定年後に住宅ローンが払えない時の対処法|FPが任意売却まで解説

定年退職を迎えてから、住宅ローンの支払いが重くなる世帯はめずらしくありません。

現役時代に組んだ住宅ローンの完済時期が、定年退職を大きく超えている人は非常に多いのです。

当然ながら定年退職後に収入が落ちれば返済できません。定年退職時に預貯金で繰り上げ返済をするか、預貯金を取り崩しながら返済をするかしかないのですが、肝心の資産形成をしてこなかった場合は、事態は深刻になります。

もし、すでに返済に困っていたら・・・大事なのは、今から何ができるかを知ることです。

この記事では、住宅専門FPの立場から、定年後に払えなくなった時の選択肢と、やってはいけないことを解説します。

なぜ定年後にローンが払えなくなるのか

おさらいします。

退職後の家計は、収入が急減します。現役時代は給与・賞与・残業代という複数の収入源がありましたが、退職後は、再就職をしない限り、基本的に公的年金のみです。

再雇用で働き続けても、収入は現役時代の5〜7割程度にとどまるのが一般的です。年金が主な収入になった段階では、さらに手元のお金は少なくなります。

再雇用の制度がない職場の場合は、再就職活動をしてどこかに企業に勤めるか、自営業として働くしかありません。しかし、65歳で再就職して働けるほどの健康と気力がある人は多くないのが現実です。

定年後は医療費・介護費・住宅の修繕費など、現役時代にはあまり意識しなかった出費が増えます。

老後破産予備軍ともいえる人は増えているのです。

滞納するとどうなるか?

住宅ローンを払えなくなったとき、放置すると状況を悪化させます。

予備知識として、滞納から競売に至るまでの流れを把握しておきましょう。

住宅ローンを滞納すると、まず金融機関から督促状・催告書が届きます。

それでも返済がない場合、「期限の利益の喪失通知」が届きます。これ以降は分割払いの権利を失い、ローン残高の一括払いを請求されます。この時点で「詰み」です。

さらに放置が続くと、金融機関は競売の申立てを行い、裁判所主導で自宅が売却されます。

競売になると、市場価格より大幅に低い金額でしか売れない上、手続きの主導権は自分にありません。

当然ながらこの状態になる前に動くことが絶対条件です。

やってはいけない3つのこと

住宅ローンを滞納すると、ストレスと焦りから誤った判断をしがちです。

以下の3つは絶対に避けるようにしてください。

金融機関からの連絡を無視・放置する

気持ちは分かります。督促状をもらっても、払えないものは払えないのですから。

しかし無視を続けると「返済の意思がない」とみなされ、競売の手続きが早まります。

督促が来た時点で、すぐに連絡を入れることが先決です。まずは相談をしましょう。それだけで金融機関の心象と対応は違ってきます。

カードローンや消費者金融で借り入れて返済に充てる

これもやりがちです。

真面目な人ほど、督促状がきたので焦って「すぐに返さなきゃ」と思うのです。焦りとストレスでついクレジットカードのキャッシングでお金を借りたりします。

言うまでもなく、収入が足りない状態で借金で借金を返すと、わずか数か月で完全破綻します。

それにキャッシングは住宅ローンより圧倒的に高い金利です。負債が雪だるま式に膨らみます。

この流れは自己破産しかありません。

家族に相談せずに独断で動く

焦ったあまりに、家族に相談もなく、ネットで多方面に問合せをかける人も多いです。

任意売却・リースバック・リバースモーゲージなど、ネットで検索するといろいろな方法が出てきます。しかし、どれも簡単な方法ではありません。

家そのものを失うか、家の名義を失うか、家族に残せる未来の棲家を失うか、どれかなのです。重い判断を家族に相談せずにしようとして、家族の信頼さえ失うのです。

特に子供が自宅を将来欲しがっている場合、勝手な判断はやめましょう。

払えなくなりそうな時の選択肢

払えなくなったとき、あるいは払えなくなりそうだと気づいた時点でとれる選択肢は、6つあります。

順番に説明していきますね。

金融機関に返済条件の変更を申し出る

実は、金融機関は事情を相談すると、返済条件の変更をしてくれる余地があります。

具体的には、「返済期間の延長」や「一時的な返済猶予」です。

銀行は自己破産されて債務を放棄するより、条件変更に応じた方が得策なのです。

既に滞納し、さらに督促を無視しているという人でもない限り、親身に応じてくれます。

ただし、ネット銀行と地方銀行・信用金庫などでは、その対応に差があるようです。顔が見える地方銀行・信用金庫の方が、相談に応じてくれるケースが多いです。ネット銀行は金利は相対的に安いものの、いざとなった時の対応に少々不安があるのが現実です。

親子リレーローンに切り替える

これは、子どもが連帯債務者となり、将来的に返済を引き継ぐ仕組みです。

分かりやすく言うと、自分が高齢で亡くなってローンが払えなくなったとしても、子どもが返済を引き継ぐというローン商品です。

親が高齢でも長期のローンを組めるため、毎月の返済負担を下げられる可能性があります。

新築じゃないと利用できないのでは?と思いがちですが、実は借換えでも利用できます。フラット35も親子リレー返済と借換融資を組み合わせて提供しています。

ただし、子どもの合意と収入要件が必要で、子ども自身が別のローンを抱えている場合は審査が通りにくいです。

リースバックを活用する

最近利用者は増えているのがこれです。

自宅を第三者に売却し、その後は買主に家賃を支払いながら住み続ける仕組みです。売却で得た資金で住宅ローンを返済しつつ、引っ越しをせずに済みます。

ただし、売却価格は市場価格より低くなる傾向があります。また、賃貸借契約を途中で解約されるリスクもあるため、契約内容をよく確認する必要があります。

この分野の最大手は、セゾンファンデックスです。

リバースモーゲージを活用する

リバースモーゲージは、リースバックと少し仕組みが異なります。

自宅を担保に金融機関から定期的に融資を受け、死亡時に自宅を売却して返済する仕組みです。今すぐ売却しないのがポイントです。

最大のメリットは名義を渡さずに、住み慣れた自宅で老後を過ごせる点です。

一方、最終的に自宅は手放すことになるため、子どもへの相続を希望する場合は家族との合意が必要です。

土地評価額が一定以上でないと利用できない金融機関が多い点も確認してください。地方の人口減が著しい市町村では利用できないことが多いです。

この分野の最大手は、東京スター銀行です。

任意売却

リースバックもリバースモーゲージも使えない土地・建物の場合、任意売却という方法が現実的です。

通常、ローン残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の状態では売却はできません。

この場合、金融機関の合意を得た上で市場価格に近い水準で売却するのが「任意売却」です。強制的に競売にかけられる前に、任意で売却する決断をしなければなりません。

競売ではなく任意で売却する場合、メリットがあります。

  • 売却価格が競売より高くなる傾向がある
  • 売却のタイミングや段取りをある程度コントロールできる
  • 近隣に知られるリスクが低い
  • 引っ越し費用が手元に残る場合がある

任意売却は金融機関との交渉・売却先の確保・残債処理を並行して進める必要があるため、専門家のサポートが必要です。自力では不可能に近いです。

任意売却について相談したい方は、こちらから無料で専門家に問い合わせができます。
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金融機関から督促が始まってから任意売却をしようとしても、手遅れのケースが多いです。任意売却の手続きは複雑であるため、体力も集中力も必要です。滞納してストレスが溜まった状態では難しいでしょう。滞納する前の行動が大切です。

残債と資産価値を調べましょう

現在のローン残債と自宅の市場価値によって、取れる行動が違います。

自宅の価値が残債を上回っていれば(アンダーローン)、通常売却・リースバック・リバースモーゲージが検討できます。残債が上回っていれば(オーバーローン)、任意売却が主な選択肢になります。

アンダーローンであれば困っていないわけで、困っている人はオーバーローンの人でしょう。

オーバーローンに陥る原因はいくつかあります。

  • 新築時に頭金を用意しなかった
  • 資産価値のない僻地・郊外の土地を買った
  • 購入したのが地方の中古物件だった
  • 購入時に住宅ローンに自動車購入費などを入れた(ふかす、と呼ぶ)
  • マンションではなく、戸建てである

戸建ての場合、首都圏近郊でない限り、頭金を入れていたとしてもオーバーローンになりやすいです。地方で戸建て住宅を買ったら、繰り上げ返済をしていない限りオーバーローンとなることがほとんどです。

詰まってから相談しても遅い

「これは老後きつくなるな」というのは、何年も前から計算できるはずです。

問題を先延ばしする癖のある方は特に危険です。

定年退職する数年前に、まずは住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談してください。家計を計算してもらい、老後苦しくなることが分かった場合は、早めに行動をとりましょう。

ただし、このようなことを言うファイナンシャルプランナーだったら、関わりを避けてください。

  • 資産運用して備えましょう
  • 今ある預貯金を保険で増やせます
  • 変額保険や一時払い保険で解決します

はっきり言うと、差し迫った老後のリスクを、保険や投資で解決することはできません。足元を見たような金融商品の勧誘が始まったら、絶対に関わりを避けてください。

早い段階なら、取れる手段が残っています。早めに専門家に相談してください。

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長岡FP事務所代表社員

長岡FP事務所合同会社
代表社員 長岡理知

住宅専門FP・RAG型AIエージェント「Tally」シリーズの開発者。プロダクトエンジニア。インディーハッカー。

2005年にプルデンシャル生命へ入社。2009年から2011年まで大手ハウスメーカー専属FPとして活動し、2011年以降は数多くのハウスメーカーと提携。2020年に保険会社を退職し、長岡FP事務所を開業しました。

住宅専門FPとして約20年にわたり、累計5,200世帯を超える住宅購入相談を担当。ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険の見直しを専門としています。

当社ブログでは、AI(LLM)を使用せず、すべての記事を本人が執筆しています。

20年にわたる相談経験をデジタルクローン化したRAG型AIエージェント「Tally」を開発・運営しています。

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毎月ひとつのシリーズプロダクトを出すことを目標に、爆速でデプロイ中。