「過去に支払いの遅れはなく、年収や勤続年数も十分。それなのに住宅ローンの審査に落ちてしまった」
このようなケースは少なくありません。
特に、ハウスメーカーでの事前審査の段階では問題なく審査OK、でもいざ本審査となったら「融資はできません」という回答に変化することがあります。
この原因の多くは、健康状態です。
日本の民間金融機関が提供する住宅ローンの多くは、団体信用生命保険(以下、団信)への加入を必須としています。
そのため、持病や難病、特定の病歴があることで団信の審査に通らないと、どれだけ信用情報が良好であっても銀行から融資を断られてしまうのです。
この記事では、健康上の理由で融資がNGになる仕組みと、
具体的な病名ごとの審査の結果、そして、健康状態に不安があっても住宅ローンを借りるための方法を解説します。
信用情報が良好なのに融資NGになる理由
住宅ローンの審査は、大きく分けて「本人の信用・返済能力の審査」と「生命保険(団信)の審査」の2つが独立して行われています。
- 個人の信用リスク: 過去の延滞歴、年収、勤務先、物件の担保価値など(銀行が審査)
- 死亡・高度障害リスク: 現在の医師による治療、過去の病歴、持病など(保険会社が審査)
いくら前者の信用審査が満点であっても、後者の保険審査で「引受謝絶(加入不可)」と判断されれば、銀行は融資の要件を満たせないため、自動的に融資不可(NG)という結論となります。
これは決していじわるではなく、融資不可になると、本人も銀行も保険会社も住宅メーカーも、全員ががっかりしてしまいます。
銀行にとって住宅ローンは数十年におよぶ長期の貸し付けです。名目上は「返済途中で万が一のことがあった際に、ご家族に債務を残さないため」と説明されますが、実質的には銀行側が貸し倒れリスクを防ぐための必須条件となっています。
条件を緩和した「ワイド団信」でも不可となる具体的な病気
そこで登場するのが、ワイド団信です。
これは、ある程度の病歴であれば加入できる団信のことです。
通常の団信よりも引受基準が緩和されているので、持病を持つ方にとってありがたい選択肢です。
高血圧症や軽度の糖尿病、過去のうつ病などであれば、金利が年0.2%〜0.3%ほど上乗せされるものの、加入できる可能性が広がります。
しかし、ワイド団信であっても保険会社がリスク過大と判断し、引受不可(謝絶)となる病気があります。
ワイド団信でも引受不可となる主な病気
| 具体的な病名 | |
| 悪性腫瘍 | がん、肉腫、白血病(※完治から長期間経過している場合を除く) |
| 精神疾患・神経系 | 重度のうつ病、統合失調症、てんかん、認知症、アルコール・薬物依存症 |
| 循環器・脳血管系 | 急性心筋梗塞、重度の心不全、脳卒中、くも膜下出血 |
| 内分泌・代謝異常 | 合併症(網膜症・腎症など)を伴う糖尿病、人工透析を要する慢性腎不全 |
| 難病・自己免疫疾患 | 進行性の難病、活動期の膠原病(全身性エリテマトーデスなど)、クローン病や潰瘍性大腸炎の重症期 |
ワイド団信でも引受不可となる病気は、意外と多いのが現実です。
団信に加入できない場合の解決法
団信の審査に通らなかったからといって、マイホームの購入を諦める必要はありません。
現在利用できる具体的な打開策は主に以下の3つです。
① フラット35を活用する(団信に加入しなくても融資可)
最も現実的かつ確実に融資を確保できる方法が、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」の利用です。
フラット35は民間の住宅ローンとは異なり、団信への加入が任意(必須ではない)と定められています。
団信に加入しない場合、通常の借入金利から年0.2%差し引かれた金利が適用されるため、月々の返済額自体を抑えることも可能です。
しかし、万が一の時に家族に借金を残してしまいます。また、フラット35の金利は全期間固定なのが魅力ですが、金利水準が高いのがデメリットです。
② 団信なしで融資を行う一部の地方銀行等を探す
非常に稀なケースですが、民間金融機関の中にも「団信なし」での借り入れを認めてくれるところが存在します。
特に地方銀行や一部の信用金庫などでは、個別の事情や、担保価値を総合的に勘案して例外的な扱いをしてくれることがあります。
ただし、これには厳格な条件がつきます。
- すでに十分な死亡保障額を確保している自分の生命保険があり、万が一の際はその保険金からローンを弁済できる証拠(保険証券の提示)があること
- 相応の資産(住宅ローンと同額以上の預貯金)を有していて、住宅ローンを借りる予定の銀行に預けること
- 法定相続人が連帯保証人として設定できること
つまり、すでに死亡保険に加入している、預貯金がある、相続放棄せずに返済する責任を負う親族がいる、というものです。
現実には厳しい方法です。
③配偶者を主たる債務者にして、団信に加入してもらう
もし配偶者や家族に安定した収入があり、その健康状態に問題がなければ、主債務者を健康な家族に変更して、ペアローンを組むと、融資は可能です。
いつか住宅ローンを借りられないときがくる
3年後に住宅を購入したい、10年後に購入したいと、決断を先延ばしする人は非常に多くいます。
なぜ3年後なのですか?と質問しても、明確な答えがないケースがほとんどです。もちろん理解できます。人は大きな決断をするストレスから、少しでも逃れたいものです。
しかし、人はいつか健康を失います。それが明日なのか、1年後なのかは分かりません。
健康を失ったらもう住宅ローンを借りられず、マイホームを持つことは極めて難しくなるのです。
健康な今のうちに、マイホームの計画を進めることをお勧めします。
住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。
Tally(タリー)は、FP経験20年・5,000世帯の相談実績を学習したRAG型AIエージェント。商品の売り込みなしであなたの不安に答えます。一生分のキャッシュフロー表も自動作成。




























