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FIRE後に住宅ローンは組める?資産5,000万円でも審査に落ちる理由と4つの解決策

ここ数年の株式市場の好調さのおかげか、FIREしたという人からの相談をよく受けます。

FIREとは、早期退職をして資産と運用益を崩しながら生活するというスタイルのこと。毎日の出勤に疲れたサラリーマンの憧れのようです。

筆者はサラリーマンだった時期が短く、ずっと自活してきたので、むしろサラリーマンの安定さに憧れがあります。人というのは難しいものです。

50歳前後でFIREはしたものの、持ち家はなし。賃貸暮らしで家賃という固定費が重荷になっている。物価高で家賃が高くなっていて、引っ越したいけど審査に通らない。いっそのこと持ち家が欲しい・・・そのような相談が最も多いのです。

資産額は5,000万円~7,000万円と潤沢に見えます。

これだけあれば銀行も住宅ローンを喜んで貸すだろう、と普通は考えがちです。

しかし答えは・・・

すべての金融機関から、お断りされるのが現実です。

資産を取り崩して生きるFIRE民に特化した住宅ローン商品が発売されない限り、無理のようです。

これはなぜなのでしょうか。

この記事では、銀行審査の仕組み、そしてFIRE後に住まいを確保するための現実的な4つの方法を解説します。

銀行の審査では「資産5,000万円」より「無職」が深刻

住宅ローン審査で金融機関がもっとも重視するのは、現在いくら持っているかではありません。「完済までの長い期間、毎月の返済が確実に続けられるか」という収入の継続性です。

毎年の年収の再現性が問われるのです。

これはあくまでも収入であって、資産を取り崩した生活費のことではありません。

会社員であれば、前年の源泉徴収票1枚で「来年も同程度の給与が入るだろう」と推定してもらえます。一方、株式や投資信託を取り崩して生活している場合、審査上はこう映ります。

金融機関から見れば、「無職」。

FIRE=無職を目標にしてきたので、仕方ありません。

公的な書類にも「無職」としか書けません。

取り崩しは「所得」として扱われない

資産を売却して得た現金は、確定申告上は譲渡所得や元本の回収にあたります。譲渡所得という名前の所得じゃないかと思うでしょう。しかし、

「来年も同じ額の譲渡所得を確保できますか」と問われたとき、その再現を証明する手段がありません。まさか、来年も再来年も好調に運用が続くと思い込むほどの素人であれば、FIREなど思い切ったことはしていないはずです。

FIREしたからには資産運用の経験を積んでいるはず。証明は無理だとよく理解しているはずです。

含み益は担保にはならない

審査時点で試算が時価で5,000万円あっても、銀行側は「大きな暴落で半減するかもしれない」「融資実行後に本人が使ってしまうかもしれない」という見方をします。

口座に質権を設定してない限り、自由に出し入れできる資産は評価の対象にはなりません。まして、含み益は質権に設定できないため、住宅ローンの審査では単なる「みずもの」です。

証券担保ローンはありますが、住宅ローンでは証券を担保にすることは不可能です。

結果として、審査のまな板の上では「5,000万円を持つ人」ではなく「無職の50歳」として扱われ、初期段階ではじかれてしまいます。

この無職という言葉に敏感になってしまうFIRE民は少なくありません。無職を目指してきたのに肩書が無くなったとたん、強い疎外感を覚えるのは、少々見込みが甘いとしかいえません。「プロ無職」への準備が足りなかったのでは?と思います。お金を持っていても、無職は精神的に厳しいのです。

富裕層向けの「資産評価型ローン」もむずかしい

一部の信託銀行やプライベートバンキング部門、外資系銀行には、保有資産を評価して融資するオーダーメイド型のローンが存在します。

「無職でも資産があれば借りられる」と紹介されることのある商品です。

これならいけるかも、と思うのですが・・・現実は厳しいです。

このような富裕層向けのローンで融資判断をしてもらう場合、借入希望額の数倍以上の純粋な金融資産(預金・国債・流動性の高い上場株式など)の提示を求められるのが一般的です。

借入希望額が2,000万円だとすると、求められる流動資産の目安は8,000万円〜1億円以上+その金融機関での預かり実績、となります。

借入希望額が4,000万円なら、1億6,000万円~2億円程度です。

これだけの流動資産(基本的に預金)が必要です。

運用資産としての5,000万円は会社員の資産として十分に立派な金額で、金融機関としても信託報酬を払い続けてくれる上客ですが、住宅ローン審査においては見方が違います。

住宅費を甘く見過ぎかもしれない

FIREを目指す人はよくYouTubeなどで情報を得ています。そこでは「持ち家は無駄、賃貸でいい」などという主張が目立ちます。

しかしそれを信じた結果、FIRE後も家賃を固定費として払うのですから、少し理解に苦しみます。

FURE後の固定費を下げるためには、持ち家しかありません。買っておくのか、実家を継ぐのか、現金で買えるほどの激安物件を手に入れるのか。地方に行けば、0円で譲渡してくれる物件のマッチングサイトもあります。山林の中の元別荘みたいな廃屋でも良ければ、0円です。

そんなのは嫌だ、都会で暮らしたいと思うのであれば、住宅費という大きな固定費をどう考えるのか、FIRE前に計画しておくべきでしょう。家賃5万円として、30年間で1,800万円です。ただし東京都であれば、家賃5万円は見つけるのは難しいでしょう。青森県でも簡単ではありません。

住処のお金を甘く見てはいけません。ユーチューバーの持ち家不要論は、筆者にはちょっと根拠が薄い机上論に聞こえます。リアルな生活はそんなに甘くはないよ、と。

FIRE後に家を買うのは危険

ローンが組めるかどうか以上に見落としやすいのが、FIRE後の生活費のシミュレーションそのものです。

4%ルールをはじめとするFIREの計算は、住居費を含めた生涯の支出がある程度予測できることを前提に成り立っています。そこに「あとから家を買う」「大きな頭金を入れる」という無計画なイベントが加わると、計算の前提が大きく崩れます。

頭金1,500万円を出すと、生活保護並みの収入に

資産5,000万円に4%ルールを適用すると、年間の許容支出は約200万円(月約16.6万円・税引き前)です。

かなり厳しい生活になるはずです。

ここでローンが組めず、頭金1,500万円を現金で支払ったとします。

  • 5,000万円 − 1,500万円 = 3,500万円
  • 3,500万円 × 4% = 年間140万円(月約11.6万円・税引き前)

頭金を払った瞬間に、月々使えるお金は16.6万円から11.6万円へと約30%縮小します。

月に使えるお金は約12万円。ローンが無い持ち家で、自動車を所有しないのであれば、もちろん生活はできます。しかし、生活保護費と変わらない金額では、かなり窮屈な生活となります。

「一生賃貸」も机上論でしかない

「ローンが無理なら賃貸でいい」という意見もまた机上論でしょう。

無職の方が新しく賃貸物件を借りることは、相当難しくなっています。築浅物件は全滅でしょう。大家が直接契約してくれる審査なしの築古なら可能かもしれません。

老齢年金の受給が始まれば、年金生活者と名乗れるため、無職よりは物件選びの幅が広がります。しかし、65歳までは引っ越しもままならない状態になります。

高齢者への物件の貸し渋りは深刻で、公営住宅への入居が現実的になる地方都市もあるでしょう。エレベーターのない5階建ての県営住宅などは地方には多く、上の階しか空室が無いこともめずらしくありません。

公営住宅でも十分のはずですが、健康寿命が尽きてからは暮らしにくくなります。

FIRE後に住宅を手に入れる方法

すでにFIREしていて、あとからマイホーム取得を目指す場合、選択肢は次の4つです。

1〜2年だけ会社員に戻る

短期間だけ正社員や契約社員として働き、給与所得者の属性でローンを組んでから、引き渡し後にあらためてリタイアする方法です。フラット35であれば融資が現実的です。

資産の一部をインカムゲインに移す

資産を高配当株や収益不動産に替え、3期分の確定申告で事業所得・不動産所得の継続実績をつくる方法です。時間はかかりますが、審査上の見え方が大きく変わります。

譲渡所得による取り崩しは「元本を売った」としか見えませんが、特に不動産所得は「保有し続けたまま毎年生まれる収入」として扱われます。

現金一括で買う

1,000万円以下の中古物件を現金で購入する方法です。運用元本が減るため、あまり高い家は買えません。必然的に中古物件となります。居住する場所も地方に引っ越すことになります。

これが一番現実的でしょう。

地方銀行・信用金庫に個別交渉する

30〜50%以上の頭金を提示し、資産背景を踏まえた個別審査を打診する方法です。手間はかかりますが、機械的な審査では拾われない事情を人の目で見てもらえるかもしれません。(成功率はゼロに近いほど低いです。かなりの資産額があれば何とかいけるかも)

しかしそもそもの流動資産(預金)が1億円以下であれば、新築住宅を買えるほどの融資は難しいと思います。

流動資産が多いなら住宅ローンを借りる必要はなく、賃貸でも継続できるわけで、いろいろと矛盾があります。

FIREする前提は、持ち家があること

日本の住宅ローンは、給与所得者にとって圧倒的に有利な仕組みになっています。超低金利で数千万円を長期で借りられるのは、会社員という属性があってこその特権です。

別に大手企業の勤務でなくていいのです。勤続年数が数年ある会社員というだけで、銀行は融資審査のまな板に乗せてくれます。

これからFIREを目指す段階の方であれば、会社員のうちに住宅ローンの実行まで済ませ、住まいを確定させてからリタイアするのがもっとも安全な手順です。FIREしてからも返済ができるように資産額を準備しましょう。

すでにFIREされている方も、道がないわけではありません。

現金一括で買える範囲の物件を探す、再度会社員になり属性をつくり直すなど、シミュレーションを無理のない形に描き直していけば、住まいの不安は十分に解消できます。

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ABOUT US
長岡FP事務所代表社員

長岡FP事務所合同会社
代表社員 長岡理知

住宅専門FP・RAG型AIエージェント「Tally」シリーズの開発者。プロダクトエンジニア。インディーハッカー。

2005年にプルデンシャル生命へ入社。2009年から2011年まで大手ハウスメーカー専属FPとして活動し、2011年以降は数多くのハウスメーカーと提携。2020年に保険会社を退職し、長岡FP事務所を開業しました。

住宅専門FPとして約20年にわたり、累計5,200世帯を超える住宅購入相談を担当。ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険の見直しを専門としています。

当社ブログでは、AI(LLM)を使用せず、すべての記事を本人が執筆しています。

20年にわたる相談経験をデジタルクローン化したRAG型AIエージェント「Tally」をはじめ、多くのAIエージェントを開発・運営しています。

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