家を買う時、いつまでも決められないという人がいます。
一見、よくいる家を買いたい夫婦なのですが・・・。
住宅展示場に何度も足を運び、営業担当者の話を聞き、間取りやカタログを毎晩のように眺め、夫婦で新居の夢を毎日のように語り合っている。家具店や雑貨屋にいくと、新居に置きたいものがたくさん見つかる。
それなのに、いざ契約や具体的な段取りの話になると、どうしても一歩が踏み出せないのです。
「住宅メーカーの違いが分からなくて選べない」 「提示された金額が高く感じて決められない」「失敗するのが怖い」「失敗したと思うのが怖い」「銀行の仮審査も怖い」「心の準備ができていない」
など、たくさんの理由を並べて、何ひとつ先に進めません。
訪問した住宅展示場は20社、30社と増えるばかり。どの会社でも親切に接してもらえるものの、進展なし。
「住宅ローンの事前審査をしてみませんか?」
「設計の申し込みをして具体的に見てみませんか?」
「希望のエリアの土地の情報を集めますね」
「お金のことが不安なら、住宅専門のFPを紹介しますよ?」
住宅営業マンは少しでも前向きな気持ちになってもらおうと、様々なことを提案してくれます。
しかし、「あ、まだいいです」などと言い、何も決めないまま、さらに新しい住宅メーカーの展示場へ行く。その繰り返しで、もう数年が経過している人もいます。
「注文住宅は着工から引き渡しまで早くても半年かかります。住宅ローンの返済が始まるのは引き渡し後です。先延ばしにすると、完済の年齢が一歳また一歳と上がるだけですよ。」
住宅営業マンにそう正論を言われると、「煽ってきた!」「そうやって焦らせる!」と騒ぐのですが、やはり何も実行に移しません。
次第に、「具体的に計画が始まったらまたお越しください」と営業マンに言われ、実質的な商談打ち切りに至るように。
挙句の果てには、「僕たちを決めさせてくれない営業マンが悪い」などと他人のせいにする人も。
これ、住宅業界では「ふわっとしている人」という言い方をします。
このふわっと勢、住宅が欲しいと思っているのに先に進まない理由はなんなのでしょうか?
決められない人の心理的背景
なぜ、家が欲しいのに契約までこぎつけることが難しいのでしょうか。
なぜ、自分でもどうしたいのか分からなくなってしまうのでしょうか。
そこには5つの理由があります。
耳が痛いことばかりでしょうけど、聴いてください。
「ロジック」ではなく「直感」で判断している
「提示された金額が高い」と感じて立ち止まってしまう時、あなたの頭の中に「この金額なら払える」という具体的な数字はあるでしょうか。
あるいは、「この金額は払えない」という数字でもいいでしょう。
多くの場合、自分の予算が言えません。予算を考えることからも逃げているのです。仮に持っていたのとしても、「土地込み1,000万円まで」などと非現実的な金額です。
「だって家は高いじゃないですか、いくらがいいか分かりません」と必ず言います。
しかしそれは、基準となる物差しがない、あるいは間違っているため、提示される金額がすべて漠然と「高すぎる」に見えてしまいます。
感覚とイメージだけで話をしているのです。
確かに、コンビニのおにぎりと比べたら、住宅は高いです。
でも「コンビニおにぎりと家は違う」とはっきりと言葉で思えないと、いつまでも、おにぎりやサンドイッチよりも高いという直観やイメージで悩んでしまうのです。
「絶対に失敗したくない」が先にきている
住宅購入は人生最大級の買い物です。
「損をしたくない」「将来後悔したくない」と考えるのは当然のことです。
しかし、決められない人は、失敗を異常なレベルで恐れています。正確に言うと、失敗を恐れているのではないのです。失敗したと思って落ち込む自分を恐れているのです。
話を聞いていると、実は大きな失敗をしたことがないのも特徴です。これまでも失敗するほどのチャレンジをしなかったようなのです。したことがない失敗を想像で恐れるというのが実情のようです。
誰しも失敗は嫌なものですが、成功には失敗は確実に付きものですし、失敗しないためにこそよく考え、取捨選択を繰り返すのです。
決められない人たちは、失敗したくないあまりに、取捨選択ができません。
選択肢を1つに絞ることは、他の可能性を捨てることです。「もう少し待てばもっと良い条件が出るかも」とか「この営業マンの言うことは嘘かも」と想像で選択肢を増やしていると、当然決断など何ひとつできません。
これは主体性ともかかわってきます。「自分が欲しいのはこんな家!」とはっきりとイメージがある人であれば、「これは自分には要らない」「これは必要」と瞬時に仕分けることができます。
この営業マンは合わないなと思えば、選択肢から外せばいいだけです。
それなのに「断って嫌がらせされたらどうしよう」「嫌がらせされたら警察に行くべきですか?」「怒ったらどうする?」と、正直、幼稚な妄想を繰り広げるのです。被害妄想を繰り返した挙句、やることは営業マンや住宅メーカーへの攻撃(クレーム)です。
選択肢を広げ過ぎれば、人は必ず攻撃的になります。攻撃をして自分を守る卑屈な人格になります。何ひとつ決めないのにクレームだけは超攻撃的という人が多いのはそういう背景でしょう。
取捨選択を一度もしないまま、大きな決断ができる人はいません。失敗したくないから取捨選択をするのです。
「正解探し」をしている
「性能は最高級がいい」「デザインもおしゃれにしたい」「でも価格は安く抑えたい」。
SNSなどで住宅情報が簡単に手に入る現代では、矛盾した条件を全て満たす「100点満点の家」を探し求めてしまいがちです。
特に男性はその傾向が強いと思います。
何かを妥協しなければならない現実に直面した時、「どこかに安くて完璧なメーカーがあるはずだ」と選択肢を増やしてしまいます。
残念ながら、家づくりは、すべてを実現するためには巨額の資金が必要なのです。お金をかければかけるほど100点に近づいていきますが、予算に限りがある人はそうはいきません。
100点は無理でも自分にとって許容できる点数(80点なのか60点なのか)を決め、予算と天秤に載せるのです。つまりどこかで妥協が必要です。
土地の立地なのか、建物の大きさなのか、マンションの間取りなのか。
大富豪でもなければ100点は無理です。もしくは、屋根と壁があればいい、という極端な目線の低さがなければ、100点にはなりません。
正解は自分が決めるのです。
夫婦の話し合いがない、話し合う習慣がない
夫婦で話し合って合意形成をする習慣がないと、やはり先に全く進みません。
夫婦そろって「不安、高い、他も見たい」ばかりでは、先に進むわけがありません。
「思っていたよりも高かったね、FP相談の予約をしようか?」
「あのメーカーでは買えないね」
「あの担当者では若すぎて不安だね」
「もう少し狭い間取りになりそうだけど、どう思う?」
「クローゼットが狭いから、服を減らす必要あるね?」
そのように常に話し合う時間を持ちましょう。
配偶者に主体性がないなと思ったら、自分がすべて決めていいか、それとも買うのをやめるか、自分がリードして決めるといいです。
現状維持バイアス
せっかくFP相談を行い、適正な予算をロジックで示されても、最後には「やっぱり不安」と言い出す人もまれにいます。
何を聞いていたのか・・・何を話していたのか・・・それとも見当違いの相談会だったのか・・・と、筆者も崩れ落ちるような気持ちになるものです。
「なんとなく不安」と感情論に逃げ込んでしまうのは、変化することへの恐怖もあるようです。
これを専門用語で、現状維持バイアスと呼びます。人は何も変えないほうが楽なのです。携帯料金が高くても変えない、生命保険を払いすぎでも変えない、家賃の金額と住宅ローンの返済額が同額でなければ不安・・・それは現状維持バイアスでしかありません。
現状維持バイアスは考えなくていいし、決断しなくてもいいわけですから楽です。問題を発見し、解決するために具体的に行動するという解像度の高い思考は、心理的負荷が高いため、学生時代から避ける人は大勢います。
無理に変える必要はありません。どうしても決断するのが性格的に難しければ、買うのをやめるという決断も必要です。そのときも、夫婦でちゃんと「やめる」という合意形成をしましょう。
しかし撤退も決断です。
専門家の価値を無にしていませんか?
決断を先延ばしにする人は、専門家の価値を低く見積もっているか、価値をそもそも理解していない人でしょう。
住宅購入は専門家たちとの協働です。 住宅営業マン、設計士、インテリアコーディネーター、大工、設備業者、建材業者、FP、銀行などです。
専門家はあなたの不安を安心に変え、要望を形にするように働きます。具体的な問題解決のプロなのです。専門家に相談したら、解像度が一気に上がったという経験はありませんか?
抱えている問題を相談することによって、その解像度が得られるのです。
「高い気がする」「なんだか不安」「もっといい案があるかも」といった曖昧な感情論をいくら専門家にぶつけても、具体的な解決策は生まれません。
銀行審査は100%事実と数字の世界ですし、設計も予算と要望という「条件」がなければ図面を描けません。
決断を先延ばしにしている人は、専門家を心理カウンセラーのようにだらだらと感情の話をする相手にしてしまっています。それでは問題解決の専門家たちは徒労感を感じてしまいます。
まずは自分が何をしたいのか、紙に書き出す
では、どうすればその状態から抜け出せるのでしょうか。
専門家を相手に感情の話で時間を無駄にするのをやめ、あなた自身がこのプロジェクトのオーナーとして意思決定の材料を揃える必要があります。
まずは、自分が何をしたいのか、紙に書き出しましょう。
「要望」と「不安」をすべて文字にする
- 家でどんな暮らしがしたいのか(広いリビングで家族と過ごしたい、静かな書斎がほしい)
- 絶対に譲れない条件と、妥協できるポイントはどこか(駅近は絶対、太陽光は優先順位が低いなど)
- 何が具体的に不安なのか(毎月〇万円以上は厳しい、子供の大学資金など)
頭の中だけで考えていると、感情と情報が混ざり合って思考停止に陥ります。紙に書き出して客観視することで、初めて感情ではなく課題として捉えれることができます。
夫婦で意思を確認して議事録をつける
決められない人の特徴は、夫婦のコミュニケーションが薄いのは前述のとおりです。
お互いに意見をすり合わせる習慣がないと高い買い物ができません。
普段から察し合うことが当たり前で深い話をしたことがないと、住宅購入の話も遠い国のファンタジーみたいなニュアンスで終始します。
「ほんとに買う気ある?」とどちらかがはっきり言いましょう。「やるなら本気で考えようよ」と。
仲良し夫婦もいいのですが、大人として意見を伝え合う、すり合わせる習慣をこの機会に着けられるといいですよね。
買わないという決断でもいいのです。決断をお互いに委ねる甘えがあるうちは、住宅購入はお勧めしません。
筆者は、住宅購入計画ノートをつけることがおすすめしてます。夫婦の会話の議事録です。
毎日「今日の議題」として、お互いの考えを紙に書きていきましょう。積みあがると大きな気づきがあります。
FP相談で適正予算をつかむ
住宅メーカーの見積もりを基点にして、ものごとを考えるのをやめましょう。
まずは自分たちの将来の教育費、老後資金、働き方を考慮したライフプランニングを行い、「毎月いくらまでなら安全に払えるか」「金利が上昇したらどうなるか」「子供が増えたらどうなるか」などというシミュレーションをします。その結果として適正な予算が分かるのです。
これはFPに依頼するとすぐに計算できます。
ただし、FPは問題発見と問題解決の専門家です。論理の話に感情論をかぶせるのはマナー違反。議論になりません。
感情を問題に落とし込み、自分はこれが不安だったんだと理解するためにFP相談を利用してください。
何が不安かを徹底的に話し合い、具体的な解決策へと向かっていくのがFP相談です。
住宅購入計画ノートを商談・FP相談のたびに持参する
夫婦の意見を書いたノートを毎回持って、商談に臨みましょう。
「土地は〇〇エリアが第一希望、〇〇エリアが第二希望、予算はいくらということで話し合っています」
「FPに聞いたら適正な予算は〇〇万円、メンテナンスフリーの建材を使うこと」
「自己資金は〇〇万円まで。それ以上はローンを借りますが、返済期間は30年です」
「太陽光発電や全館空調は不要です」
「平屋が希望ですが、予算次第では2階建てにします。ただし2階建てありきで誘導はしないでください」
「間取りとデザインはこんな感じで(Instagramや雑誌の写真を見せる)」
「賃貸マンションの更新時期は来年〇月です。そこまでに引き渡しができることが条件です」
このような課題が提示されると、各専門家は非常にやる気がでます。
明確な要望を聞いたうえで、「こんな選択肢もありますよ」と提案してくれることもあります。心が動いたら、その都度夫婦で話し合い、ノートを更新していきましょう。
ノートを使うと、何となく不安とか、でも何がいいか分からないとか、「ふわっとした」状態がなくなります。専門家たちからも意見を尊重される施主になります。
住宅購入をきっかけに、夫婦のきずなを深めましょう
住宅の商談中に夫婦喧嘩をして離婚する人たちも多い一方で、むしろ絆が深まる夫婦も大勢います。
いままでしっかり話し合ったことが無かったとか、こんな考え方を持っているのかと初めて理解したとか、配偶者の感情の背景にはこんな経験があるのだと知ったとか、そんな感想を持つ方が多いのです。
住宅購入をきっかけにして、配偶者の理解が深まると、新居での生活はより楽しいものになりますよね。
住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。
Tally(タリー)は、FP経験20年・5,000世帯の相談実績を学習したRAG型AIエージェント。商品の売り込みなしであなたの不安に答えます。一生分のキャッシュフロー表も自動作成。




























