣の敷地や道路へ越境したり、落ち葉が隣家の雨どいを詰まらせたりすることで、自治会や近隣住民から役所へ苦情が寄せられます。

遠方に住んでいても役所や警察から連絡が入り、現場対応や謝罪、草刈りの手配などに追われ、多大な時間と精神的ストレスを強いられます。遠方に住んでいる場合のはその都度高額な交通費と時間をかけることにもなります。

行政による「特定空家」「管理不全空家」指定

2023年に改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」により、空き家への取り締まりは大幅に強化されました。

管理不全空家等の創設

放置すれば危険となるおそれがある段階で「管理不全空家」に指定されます。指導・勧告を受けると、建物を残していても住宅用地特例(固定資産税の減額)が解除され、固定資産税が跳ね上がります。

特定空家等への措置

倒壊の危険が著しいなど状態が深刻な「特定空家」に指定され勧告・命令を受けると、最大50万円の過料が科されます。さらに命令に従わない場合、行政が強制的に建物を解体する「行政代執行」が行われ、その莫大な解体費用はすべて所有者に一括請求されます。

実家を売却するための手順

実家を売却するにはどのような手順を踏むといいのでしょうか?

ステップ1:権利関係と境界の確認

まずは登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、不動産の名義が誰になっているかを確認します。

親が亡くなっている場合は、遺産分割協議を行い、相続登記を済ませましょう。(※2024年4月より相続登記の申請が義務化されています)。

また、隣地との境界標があるか、境界確認書が存在するかを確認しておきましょう。

ステップ2:家財道具の片付け

売却を行う際、家財が散乱している状態では購入希望者の印象が極めて悪くなります。

仏壇の処分、貴重品や思い出の品の回収を行い、不要な家具・家電は不用品回収業者や遺品整理業者を利用して撤去します。室内を空にして清掃するだけで、内覧時の印象は大幅に改善します。

ステップ3:地域密着型の不動産会社へ査定依頼

大手の不動産会社だけでなく、実家があるエリアで長年営業している地元密着の不動産会社に相談します。

近隣住民の需要(駐車場にしたい、隣の敷地を広げたい等)を把握していることが多いためです。複数の会社に査定を依頼し、現実的な売却相場を把握します。

ステップ4:価格設定と「古家付き土地」での売り出し

本来であれば、建物を解体せずに「古家付き土地(現状渡し・契約不適合責任免責)」として売り出すのが優先です。

まずは解体費用を売主が事前に持ち出すリスクを避け、購入者が「リノベーションして住む」か「解体して新築を建てる」かを選べる状態にしておきます。

解体しないので売値を安くしようと思いがちですがそこは慎重に。「売主負担で解体したら買う」という交渉は必ず受けます。解体費用をこちらが持ったとしても、ある程度の利益が残るような値段設定をしましょう。

地方の僻地であれば、解体したら赤字になるという物件もあるでしょう。でも赤字でも許容範囲なら解体して手放すべきでしょう。今後さらに人口が減り、売れる見込みはありません。

ステップ5:相続空き家の3,000万円特別控除

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の戸建てを相続し、一定の耐震改修を行うか解体して更地で売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例税制があります。

つまり、古すぎる空き家を解体して更地で売却すると所得税が安くなりますということです。200万円で解体し、200万円で土地を売却した場合、そこにかかる所得税はゼロということになります。

実家がどうしても売れなかった時は?

通常の仲介で買い手がつかない場合、次の方法を試してください。

1. 自治体の「空き家バンク」に登録する

多くの自治体が、移住・定住の促進や空き家対策の一環として「空き家バンク」を運営しています。

都市部から地方への移住希望者、古民家カフェやアトリエを開きたい人、DIY愛好家、スモールビジネスの経営者などが閲覧しています。古くても、事務所としてなら需要はあるかもしれません。

一般的な不動産ポータルサイトでは見向きもされない築古物件でも、格安物件を探しているニッチな需要とマッチングする可能性があります。

2. 訳あり物件・空き家専門の「買取業者」に依頼する

仲介で一般の個人に売るのではなく、再販を目的とする不動産買取業者に直接売却する方法です。

雨漏りやシロアリ被害がある物件、残置物が残ったままの物件でも、そのままの状態で買い取ってくれるケースがあります。

仲介相場よりも売却価格は安くなりますが、即座に現金化でき、売主の契約不適合責任(※)が免除される点が大きなメリットです。

※契約不適合責任とは引き渡された物件が契約内容(品質・種類・数量)と一致せず、雨漏りや欠陥などがある場合の責任のことです。 買い手は修繕や減額などを請求できますが、築古実家の売買では売り手側の「免責特約」をつけるのが一般的です。

3. 隣地の所有者へ購入や引き取りを打診する

第三者には価値のない土地でも、隣の住人にとっては「敷地を広げて庭や家庭菜園にしたい」「子供の駐車場スペースを作りたい」「日当たりや通風を確保したい」といった要望があるかもしれません。

不動産会社を通じて、隣地所有者に相場より安価な価格や解体費折半などの条件で打診してみる価値は十分にあります。もしかしたら、「として使いたい」という需要から、建物をそのままでいいという条件になるかもしれません。

4. 「0円マッチングサイト」の活用

売却益を期待せず、「無償でもいいから手放したい」という場合は、無償譲渡物件を専門に扱うマッチングサイト(「みんなの0円物件」や「家いちば」など)に掲載する手法があります。

贈与税や登記費用などを買主(譲受人)負担とする条件で掲載すれば、手出し費用を最小限に抑えて物件を手放せる事例が増えています。

ただし、購入希望者とのトラブルは自己責任です。全員が善人とは限らず、譲渡された実家で近所迷惑なことをする可能性もゼロではありません。売った元実家が犯罪の拠点となり、テレビのその姿が報道されることもあるかもしれません。

筆者が見るところでは、0円での譲渡は

5. 「相続土地国庫帰属制度」を利用する(※土地のみ)

2023年4月にスタートした制度で、相続によって取得した不要な土地を国に引き取ってもらう仕組みです。

ただし、この制度を利用するためには建物を解体して更地にする必要があり、土壌汚染がないこと、境界が確定していることなど厳格な要件を満たさなければなりません。

また、申請手数料(1筆あたり1万4,000円)に加え、国の承認後に10年分の管理費用に相当する負担金(原則20万円〜)を納付する必要があります。解体費用と負担金を支払ってでも後腐れなく手放したい場合の選択肢となります。

6. 自治体への寄付(無理)

高齢者でこれを言い出す人がいますが、非現実的です。

自治体への寄付は受け付けていません。公共的な利用価値(公園予定地や避難路の拡幅など)がない限り、受け入れを断られます。

0円でも誰もいらない土地が多いので、0円マッチングサイトがあるのです。都合よく自治体が引き取ってくれるなど、無理もいいところでしょう。

実家じまいは「先送り」が最大のリスク

地方や築古の実家じまいにおいて、最も避けなければならないのは「どうしていいか分からないから」と決断を先送りにすることです。

年数が経つほど建物は老朽化し、残置物の劣化や近隣トラブル、法改正による増税や過料のリスクは雪だるま式に膨らんでいきます。

さらに、所有者が高齢化して認知症を発症すると、資産の売却や処分自体が法的に難しくなります。

まずは現地に行くことです。ろくに現地を確認もせずに売却したいと言う人が多いですが、そんな簡単なら誰も苦労していないのです。

不動産屋を回り、顔を見せて依頼をしましょう。儲からない仕事をお願いするという気持ちを忘れないようにしてください。

いずれにしても家の中のものはすべて片付ける必要があります。実家に戻り、数日泊まりながら片づけをするように頑張りましょう。

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長岡FP事務所代表社員

長岡FP事務所合同会社
代表社員 長岡理知

住宅専門FP・RAG型AIエージェント「Tally」シリーズの開発者。プロダクトエンジニア。インディーハッカー。

2005年にプルデンシャル生命へ入社。2009年から2011年まで大手ハウスメーカー専属FPとして活動し、2011年以降は数多くのハウスメーカーと提携。2020年に保険会社を退職し、長岡FP事務所を開業しました。

住宅専門FPとして約20年にわたり、累計5,200世帯を超える住宅購入相談を担当。ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険の見直しを専門としています。

当社ブログでは、AI(LLM)を使用せず、すべての記事を本人が執筆しています。

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