住宅購入には理屈では説明できない感情的な動機がある
住宅専門ファイナンシャルプランナーの長岡です。
これまで約21年間、5,200世帯ほどの住宅購入のFP相談を行ってきました。
みなさん、住宅を買おうと検討中の方ばかりで、私はライフプランニングを通して「いま家を買うべきかどうか」を一緒に考えてきました。
本当に様々な考え方や感性の方がいます。
住宅に強いあこがれと理想を持ち、Instagramで見るような外国のお洒落な住宅を再現しようとするかた。
ハイテク設備にはまってしまい、住宅を小型発電所のようにしてしまうかた。
延床面積70坪の田舎の実家よりも大きい家を望むかた。
なぜかは分かりませんが、実家の狭い敷地内に家を建てようとする男性。そしてそこに疑問を感じない妻。
東京都心のブランド立地のタワーマンションを、自分のプライドと同列で考えているかた。
住宅というのは単なる生活の箱というだけでないようです。感情的な動機が必ずあり、理屈ではないのです。
もちろん自分が望むとおりに家を買えばいいのですが、私の経験上、「それはやめておきましょう」と指摘するケースがあります。
その先には失敗しかないという、はっきりしたパターンがあります。
回避性パーソナリティのひと
これは男性に非常に目立つ様子なのですが、「絶対に損をしたくない」という思いが強すぎるケースがあります。
現在、地方でも戸建て住宅は土地込みであれば5,000万円前後はします。土地と建物に少しこだわれば、6,000万円は軽く超えていくでしょう。
その中で、「予算は2,500万円以下!」と頑なに主張するのは男性に目立つ特徴です。それは20年以上前の価格相場なのですが。
残念ですが、希望の立地ではその予算では遠く及ばないことを伝えても、納得することはありません。郊外(というより僻地)に土地を買い、二階建ての狭小住宅、ローコスト住宅を建てれば、もしかしたら予算の範囲で収まるのかもしれません。
そう伝えても、拒否。60坪で3,000万円が相場の立地で、500万円の土地を探そうとするのです。そして諸経費込みで2,500万円で収めたいと。
何ひとつ、自分の要望の妥協はありません。妥協するとは損をすることだと思うからです。
損をしたと思いたくない、損をすることは嫌い、損をしたくない。とにかくその感情だけ。その世帯の妻はどうかというと、夫が不機嫌になるのを恐れて黙っています。
なぜその予算で、その立地で探すのかという理由を質問しても、本人は言語化できません。欲しいといったら欲しいんだ、と連呼するだけで、たくさんの住宅メーカーを徘徊しては次第に相手にされなくなっていきました・・・。
当然ながらそのままでは家を買えません。年齢だけが過ぎていきますが、今度は「若い時に決めなかった」ことによる損失を自覚するようになります。損をしたという思いがまた激情的に混みあがって来て、「じゃあ、予算は2,300万円で」とさらに厳しい条件を自分に課していきます。
思い通りにいかないと不機嫌を妻や子供にぶつけ、妻は夫に同意してなだめようとする、その繰り返し。
「少し落ち着いた方がいいですよ。」と私からはアドバイスして関与を終えましたが、このように失敗したくないという回避性の人格に攻撃性と衝動性が加わってしまうと、もう買い物はやめた方がいいと思います。
予算を大幅に上げるか、違う土地を探すか、家を買うのをやめるか。それを失敗とか損だと感じるのは男性に多いようなのです。
欲しくもないものを買うひと
私は相談者のかたが住宅購入の決断をしたとき、あえて質問することがあります。
それは、
「値段で決めましたか?欲しくて決めましたか?」
いじわるな質問です。
私は住宅購入の相談で必ずアドバイスすることがります。
買う理由が値段ならやめておけ。迷う理由が値段なら今すぐ買え。
私はかつて輸入車ディーラーでセールスマネージャーをしていました。華やかな高級輸入車を目の前にすると、迷うのは値段のことだけです。値段で迷っている人が思い切って買って、後悔したという人は一人も見たことがありません。これでよかったのかと思いつつ、納車のときは満面の笑みです。その5年後も大切に乗っています。
しかし、「やはり輸入車は高いから、200万円安い他の車にした」と言って買った人には、はげしく後悔する人が少なくありませんでした。中には新車を買ったのに半年後にそれを下取りにいれて、欲しかった車を買う人も。当然、大損です。
住宅も全く同じです。背伸びをして欲しいものを買うのは怖い、だから怖くない値段のローコスト住宅を買おうとするわけです。
その結果どうなるか。分譲地で隣に、本当は欲しかった住宅メーカーの家が建って落ち込むことになります。欲しかった家とは違って、どんどん汚れて朽ちていく我が家を見て、さらに落ち込みます。車と違って買い替えができないのでなおさらです。
このように、値段で決めた人の多くは主体性に乏しいことが多く、「自分が決めたことだ、後悔はしない」と考えることはありません。過去の失敗をいつまでも気にし、トラウマを積み重ねていきます。
「だから言っただろ」なんて周囲に言われたら、動揺するか怒るか・・・。
専門家に相談しないひと
これも圧倒的に男性に多い特徴です。
専門家に相談しない人、です。
家を買う時に相談の乗ってくれるプロは、住宅営業マンか設計士でしょう。住宅ローンを相談するのは金融機関です。ライフプランを相談するなら住宅専門ファイナンシャルプランナーです。土地を買う時の登記について相談するなら、弁護士や司法書士です。
専門家に相談したら早いし確実です。人に相談するのが嫌だとしたら、専門家が発信するブログでもいいでしょう。
でも、違うのです。相談するのは職場の先輩、地元の先輩なる謎の人物、物知りなのか分からないけれど講釈好きの友人、そしてTikTok。
専門家は知らない人=騙されるかも=信用しない。
先輩や友人やTikTok=よく知っている=信用できる。
この理屈では間違えた情報を信じ込むことになります。私も専門家として間違えた情報をやんわりと正そうとしても、絶対に不可能です。「住宅ローンの金利は不景気だから上がらない」「住宅ローン金利はもうすぐ0.1%」になるなどという情報を信じてしまうので、借り過ぎたり、あるいは来るはずもない未来を待っているだけ、ということになります。
人間関係、友人関係はとても大切なものですが、専門家をメインに頼ったほうがいいときがあります。相談が無料ならなおさらです。
成功する住宅購入のポイント
住宅の性能などスペックを横に置いたとしても、後悔しない住宅購入のポイントがあります。
それは、欲しいと思った家を買うことです。
値段が高いというのは確かに悩ましいですが、仕方ありません。銀行がお金を貸してくれるなら買うべきだと、私は考えています。
せっかく欲しいと思った家や土地を、欲しくないと思い込むのは不幸の始まりではないでしょうか。欲しいものを欲しくないと思い込み、欲しくもないものを欲しいと思い込む。そんな破綻した理屈で高額な買い物をしたら、後悔にするに決まっています。
もちろん、怖い気持ちは分かります。ローンを払っていけるか不安でしょう。
そのために、住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談すればいいのです。こんなことを言うと元も子もないですが、銀行が貸してくれるなら、返済できます。よく、「銀行が貸してくれる金額と、返せる金額は違う」と言いますが。それは教科書的には正しいのですが、実際は、銀行は返せない金額は貸してくれません。返せるので貸してくれるのです。
乱脈な家計であれば返済できなくなるので、住宅専門のファイナンシャルプランナーに返済できる家計にしてもらえば済む話です。私が守りの家計を作ります。毎年のように私に相談すれば、お金も貯まりますし、子供の教育も老後も大丈夫になります。
家計の守りの部分は専門家に任せて、本当に欲しい家を買ってください。良いものは高いのです。安くていいものは、少なくとも住宅業界にはありません。安かろう悪かろうがはっきりしている業界なのです。
欲しいものを買って自己破産した人は少ないです。欲しくもないモノを大量に買い、何ひとつ満足せず、買い物依存のように繰り返すと自己破産します。欲しいものを買えば、無駄が無くなります。
だとしたら、本当に欲しいもので、本当に必要なものを勇気を出して買うべきだと思います。
住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。
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