最近、ChatGPTなどのAIを使う人が増えています。
Google検索の代わりに使う人が最も多いかもしれませんね。またはイラストを生成したり、仕事の思考を深めるために「壁打ち」をしたり、チャットボットを作ったり、コーディングの補助をさせたり。
中には人生相談のようなことをする人も初期にはいたようです。
まあ、大規模言語モデルは人生相談をするようにはできていないので、やめた方がいいとは思いますが・・・。
AIが「使えるかどうか」という段階はもう超えたようです
ChatGPTが登場した2022年末から2年あまり、世界はAIの技術に熱狂しました。
コードが書ける、画像が読める、論文が要約できる。できることの一覧が更新されるたびに、人々は驚きました。筆者も、初めてiPhoneに触れた2010年頃と同じくらいの驚きと、これから来る未来の可能性に恐怖すら覚えたほどです。
映画「2001年宇宙の旅」のHAL9000みたいなものが、本当に登場したような気がして、驚きと恐怖が同時にきました。
AIでどんな未来が待っているのだろう、という期待と、AIで仕事を奪われることになる職種もあるだろうな、という不安と、そんな話題がSNSで持ち切りだったのがコロナ禍直後の世界だったと思います。
AIにくだらない質問をしては、回答を見て、「すげー」とか言っていた牧歌的な黎明期でした。
しかしいま、予想をはるかに超えるスピードで、AIは次のフェーズを迎えているようです。
AIは思想性の時代へ
2026年7月現在、AIはもう何ができるかではなく、「何に使うか」「何を作るか」が問われるようになりました。
登場からわずか数年でそのフェーズに入ったのは驚くべきことです。iPhoneも登場から20年経ってようやく、何ができるかよりもどう使うかが問われるようになりました。この20年は機能が追加されることに、ユーザーは驚きと喜びがあったのですが。
AIはわずか数年で、iPhoneの20年を超えてきました。「できる」はもう当たり前なのです。
そこで、技術を何に使うかというフェーズに入ってきたという意味で、話題に上がるのはAI企業のパランティアでしょう。
パランティアは、思想性が一貫した企業です。良くも悪くもです。アンチも多いみたいですね。
創業者のピーター・ティールはスタンフォード大学で哲学を専攻した哲学者であり弁護士、いわゆるテック系の経歴を持ちません。コンピューターサイエンスのバックグラウンドを持たないのです。共同創業者のアレックス・カープも同様に哲学者です。
パランティアの特徴は、技術より先に「誰のためのAIか」を決めていた点です。最初に思想があって、AIの技術スタックは後付けといえます。
創業当初から顧客は政府・軍・諜報機関に絞り込まれていました。これは「民主主義社会の安全保障を守る」という大きな思想から来ています。
AIを道具として売らなかった点も際立っています。パランティアのGothamやPaladinは、ソフトウェアではなくオペレーティングシステムです。AIをどう使うかという判断ごと、顧客に提供しています。これは思想の移植でしょう。技術を売るのではなく、世界の見方を売っているわけです。
そして倫理的な踏み込みを厭わなかった点も特徴です。Amazonがウイグル監視技術への関与を避けたのと対照的に、パランティアは自社の技術が何に使われるかを、思想を持って引き受けてきました。軍事と諜報という嫌悪感を持つ人も多い分野です。社員の反発も受けながら、それでも思想的な立場を変えなかったようです。
好き嫌いがある企業ですが、このパランティアを見ていて面白いなと思うのは、唯一、これだけが一人称のAIだというところです。
中立を気取る退屈な優等生ではないのです。
一人称のAIとは
一人称のAIとは、特定の人間の思想を起点として設計されたAIのことです。
多くのAIは三人称から始まっています。膨大なデータを学習し、平均的に正しい答えを返す。極論を避け、優等生的に中立を選んで回答する。
ChatGPTはその典型です。何でも答えられますが、誰の意見でもありません。エンベディングをしてパラメーターに落とし込んで、無難な答えを並べる三人称のAIです。私でも、あなたでもありません。
一人称のAIは逆の発想です。
まずは極めて個人的な思想があり、AIによって実現していくという順番です。
Tallyは「客観性」「中立」を徹底的に排除した
筆者がインハウスで実装したAIエージェント、Tally(タリー)は最初の設計思想の段階から、かなり周囲には馬鹿にされていました。
「そんなの需要ある?」と。
住宅購入の相談に特化したAIエージェントを作ろうというのが当初の計画でしたが、一般論で回答をするチャットボットにはしたくなかったのです。
何がしたかったかというと、筆者のFPとしての長年の経験・知見・判断基準を思想としてぶち込んだ「超・一人称のAI」を作ることです。
たとえば、世帯年収1,000万円で、7,500万円のマンションを買ってもいいか?と汎用AIに質問したら、返済比率がどうのこうのというどこかで聞いたような回答をするだけでしょう。
それがもしリアルのFP相談の現場なら、筆者ならこう答えます。「多少は無理はあるけど、カネは何とかなる。家に帰ってきたときに、私の家はかっこいいな~って10年後も思える家を買おうよ」
それは筆者の主観であり、思想であり、感性です。筆者のFP相談会は主観と思想に染まったものになっていて、相談者とはお互いの価値観とのかけ合わせを楽しんでいます。キャッシュフローを作って論理的に解説することももちろんやっていますが、多くの相談者の方は「へー」くらいの感想です。
筆者にとって大切なのは、考え方がぶっ飛んでいて目からうろこが落ちたよ、と言われること。そのことで相談者も思考がフル回転すること。
そんな相談会をAIで再現していこうと思いついてから、技術を勉強しました・・・。
RAG(検索拡張生成)アーキテクチャという技術を学び、筆者のデジタルクローンとして、雑な段階ではありましたが、2026年5月にローンチしました。
家計簿アプリは1週間でやめた
Tallyをローンチしてから、マネーフォワードのようなFinTechサービスと何が違うのか、とよく聞かれます。
(たぶん、どうせマネーフォワードの劣化版でしょというニュアンスでしょう)
マネーフォワードのような業界の巨人と比較されること自体がおこがましいのですが、最初にこんな体験をお話ししています。
筆者が10年くらい前にマネーフォワードを使い始めた時のことです。
マネーフォワードを見て、これはすごいな、自分はFPだしこんな風に家計を管理出来るべきだよな、いま全然できてないもんな・・・と思いながら登録をしたのです。金融機関やクレジットカードを連携させたりしたのですが・・・
わずか1週間で使うのをやめました。不満があったわけではありません。続かなかった、続くためのモチベーションが湧かなかった、それが本音です。マネーフォワードは素晴らしいサービスです。それは否定しようがありません。
しかしこんなデータがあります。
マネーフォワード MEは国内最大の家計管理アプリで、ダウンロード数は1,400万を超えます。しかし有料のプレミアム会員数は約40万人、比率にすると2.9%です。フリーミアムモデルの適正比率とされる5%を大きく下回っています。
そして、1,400万人のうち、アクティブユーザーはどれほどいるのかは未公表です。おそらくアクティブユーザーは課金していると想像すると、非常に少ないのではと考えられます。
この数字が示していることは何か。
ダウンロードした人の大半が、使っていないということです。
これほど素晴らしいサービスを使っていない人が大勢いるわけです。そのうちの一人が筆者です。お金のプロとして仕事をしている筆者さえ使えていません。アカウントは今もありますが。
人がマネーフォワードに登録するとき、心の中にあるのはなんだったでしょうか。きっと・・・お金のことをちゃんと考えたいという希望ではなかったでしょうか。これは不安であり、切実な動機でもあったでしょう。家計管理がこんなハイテクにできたらいいなという願望です。
しかしマネーフォワードと連携して家計が見える化するほど、自分の収支がシンプルではないことがひとつ、そして支出グラフと残高を見せられても、なんだか「思ってたのと違う・・・」となりました。
正確に言うと、使ったときの自分の感情が当初思っていたのと違うという意味です。
欲しかったのは家計簿とか計算じゃないんだよな・・・と思いつつ何年も放置しています。使うことは今後もないでしょう。
筆者が作ったTallyは、家計簿AIにするつもりはありません。それは筆者が最も欲しくないものだからです。
私が欲しかったAIがTally
Tallyは筆者にとって欲しかったAIエージェントです。
お金のことなど人生の重大な選択をむかえたとき、誰かの一人称で、中立ではない意見を返してくれるAIが欲しかったのです。
別に家計簿を付けましょうとか、先月より出費がいくら多いですとか、資産が増えましたとか、確かに大切なんですが別に欲しくはありません。FPを仕事にしていても、別にそれが重要だとは思いません。
そんなことよりも、「家が欲しいなら買いなよ、お金の都合は念のためここ締めて考えとけよ」とか、「いま投資を増やすのは勧めないな」とか、誰かの一人称で返してくれたら、私も「そんなわけないだろ」とか「なぜ?理由を教えろ」などと返せます。
計算上どーのこーの、だけではない答えが欲しいのです。自分ではない誰かの考え方を使って壁打ちをしたいのです。
そして、新しい考え方に触れて気づきがあったよ!となりたい。そう「気づき」が欲しいわけです。優等生的な中間の意見をいくら言われても、最後には苛立つだけでしょう。
個人的には私はChatGPTがひどく苦手で、あまり近寄りません。あの強い言葉に触れた時に発火する、いつもの無意味な中間取り・・・。私は本当に無理だなと思います。AでもBでもない、何かよく分からないものを押し付けられて結局何にもならないあの徒労感は性格的に合いません。
Tallyは無難な言葉は使いません。筆者と同じように、です。
気心の知れた、自分の意見をはっきり言う友達という立ち位置がTallyなのです。
思想と一人称が大切な時代へ
印刷技術が普及したとき、最初に価値があったのは印刷できることそのものでした。やがて問われたのは何を印刷するかという使い方のこと。
マルティン・ルターは印刷技術を使って95か条の論題を広め、宗教改革を起こしました。思想に技術を載せた時に時代が動いたのです。
インターネットも同じ経路をたどりました。接続できることに意味がある時代から、何を発信するかへ・・・1990年代初頭のインターネット黎明期を覚えている方も多いでしょう。あの遅い通信でシンプルなホームページが表示された時の感動はすごかったです。
それが次第に、繋がるのは当たり前。何を発信するかへと変わりました。2000年代にはガラケーが発達し、中高生がプロフィールサイトを使って発信したり、ガラケーブログで他人の物語に影響を受けたりする時代になりました。そしてSNSへと繋がっていきます。インターネットにつながることを意識する人はもう少ないはずです。
AIも今、その転換点にいます。
AIができるのは当たり前。AIに載せる思想はなにか?誰の一人称なのかが大切な時代になっていると筆者は考えています。
またこの意見もChatGPTは嫌い、「これは特定の人の意見です」「~という見方もあることに注意が必要です」と言い出すでしょうね。
住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。
Tally(タリー)は、FP経験20年・5,000世帯の相談実績を学習したRAG型AIエージェント。商品の売り込みなしであなたの不安に答えます。一生分のキャッシュフロー表も自動作成。



























