家を3年で売却して再取得したら住宅ローン減税はどうなる?リセットによる再利用と特例の注意点を解説

「家を買ってわずか3年で売却し、すぐに次の家を買い替えた」——このとき多くの方が気にされるのが、1軒目で使った住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、2軒目でもう使えないのではないかという点です。結論から言えば、過去の利用状況にかかわらず、住宅ローン控除はリセットされ、新居で「もう一度、一から」フルに使えます。ただし、得をするか損をするかは1軒目を売ったときの収支(利益が出たか・損失が出たか)で180度変わります。本記事で仕組みと注意点を整理します。

結論:回数制限なし。リセットされて「新居で一から」再スタートできる

住宅ローン控除には「生涯に1回だけ」といった回数制限はありません。家を売却して住宅ローンを完済した時点で、1軒目の控除を受ける権利は一度きれいにリセットされます。

そして、新たに購入した家が要件を満たしていれば、その新居の基準(新築・省エネ性能など)に応じた控除期間(13年間または10年間)を、全く新しく最初から受けられます。3年で売却したからといって「残り10年分しか使えない」「期間を引き継ぐだけ」といったペナルティは一切ありません。完全に「2回目の新品の権利」が手に入ると考えて差し支えありません。

新居で住宅ローン控除を受けるための主な要件
  • 自分が住むために住宅を取得し、取得後6か月以内に入居して住み続けること
  • 返済期間10年以上の住宅ローンであること
  • 床面積50㎡以上(子育て・若者夫婦世帯など一定の要件を満たす場合は40㎡以上。ただし合計所得金額1,000万円超は50㎡以上)
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること

控除期間は、新築・買取再販や省エネ性能を満たす住宅などで13年間、その他の中古住宅で10年間が目安です(取得時期・性能で変動)。

枠はリセットされる。
ただし「鍵」を握るのは、1軒目を売ったときの損益。

この強力な「リセット・再利用」の恩恵を最大限に受けられるかどうかは、1軒目を売却したときに利益(譲渡益)が出たか、損失(譲渡損)が出たかで大きく変わります。以下、2つのパターンに分けて見ていきます。

パターンA:売却で「利益(譲渡益)」が出た場合の注意点

近年の不動産価格の上昇により、3年前に買った価格より高く売れて利益(譲渡所得)が出るケースが増えています。この場合に注意したいのが、「3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」は併用できないというルールです。

マイホームを売って利益が出たとき、譲渡所得から最高3,000万円まで差し引ける「居住用財産の3,000万円特別控除」という非常に有利な特例があります。しかし、これを使うと、せっかくリセットされた新居の住宅ローン控除が使えなくなってしまいます。

重複が禁止される期間は「合計6年間」

具体的には、次の期間内に1軒目の売却で3,000万円特別控除などの特例を受けている(または受ける予定がある)場合、新居での住宅ローン控除は適用できません。

期間 対象となる年
入居した年とその前2年 前々年・前年・入居年(計3年)
入居した年の翌年以後3年 翌年・翌々年・翌々々年(計3年)
合計 計6年間
2020年改正で要件が厳しくなりました

以前は「入居年とその前後2年」に特例を受けていなければ住宅ローン控除を使えたため、タイミング次第で両方を受けられる余地がありました。しかし2020年(令和2年)の税制改正で対象期間が「入居年の翌年以後3年」まで拡大され、原則として併用はできなくなっています。「先に新居でローン控除を受けてから、後で旧居を売って3,000万円控除を受ける」という後出しも対象です。

どちらを選ぶべきか——判断の基準

売却益が出た場合は、「3,000万円特別控除で売却益にかかる税金をゼロにする」か、「新居で一から住宅ローン控除を受ける」か、どちらが有利かを試算して選ぶことになります。

3,000万円特別控除が有利になりやすいケース 売却益が大きく、今すぐ高額な譲渡所得税の負担が発生する場合
住宅ローン控除が有利になりやすいケース 売却益が数百万円程度で税負担がそこまで重くなく、かつ新居のローン残高が大きいため、13年(または10年)にわたる減税効果が上回る場合

パターンB:売却で「損失(譲渡損)」が出た場合はダブル適用が可能

逆に、3年前に買った価格より安くしか売れず、住宅ローンだけが残ってしまうような「売却損(譲渡損失)」が出たケースです。この場合はパターンAと異なり、国の救済措置(特例)を使いながら、新居でリセットされた住宅ローン控除も「両方同時に」使えます

損益通算と繰越控除の特例

買い替えで損失が出たときは、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を使えます。これは、マイホーム売却で出た赤字を、その年の給与所得など他の所得から差し引ける(損益通算できる)制度です。その年で引ききれなかった赤字は最長3年間繰り越せるため、数年にわたって所得税・住民税が大きく軽減・還付されます。

リセットされた住宅ローン控除もフル活用できる

この譲渡損失の特例は、住宅ローン控除との併用が認められています。つまり「損失の特例で全体の税金を下げつつ、さらに新居で新しく始まった住宅ローン控除(10〜13年間)で手元に残る税金をさらに減らす」という、極めて高い減税効果を享受できます。

適用には期限と要件があります

譲渡損失の特例は期限の定められた時限措置で、これまで税制改正のたびに延長されてきました。適用できる年や、所有期間(売却年の1月1日時点で5年超)、買い替え先で10年以上のローンを組むことなどの要件があります。売却・購入を進める前に、その年に適用可能かどうかを必ず確認してください。

まとめ:枠はリセットされる。鍵は「売却時の確定申告」

家を3年で売却して買い替えた場合、住宅ローン控除はリセットされ、新居で再び一から利用できます。ただし、1軒目の売却内容によって、

  • パターンA(利益が出た):特例を優先して、あえて住宅ローン控除を使わない方が得になることがある
  • パターンB(損失が出た):損失の特例も住宅ローン控除も両方使えて、大いに得になる

と、結論が180度変わります。新居の購入・ローンの契約を進める前に、まず1軒目の売却でいくらの利益(または損失)が出ているかを正確に把握し、翌年の確定申告を見据えた事前の試算を行うことが何より重要です。判断を誤ると、数十万〜百万円単位で手取りが変わることもあります。

よくある質問

住宅ローン控除は一生に1回しか使えませんか?

いいえ。住宅ローン控除に回数制限はありません。前の家を売って完済すると権利はリセットされ、新居が要件を満たせば、新居の基準に応じた控除期間(13年または10年)を一から受けられます。

3年で売って買い替えると、控除期間は残り分しか引き継げませんか?

いいえ。期間の引き継ぎや短縮はありません。新居でゼロから新しい控除期間が始まります。

売却益が出ました。3,000万円特別控除と住宅ローン控除は両方使えますか?

両方は使えません。入居した年とその前2年、入居年の翌年以後3年(合計6年間)のあいだに3,000万円特別控除などを受けると、新居の住宅ローン控除は適用できなくなります。どちらが有利かを試算して選びます。

売却損が出た場合も住宅ローン控除は使えませんか?

使えます。譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例は住宅ローン控除と併用可能です。損失の特例で他の所得の税金を下げつつ、新居の住宅ローン控除も同時に受けられます。

新居で住宅ローン控除を受ける主な条件は?

自己居住・取得後6か月以内の入居・返済期間10年以上のローン・床面積50㎡以上(一定要件で40㎡以上)・合計所得金額2,000万円以下などが主な条件です。

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※本記事は2026年時点の制度をもとにした一般的な解説です。税制は改正される場合があり、適用可否は個別の事情により異なります。実際のご判断にあたっては、最新の国税庁情報のご確認、または税理士・FPへのご相談をおすすめします。

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長岡FP事務所代表社員
長岡FP事務所合同会社 代表社員 長岡理知。

RAG型AIエージェント「Tally」開発者。住宅専門FP。インディーハッカー。

2005年プルデンシャル生命に入社。2009年~2011年まで大手ハウスメーカー専属のFPを経験。2011年から数多くのハウスメーカーと提携。2020年に保険会社を退職し長岡FP事務所を開業。

住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。住宅購入時の、ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険・損害保険の見直しを専門業務としています。

当社のブログは執筆にAI(LLM)を使用していません。

20年の経験をデジタルクローンしたAIエージェント「Tally」を開発・運営。