市営住宅に高級車が停まっているのはなぜ?制度の仕組みと入居者の背景

公営住宅(市営住宅など)の駐車場に高級車や外車が停まっているのを見て、「収入制限があるはずなのに、なぜ?」と疑問に思ったことがある人は多いでしょう。

中には「不正に入居しているのではないか」など、不謹慎だと大きな声で批判する人もいるようです。とかく他人を叩きたい人が多い日本社会ですから、他人が密かに得をしているのではないかと思うと、大騒ぎになりやすいですよね。

結論から言うと、不正であれば、とっくに役所から追い出されているので、高級車に乗っているからといって不正行為ではありません。

これには公営住宅が「貧困層向け」と誤解している人が多い上に、入居の条件をよく知らないと言う背景があるようです。

この記事では、ファイナンシャルプランナーの視点から分かりやすく解説します。

公営住宅の基準は「収入」ではなく「所得」

市営住宅の入居条件や家賃設定の基準となるのは、全体の「収入」ではなく、そこから経費などを差し引いた「所得」です。

収入と所得の違いは、会社員の場合はよく理解していない人が多いでしょう。

会社員(給与所得者)の場合

会社員の場合、年収ではなく、源泉徴収票に記載される「給与所得控除後の金額」が基準となります。

会社員は経費の範囲が国によって一律で決められているため、ある程度の年収があると所得を低く抑えることは難しく、入居基準をオーバーしやすくなります。

自営業者・フリーランスの場合

売上から「事業に必要な経費」を差し引いた金額が「所得」となります。

事業の状況によっては、売上が十分に上がっていても、経費が嵩むことで税法上の所得がゼロになるケースがあります。所得がゼロの場合は、所得税だけでなく住民税も非課税となります。

たとえ売上が900万円あったとしても、必要経費が同額程度あれば所得はゼロ円です。この考え方は会社員には馴染みが薄いと思います。

会社員にとって「経費扱い」と聞くと、会社から建て替えたお金を返還してもらえるイメージでしょう。自営業の場合は「経費扱い」とは、収支内訳書で経費に計上できるという意味であり、お金がどこかから戻ってくるわけではありません。

公営住宅の家賃は法律(公営住宅法)に基づき、この「所得」をベースに計算されるため、所得が低ければ家賃も低く抑えられる仕組みになっています。

自営業者の場合は、所得がゼロになる人も少なくなく、公営住宅の家賃は最も安いランクになっていることもあります。

高級車が仕事に必要な経費であるケースも

自営業者にとって、自動車は単なる移動手段ではなく、事業を継続するための「償却資産(仕事道具)」として認められています。

仕事道具とはいえ、自営業者の場合は自動車がボロボロの営業バンでいいわけではないケースがあります。

  • 取引先や顧客に信頼感を与える必要がある業種(士業、コンサルタント、不動産業など)
  • 役員の移動や送迎、VIPの対応に相応の車両が必要な場合
  • 車両そのものを移動オフィスや移動手段として酷使するため、耐久性や安全性の高い外車・大型車を選ぶ場合

このように、高級車に見える車両が必要な人もいます。

また、次のようなケースも考えられるでしょう。

  • 高級車を取り扱う中古車店のオーナー
  • 収入が厳しいため新車を買えず、安い中古を探したら高級車だった

特に最近は、中古のBMWよりも特定の軽自動車の方がはるかに高いケースがあります。中古車情報サイトを見ると一目瞭然で、かつて超高級車とされていた黒塗りのセダンが、スズキジムニーの半額以下で売られていたりします。

たとえば新車価格で1,000万円を超えていたレクサスLSが、中古車では100万円以下で手に入ることも。一方で、ホンダ・N-BOXは新車価格で200万円をこえる見積りとなります。

一見高級車に見えても、個人タクシーで使用されていて走行距離が80万キロを超えた個体もよくあります。それは激安で売られています。

なんとなく高級そうだ、だけで他人を叩くのはあまりにも軽率であり、逆に名誉棄損で訴えられる危険もあります。思い込みと集団ヒステリーで大人のイジメをするのが癖になっていると、自分が叩かれる側に立つことにもなりかねません。

一面だけを見て「不謹慎」と判断できない理由

外から見れば「安い家賃の市営住宅に住みながら高級車に乗っている」という矛盾に見えるかもしれません。しかし、制度の仕組みを正しく理解すると、以下の実態が見えてきます。

表面的な見え方税制・制度上の実態
家賃不当に安く抑えている税法上の「所得」に基づいて適正に計算されている
車両個人の贅沢品事業を維持・発展させるための「償却資産(経費)」
あるいは、安く手に入れた中古車

地方においては特に、車は生活だけでなくビジネスの生命線です。自営業者がリスクを取って事業を営み、合法的な税務処理を行った結果として、このような状態になることは制度上何ら問題はありません。

繰り返しますが、お金がなくて安い中古車を買ったらたまたま高級車だったという人もいるのです。筆者は貧困が極まり、3万円で買ったBMWを乗っていた時代があります。

表面的なイメージだけで「不公平だ」「不謹慎だ」と騒ぎ立てるのではなく、国が定めた所得の定義や、自営業における経費の仕組みといった制度の構造を正しく知ることが大切です。

他人の持ち物で偏見を持たず、正しい知識で判断するようにしたいものです。

住宅・保険・ライフプランの疑問を、AIに。

Tally(タリー)は、FP経験20年・5,000世帯の相談実績を学習したRAG型AIエージェント。商品は勧めず、煽らず、あなたのケースに沿って率直に答えます。一生分のキャッシュフロー表も自動作成。

無料 登録不要 24時間

病気のある方の個室代に備える保険

自分に必要な保険を1分で診断します

ABOUT US
長岡FP事務所代表社員
長岡FP事務所合同会社 代表社員 長岡理知。

RAG型AIエージェント「Tally」開発者。住宅専門FP。インディーハッカー。

2005年プルデンシャル生命に入社。2009年~2011年まで大手ハウスメーカー専属のFPを経験。2011年から数多くのハウスメーカーと提携。2020年に保険会社を退職し長岡FP事務所を開業。

住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。住宅購入時の、ハウスメーカー選び、住宅ローン選び、ライフプランニング、生命保険・損害保険の見直しを専門業務としています。

当社のブログは執筆にAI(LLM)を使用していません。

20年の経験をデジタルクローンしたAIエージェント「Tally」を開発・運営。