住宅ローン返済額シミュレーター

借入額・期間・金利を入れるだけ。無料・登録不要で使えます。

メンタル疾患の治療歴があっても住宅ローンの団信に入れる?告知を恐れなくていい理由をFPが解説

うつ病やパニック障害、適応障害などのメンタル疾患があると、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)に入れないと思い込んでいるかもしれません。

ネットで検索すると、「メンタル疾患の告知をすると謝絶になる」という情報が圧倒的に多いのが現状です。

通院歴や診断歴があるだけで、そもそも住宅購入を諦めてしまう方は少なくありません。

しかし、メンタル疾患があるからといって必ずしも団信に加入できないわけではありません。20年前と比べて生命保険会社の引受基準は治療の状態で細分化されており、適応障害やうつ病の治療歴があっても一般団信の審査に通るケースは非常に多いのです。

メンタル疾患歴=謝絶というわけではなく、あくまでもその治療の現状で判断されるようになっています。

この記事では、メンタル疾患と団信の告知についてFPが解説します。

メンタル疾患でも団信に入れるケースは増えている

メンタル疾患の診断歴があると、一律で団信に入れないという認識は、もう過去のものです。たしかに20年前は、睡眠導入剤を処方されているだけでNGだった時代があります。当時、保険営業マンだった筆者も「メンタル疾患=保険に入れない」という強い認識がありました。

保険営業の経験が20年以上のベテランは、当時、ささいなメンタル疾患でお客様の保険の加入を自分の保険会社に断られる(=結果的に保険が売れない=商談が台無し)という強烈な体験と悔しさを経験しています。保険営業マン自身が保険に入れなかった事例も少なくありません。そのため、FPの中でもベテランほどメンタル疾患は住宅ローンの団信に加入できないと今も思い込んでいる傾向が強いでしょう。

現在は生命保険会社の引受基準が治療状態ごとに細分化されていて、メンタル疾患の治療中であっても一般団信の審査に通る方は増えています。

たとえばメンタル疾患の中でも比較的軽度とされる、適応障害を診断されたことがあっても、投薬が終了し、就業しており、完治(寛解)している方であれば一般団信に加入できる可能性は高いでしょう。これは適応障害は「原因となる環境がある」という病気であり、環境が変われば投薬治療が必要なくなることが多いという特徴があるためです。ただし併発しているメンタル疾患がある、入院歴があるとなると、団信は厳しくなるかもしれません。

メンタル疾患歴で団信の心配をされている方の場合、多くはうつ病(あるいはうつ状態)でしょう。

うつ病の場合は適応障害よりも少し団信加入のハードルが上がりますが、一律に無理ではありません。入院歴がない、就業している、発症直後ではない、併発しているメンタル疾患がない、処方されている薬の種類、などの条件が揃っている場合は、一般団信の審査に通りやすくなります。

繰り返しますが、メンタル疾患歴だけで一律に門前払いされるわけではありません。審査で重視されるのは、あくまで治療の様子です。

精神疾患で団信の審査が厳しくなるのはどういう場合か

では、審査が厳しくなるケースはどんな状態でしょうか。

まず、発症直後や症状が不安定な急性期です。症状がまだコントロールできていない段階では、保険会社としてもリスクの評価が難しく、引受を見送る判断になりやすいです。この場合は仕事を休職しているケースが多いため、そもそも告知以前に、就業の問題からローン審査の俎上には乗りません。

保険会社にとってのリスクとは、自殺のリスク、あるいは突発的な行動による事故のリスクです。そのリスク度から見て、急性期では厳しいということになります。

次に、メンタル疾患での入院歴が一定の期間内(保険会社にもよりますが、3年〜5年など)にある場合です。入院を要するほどの重症度は、再発リスクや就業への影響(収入の安定性)が大きいと判断されます。

次に、処方薬の種類が一定数以上(5種類以上など)の場合です。複数の薬が処方されているということは、それだけ症状が重く、現時点ではコントロールが難しい状態であることを意味します。保険会社から見てまだリスクが高いと判断されるでしょう。

逆に、これらに該当しない場合、メンタル疾患の診断歴があっても告知を恐れる必要はありません。

ただし統合失調症や双極性障害などの場合は寛解していても極めて厳しい判断となることがあります。

告知書の書き方が非常に大切です

メンタル疾患を診断されているかどうかが問題ではなく、それをどのように告知書に書くかがが大切です。

大前提として、「告知書で質問されていることに嘘をついてはいけない」のは絶対ルールです。

まず、一番悩むのはこの項目でしょう。

告知日より過去3年以内に、以下の病気で、手術を受けたこと、あるいは2週間以上にわたって、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか。

現在処方を受けている、あるいは現在や中止しても3年以内には受けていた場合は、「はい」に該当します。

「以下の病気」には、こう書いてあります。

統合失調症、うつ病、躁病、躁うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症

ここで疑問に思うのは、神経症とは?という定義です。

少し難しくなりますが、現在の診断体系であるICD-10において、「神経症性障害、ストレス関連障害およびみについた形態の障害」(F40-F48)に分類されるものとしては、主に以下のようなものがあります。

不安系障害(パニック障害、社会恐怖、広場恐怖症、全般性不安障害など)

強迫性障害

ストレス関連障害(適応障害、PTSD、急性ストレス反応など)

解離性障害(解離性健忘、解離性同一性障害など)

これらに該当する場合には、「はい」と回答してください。

重要になるのが「告知内容の詳細欄」

告知書は質問されたことだけに淡々と答えれば、保険会社が査定基準を判断できる材料になりますが、実はフリー入力で書き込める「詳細欄」が存在します。

団信の場合は、「診察を開始した年月を教えてください」などの質問で、なぜかフリー入力の欄があります。ここに、年月だけを書くのはもったいないのです。

診断は2022年7月。〇〇を処方され服用。2023年1月に服用中止。

このように、診断された年月だけでなく、処方された薬の名前も付け加えることができます。

本来は年月だけ書けばいいのですが、保険会社の査定部門にプラスとなる追加情報を伝える目的で書くことには一定の効果があります。詳細を伝えるということは、「自分は嘘をつかずに詳細に渡り告知した」という証跡にもなるため、将来たとえ保険会社と紛争が起きても、何もひるむことはありません。

特に処方薬の内容は重要です。

保険会社によっては、最後にまとめて詳細をフリー入力できるケースもあるため、積極的に記入しましょう。

ADHDの場合はどうするか?

ADHDは「神経症」には該当しません。そのため、上記の告知事項には該当しないため、「いいえ」と回答します。

ただし、次の項目の

前項の質問で、すでにお答えいただいた以外の病気、けが、症状などについてお尋ねします。告知日より過去3ヶ月以内に、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか。

ここには、正直に答える必要があります。ADHDで定期的に通院している場合、治療行為がある場合、投薬されている場合は「はい」と回答する必要があり、詳細欄には「ADHD」と記載することになります。

「ADHDは病気ではない、個性である」と主張する方も多いのですが、団信の告知において哲学的な主張は一切問われていません。診察があるのか、投薬や治療があるのか、その事実だけが求められています。

ADHDの場合は、団信に加入できる場合も、謝絶される場合も両方あるようです。その差は、入院歴や発症からの年数はもちろんですが、処方されている薬の内容や併発している病気の有無によります。

ADHDの治療薬としてSNSなどでも人気の声が高い「コンサータ」を処方されているケースは、団信は厳しくなることが予想されます。コンサータ(メチルフェニデート)は中枢神経刺激薬で、依存性・乱用リスクがあるため、「ADHD適正流通管理システム」への登録が義務付けられている、非常に重い薬です。

これは保険会社にとって強いリスクシグナルで、コンサータの処方がなければ生活に一定の支障をきたすという「重症度」を示していると判断されます。一方で、「ストラテラ」「インチュニブ」のような非刺激薬であれば、査定は比較的「可」よりにいくかもしれません。「コンサータ」「ビバンセ」のような刺激薬があれば、同じADHDでも「不可」に判断される可能性が高いと考えていいと思います。

コンサータが必要なほど症状が深刻であれば、団信に入りたい(住宅ローンを借りたい)がために処方を拒絶する必要はありません。健康の方が大切です。いずれ症状が落ち着いて薬が変わってから再度住宅ローンの審査をすればいいのですから。

保険会社はADHDによる事故リスクと、二次障害でのメンタル疾患を不安視します。そのため症状の軽さを判断できる材料を提供できれば、団信に加入しやすくなります。刺激薬を投薬されていないのであれば、詳細欄でその旨アピールする必要はあるでしょう。

診断も治療もない「自己診断ADHD」のかたがたくさんいらっしゃいますが、その場合は告知する必要はありません。病院で治療を受けているかどうかに回答するだけです。

メンタル疾患の告知で「それは書かなくていい」と言われても信じてはいけない

ここで知っておくべき重要な問題があります。

住宅ローンの団信を案内している銀行の行員の一部は、生命保険の募集人資格を持っていないことがあります。

資格のない人が団信の申し込み手続きをしてもいいのかと疑問に思う人いるでしょう。保険業法違反ではないかというと、実はこれ、グレーの扱いのようです。

団信は「団体保険」であり、保険契約者は金融機関(銀行)、住宅ローンの借り手は「被保険者」です。

保険業法上、銀行が借り手に「団信に加入しますか」と聞く行為は「加入勧奨」と呼ばれ、保険募集とは区別されています。加入勧奨には募集人資格が不要であるため、銀行員は資格なしで団信の手続きを担当できます。

生命保険募集人の資格があれば、告知義務について体系的な教育を受けています。どこまで告知すべきか、告知義務違反があった場合にどうなるか、そして「それは書かなくていいですよ」と言うこと自体が保険業法300条で禁止されている不告知教唆に当たることなど。こうした知識が最低限担保されています。

しかし募集人資格がない人の場合、この不告知教唆のリスクを理解していないことがあります。

メンタル疾患の通院歴について「この通院歴は書くべきですか?」と聞かれたときに、住宅ローンの審査を通したいという動機から、「そのくらいなら書かなくて大丈夫ですよ」と安易に答えてしまうのです。

告知は、告知書の質問に対して正確に行うことが大前提です。嘘はいけません。逆に言うと、質問されていないことは回答する必要はないのですが、プラスに働く要素と思うなら詳細欄に書けるだけ書きましょう。

不動産会社の営業担当が不告知教唆をしたら

不動産会社、住宅メーカーの社員の場合は、かなり危ない説明をしていることがあります。

彼らの仕事は住宅の売買契約を成立させることであり、団信の告知は「必ず通過すべきハードル」となりやすいのです。

現場では「その程度であれば、うちの他のお客さんも通ってますから大丈夫ですよ」「嘘をついても団信は入れますし万が一の時も払われます」といった完全にアウトなアドバイスがなされることがあります。

告知で嘘をつけば、必ず審査は通過するからです。

また、告知義務違反で団信に入った人が亡くなった時、団信保険がおりて住宅ローンがゼロになったという「成功体験」を持っていて、それを一般論化しているケースもあるでしょう。

しかしそれを真に受けるのはかなり危険です。

不動産会社の営業担当者は住宅ローンの手続きに関与はせず、保険業法の規制対象ではありません。告知義務違反の不告知教唆について法的な責任を問われることもほとんどありません。

しかし借り手から見れば、不動産の営業担当も銀行員も「専門家」です。専門家が大丈夫と言うなら大丈夫なのだろうと信じてしまいます。

しかし、将来問題となった時に不動産会社は責任をとってくれません。不告知教唆の証拠はないからです。

「告知書は正確に書いてくださいね」と言ってくれる不動産担当者だけを信用してください。不告知教唆をする人とは、関わるのをやめましょう。

告知義務は時間が解決する

もし、告知義務違反をして入った場合、告知義務違反が発覚すると保険契約は解除されることがあります。

その場合は、住宅ローンの一括返済を求められるリスクがあります。

銀行員が「書かなくていい」と言ったとしても、不動産の営業担当が「みんな通ってる」と言ったとしても、最終的に不利益を被るのは借り手自身です。彼らが責任を取ってくれることはありません。

告知書に署名するのは借り手本人であり、告知義務の責任も本人に帰属します。

もし、いま症状が急性期で住宅ローンが借りられなかったとしても、多くの場合はいつか借りられる時がきます。焦ることはありません。時間が解決します。

保険会社を変えて再審査することも大切

住宅ローンの団信は引き受けている保険会社が金融機関によって異なります。この保険会社を調べておきましょう。

一度審査に落ちたからといって、違う金融機関の審査をしても、同じ保険会社の団信では結果は同じことになります。

団信の査定基準は保険会社により異なるため、金融機関を変えれば通る可能性があります。「この団信の引受はどこの保険会社ですか?」と質問しておきましょう。

告知に迷ったら、長岡FPに相談してください

告知書の記載内容について迷ったとき、不動産会社の営業担当に相談しても、信頼できる回答を得られることは少ないのが現実です。

SNSやネットの情報を検索しても、実のところ、信頼に足る情報は極めて少ないです。情報が古く、「メンタル疾患は一律でNG」と書いているものから、「それは告知しなくていい」と無責任なアドバイスが書かれているものまで存在します。

答えはひとつです。

正確に告知する。質問されたことには正確に答える。質問されていないことでマイナスになることは答えなくていい。

これが原則です。

メンタル疾患について告知すべきかどうか迷う場合は、住宅ローンと生命保険の両方に精通した住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

告知の仕方ついての助言はもちろん、万が一団信に加入できなかった場合の代替手段についても、提案することができます。

住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。

Tally(タリー)は、FP経験20年・5,000世帯の相談実績を学習したRAG型AIエージェント。商品の売り込みなしであなたの不安に答えます。一生分のキャッシュフロー表も自動作成。

無料 登録不要 24時間

全5回・無料

住宅ローンの選び方、
LINEでこっそりお勉強できます

LINEで受け取る

病気のある方の個室代に備える保険

自分に必要な保険を1分で診断します

ABOUT US
長岡FP事務所代表社員

長岡FP事務所合同会社
代表社員 長岡理知

住宅専門FP・RAG型AIエージェント「Tally」シリーズの開発者。プロダクトエンジニア。インディーハッカー。

2005年にプルデンシャル生命へ入社。2009年から2011年まで大手ハウスメーカー専属FPとして活動し、2011年以降は数多くのハウスメーカーと提携。2020年に保険会社を退職し、長岡FP事務所を開業しました。

住宅専門FPとして約20年にわたり、累計5,200世帯を超える住宅購入相談を担当。ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険の見直しを専門としています。

当社ブログでは、AI(LLM)を使用せず、すべての記事を本人が執筆しています。

20年にわたる相談経験をデジタルクローン化したRAG型AIエージェント「Tally」を開発・運営しています。

【インハウス開発AIプロダクト】

Tally
住宅購入、住宅ローン、ライフプラン、生命保険の見直し、資産運用などを相談できるAIエージェント。

Tally Pro
面談相談で使用する、住宅購入相談に特化したプロ向けライフプランソフト。

Tally Business
スタートアップ企業向けに、会社経営に必要な保険を診断できるAIツール。営業担当者に会うことなく、必要な保険を把握できます。

毎月ひとつのシリーズプロダクトを出すことを目標に、爆速でデプロイ中。