2026年7月募集の個人向け国債は、固定5年が年1.95%、変動10年が年1.80%、固定3年が年1.56%です。
ほんの2年前まで0.5%にも届かなかった金利が、いまや2%に迫っています。
2025年度の個人向け国債の発行額は6兆円を超え、19年ぶりの高水準を記録しました。日銀が国債の購入量を減らすなか、「日銀に代わる買い手」として個人投資家の存在感が急激に増しています。
元本が保証され、1万円から購入でき、金利も高い。そんな個人向け国債は、「ノーリスクで安全にお金を増やしたい」と考える人にとって、非常に合理的な選択肢になっています。
この記事では、3種類の個人向け国債の特徴と、インフレに備える物価連動国債の仕組み、そして生命保険の個人年金保険と比較したときの違いについて解説します。
個人向け国債は3種類。目的に合わせて選べる
個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。
どれも1万円から1万円単位で購入でき、購入手数料はかかりません。半年ごとに利子が支払われ、発行から1年経過すれば中途換金も可能です。
固定5年(固定金利型5年満期)
2026年7月募集分の金利は年1.95%(税引後 約1.55%)。
購入した時点で金利が確定し、5年間変わりません。
300万円を購入した場合、税引後の利子は年間約46,600円。5年間の合計で約233,000円の利子を受け取り、満期時には元本300万円と合わせて約323万3,000円になります。
「5年間は使う予定がないまとまったお金がある」「今の金利水準を活かした資産運用がしたい」という人に向いています。
いま3種類のなかで最も金利が高く、人気も集中しています。2025年度を通じて固定5年が発行額トップでした。
変動10年(変動金利型10年満期)
2026年7月募集分の初回適用利率は年1.80%(税引後 約1.43%)。
半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上がれば、それに連動して利子も増えます。逆に金利が下がった場合でも、年0.05%の最低保証があるため、利子がゼロになることはありません。
300万円を購入し、仮に年1.80%のまま10年間推移した場合、税引後の利子は年間約43,000円。10年間の合計で約430,000円、満期時には約343万円になります。実際には金利が半年ごとに変動するため、金利が上がればこれ以上、下がればこれ以下になります。
「日銀がさらに利上げを続ける」と考えるなら、変動10年のほうが有利になる可能性があります。実際に2026年6月の利上げ以降、変動10年への資金流入が増加しています。
固定3年(固定金利型3年満期)
2026年7月募集分の金利は年1.56%(税引後 約1.24%)。
3年後に使う予定がある資金など、比較的短期の資金を安全に運用したい場合に適しています。
300万円を購入した場合、税引後の利子は年間約37,200円。3年間の合計で約111,800円、満期時には約311万1,800円になります。
3種類の選び方
金利がこの先も上がると見るなら変動10年。いまの金利水準が十分に魅力的で、確定リターンが欲しいなら固定5年。使い道が決まっている短期資金なら固定3年。
どれを選んでも元本は国が保証し、購入も換金も手続きが簡単です。
投資といってもノーリスクです。
NISAはともかく、生命保険会社の商品ではこれよりもリターンが悪く、リスクが高い商品はたくさんあります。
個人向け国債はどこで買えるか
個人向け国債は、証券会社・銀行・ゆうちょ銀行(郵便局)など、幅広い金融機関で購入できます。ふだん使っている銀行や証券口座があれば、そこで申し込めるケースがほとんどです。
購入の流れはシンプルで、金融機関で国債用の口座(特定口座など)を開設し、募集期間中に購入を申し込むだけです。ネット証券であればオンラインで手続きが完結します。
購入手数料は一切かかりません。口座の維持費用も基本的に無料です。
毎月募集があり、2026年7月募集分の場合は7月6日〜7月31日が募集期間、8月17日が発行日です。買い逃しても翌月にまた募集が始まるため、焦る必要はありません。
なお、証券会社によっては購入金額に応じた現金プレゼントキャンペーンを実施していることがあります。同じ国債でも購入先によってキャンペーンの内容が異なるため、複数の証券会社を比較してから申し込むのがお得です。とくに1,000万円以上のまとまった購入を考えている方は、キャンペーンの差額だけで数万円の違いが出ることもあります。
物価連動国債に注目。インフレから資産を守るために
個人向け国債とは別に、もうひとつ注目すべき国債があります。それが物価連動国債です。
通常の国債は、満期まで保有すれば額面金額が戻ってきます。物価連動国債は、元金額そのものが消費者物価指数(CPI)に連動して増減する仕組みです。
物価が上がれば元金が増え、それに応じて利子も増えます。
たとえば100万円で購入した物価連動国債で、満期までに物価が10%上昇したとすると、元金は110万円に増えたうえで利子も受け取れます。
物価の上昇(インフレ)でお金の価値が目減りすることへのリスクヘッジになります。
物価連動国債の購入方法
もともと機関投資家向けの商品でしたが、2015年から個人にも開放されました。購入方法は主に2つあります。
ひとつは財務省が年4回(3月・6月・9月・12月頃)実施する新発債の募集に、証券会社を通じて申し込む方法。額面10万円単位で、手数料は無料です。
もうひとつは、証券会社の流通市場で購入する方法。こちらは市場価格で売買するため、タイミングによっては元本割れのリスクがあります。
手軽に始めたい場合は、物価連動国債を組み込んだ投資信託を活用する方法もあります。
ネット証券なら100円から購入可能です。
個人向け国債と物価連動国債の違い
個人向け国債(変動10年)は「金利の変動」に対応する商品。物価連動国債は「物価の変動」に対応する商品です。
いまの日本のように金利も物価も上昇している局面では、どちらにもメリットがあります。ただし物価連動国債は途中売却時に元本割れする可能性があるため、個人向け国債のほうが安全性は高いといえます。
生命保険の個人年金と国債、どちらが得か
「安全にお金を増やしたい」と考えたとき、保険会社の個人年金保険を思い浮かべる人は多いでしょう。
個人年金保険は昔から多くの人が加入している、老後のための資産運用のための保険です。昨今の金利環境ではあまり魅力的なリターンではありませんが、なぜか人気があります。
おそらく、老後のための積み立て=個人年金という固定概念のせいでしょう。
実際には、いまの金利環境では、個人年金保険よりも、個人向け国債のほうが有利なケースが多いといえます。
個人年金保険の現状
2026年現在、金利上昇を受けて保険会社も予定利率を引き上げています。
たとえば住友生命の場合、年金支払開始まで30年未満で予定利率1.00%、30年以上で1.20%。30歳加入・60歳払込満了・65歳年金開始の10年確定年金で、返戻率は約118%です。
一見すると悪くない数字に見えますが、ここには大きな落とし穴があります。
「予定利率」は契約者の利回りではない
保険の予定利率は、保険会社が保険料を運用する際に見込む利回りであって、契約者が受け取る利回りそのものではありません。
保険料のなかには保険会社の運営コスト(付加保険料)や死亡保障部分が含まれているため、実質的な運用利回りは予定利率よりもかなり低くなります。
予定利率1.00%の個人年金保険に30年間保険料を払い込んで、返戻率が118%ということは、30年かけて元本が18%増えたにすぎません。年率に換算すると0.5%台です。
一方、個人向け国債の固定5年は年1.95%。税引後でも約1.55%です。しかも国が元本を保証しています。
国債が個人年金保険より優れている5つのポイント
忖度なく言うと、個人年金保険をかけるよりも、国債を買った方が得です。
その理由を挙げます。
① 利回りの透明性が高い
国債の金利は額面に対してそのまま計算されます。保険のように付加保険料が差し引かれることはありません。表示されている金利がそのまま利回りです。
② 流動性が高い
個人向け国債は発行後1年経てばいつでも中途換金でき、元本が戻ります(直近2回分の利子相当額のみ差し引き)。
個人年金保険を途中解約すると、ほとんどは元本割れします。とくに加入から10年以内の解約では、払込保険料の70〜80%程度しか戻らないケースが珍しくありません。
外貨建ての個人年金であれば、さらに為替リスクに晒され、大損となるケースもあります。
③ コストがかからない
個人向け国債は購入手数料も管理手数料もゼロです。保険は見えにくいコストが保険料に含まれています。
④ 金利上昇に対応できる
変動10年を選べば、今後の金利上昇に追随できます。個人年金保険は加入時の予定利率で固定されるため、その後どれだけ金利が上がっても、契約中の利率は変わりません。
⑤ 1万円から始められる
個人向け国債は1万円から購入可能です。個人年金保険は毎月の保険料の支払いが必要で、しかも受け取れるのは数十年後です。
個人年金保険料控除があるから得なのか?
「でも個人年金保険には保険料控除があるのでは」と思う方もいるでしょう。
たしかに個人年金保険料控除を使えば、年間の保険料が8万円を超える場合に所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の所得控除が受けられます。
しかしこれは所得控除であって税額控除ではないため、実際の節税効果は所得税率に応じて数千円〜1万円程度です。
この控除のためだけに、流動性が低く、実質利回りも低い商品に数十年間お金を拘束されるのは、合理的とはいえません。
外貨建て一時払い保険よりも、国債のほうが合理的な理由
「まとまったお金を確実に増やしたい」と考えたとき、銀行や保険営業マンから勧められやすいのが外貨建て一時払い終身保険です。
米ドル建てで予定利率3〜4%と聞くと、国債の1.95%より魅力的に見えるかもしれません。
しかし、その利率はあくまでドルベースの話です。円で受け取るときに何が起きるかまで考えると、話はまったく変わってきます。
為替リスクという爆弾を抱えている
外貨建て一時払い保険の最大のリスクは為替変動です。
たとえば1ドル=150円のときに1,000万円を一括で払い込み、5年後にドルベースの返戻率が115%になったとします。ドルでは確かに増えています。
しかし5年後に1ドル=120円まで円高が進んでいたら、円換算の受取額は約920万円。80万円の損失です。
返戻率115%のはずが、円では元本割れしています。
一時払いの場合、保険料を支払うタイミングが1回しかないため、ドルコスト平均法による為替リスクの分散もできません。加入時の為替レートにすべてが左右されます。
為替手数料と解約控除も重くのしかかる
外貨建て保険では、円をドルに替えるとき、ドルを円に戻すとき、それぞれ為替手数料がかかります。往復で1ドルあたり0.5〜2円程度。1,000万円規模の保険料なら、為替手数料だけで数万円が消えます。
さらに、多くの外貨建て一時払い保険には「解約控除」があります。
契約から5〜10年以内に解約すると、解約返戻金から一定額が差し引かれる仕組みです。「市場価格調整(MVA)」と呼ばれます。金利が上昇した局面で解約すると返戻金がさらに減額されるのです。
住宅ローンを組んでいる人こそ、変動10年の国債を検討すべき
住宅ローンを変動金利で組んでいる方にとって、最大の不安は「金利が上がったら返済額が増える」ことでしょう。2024年のマイナス金利解除以降、実際に住宅ローンの変動金利は段階的に上昇しています。
ここで注目したいのが、個人向け国債の変動10年です。
変動10年の金利は、10年物国債の市場利回りに連動して半年ごとに見直されます。住宅ローンの変動金利も、日銀の政策金利や市場金利の動きに影響を受けて上がります。
つまり、金利が上昇する局面では「住宅ローンの返済額が増える」と同時に「変動10年の利子収入も増える」という関係が生まれます。
もちろん、住宅ローンの金利上昇分を国債の利子収入で完全にカバーできるわけではありません。しかし、手元の余裕資金の一部を変動10年で運用しておくことで、金利上昇による家計への打撃を間接的に和らげる効果が期待できます。
繰上返済に回すか、国債を買うか
「余裕資金があるなら繰上返済したほうがいいのでは」と考える方も多いはずです。たしかに繰上返済は確実にローンの総支払額を減らせます。
ただし繰上返済に回したお金は、もう手元に戻りません。住宅ローン減税の適用期間中であれば、繰上返済による利息軽減よりも、ローン減税の控除額のほうが大きいケースもあります。
一方、個人向け国債であれば発行後1年経てばいつでも換金でき、元本も戻ります。「いざというとき使えるお金」のまま、利子を受け取ることができます。
固定金利ローンの人にも国債は有効
住宅ローンを固定金利で組んでいる場合は、金利上昇リスクはありません。
世の中の金利が激しく上昇しても、自分だけは住宅ローンの返済額が同じなのです。
その場合、国債の変動10年を持っていれば、固定金利にしたメリットを享受しながら、国債の利益も増えていく、という状態になります。
世の中が恐れる金利上昇が、上がれば上がるほど自分は得をしていくわけです。
大きな投資でリスクを抱える必要はない
個人向け国債の金利は過去20年で最も高い水準にあります。元本保証、高い流動性、手数料ゼロ、1万円から購入可能。これだけの条件が揃った金融商品は、他にほとんどありません。
「何かあったら元本割れする商品は避けたい」「でも銀行の普通預金に入れっぱなしはもったいない」。そう感じている方には、個人向け国債はいま注目の選択肢です。
低金利が続いていた時代であれば、リスクをとってNISAなど投資をするしかありませんでしたが、日本銀行が利上げをするほど、投資に頼らなくても済むようになります。
1980年、郵便局の定額貯金(10年)の金利が8%だったころ、投資をする人は少なかったはずです。当時もし500万円を預けたら、10年後には、1,096万円になっていました。約2倍です。
これから日本の金利が上がっていったとしたら、リスクを抱えるよりも確実に償還されるノーリスクの金融商品の人気が出るはずです。住宅ローンの金利は上がりますが、同時に貯蓄につく利息も増えます。
いまこの金利上昇の局面では、NISAの投資をするのもいいのですが、手持ちの現金で国債など確実な金融商品も取り入れることが大切です。
住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。
Tally(タリー)は、FP経験20年・5,000世帯の相談実績を学習したRAG型AIエージェント。商品の売り込みなしであなたの不安に答えます。一生分のキャッシュフロー表も自動作成。
あなたの会社に必要な保険、AIが特定します。
Tally Businessは、法人保険に特化した事業者向けAIエージェント。業種や規模をもとに、必要な保険の種類をその場で特定し、PDF帳票にまとめます。





















