業界初級FP事務所が、自社知見を組み込んだRAG型AIエージェント「Tally」を独自開発・運用開始
ChatGPT等の汎用AIではなく、20年の相談現場の判断軸を反映した対話エージェント。約5,800行のコードでインハウス。
長岡FP事務所合同会社(東京都中央区銀座、代表社員・長岡理知)は、2026年5月4日、住宅購入・住宅ローン・生命保険・ライフプランニングに関する一般的な質問にお答えする対話型AIエージェント「Tally(タリー)」の運用を開始しました。
Tallyは、近年のAI業界で「RAG型(Retrieval-Augmented Generation)」と呼ばれる構造を採用しています。汎用的な大規模言語モデルにそのまま回答させるのではなく、当社が整備した独自のナレッジソース(住宅・ローン・保険・ライフプランに関する20年分の判断軸を体系化した文書群)と、応答方針を記述したシステム指示を毎回参照させ、長岡FP事務所の考え方を反映した応答を生成します。
当社が確認している範囲では、自社知見をナレッジソースとして組み込んだRAG型のAIエージェントを、消費者向けに公開しているFP事務所・保険代理店は、国内ではほぼ確認できません。業界のAI活用は、汎用AIチャットボットを画面に表示する形態か、社内の事務効率化に使う形態がほとんどです。Tallyは、独立系FP事務所による業界に類例の少ないインハウス実装の事例として、業界・メディアの皆さまにご注目いただける取り組みだと考えています。
- 業界に類例の少ないRAG型エージェント汎用AIに自社情報を「貼り付ける」のではなく、応答時に当社のナレッジソースを毎回参照する設計
- 完全インハウス開発フロントエンド、APIサーバー、システム指示、ナレッジソースの全てを当社で実装。コードは合計約5,800行
- 20年の知見の言語化代表・長岡が住宅専門FPとして約20年、5,000世帯超の相談現場で形成してきた価値判断・方針を、応答方針として数百項目にわたって明文化
- 法務面の整備対話型AIエージェント専用の利用規約と、プライバシーポリシーの改定をサービス開始時点で実施
- 匿名・無料・登録不要利用者は連絡先などを入力することなく、24時間ご利用可能
- 次のフェーズキャッシュフロー表の作成自動化を視野。FP相談業務の構造そのものをアップデートする方向へ
FP相談のハードルを下げ、気軽に相談できる入り口に
「FPに相談したい。でも、自分の悩みがまだうまく言葉にできない」「相談予約をするほどのことなのか、自分でも判断がつかない」「予約の前に、ちょっとだけ話を聞いてみたい」
住宅購入、生命保険、ライフプランの悩みを抱える方の多くが、こうした入り口の段階で立ち止まっています。FP相談という選択肢は知っていても、いきなり予約フォームに連絡先を入力するのはハードルが高いのです。
Tallyは、この「相談予約の手前」の段階を引き受けるために生まれました。
匿名・無料・登録不要で、住宅・保険・ライフプランに関する一般的な質問に24時間お答えします。誰もが最初に持つ素朴な疑問に、長岡FP事務所の考え方をベースに対話形式でお答えします。
「年収500万円ですが、いくらまでの家が買えますか」
「50年ローンって、本当に組んでも大丈夫ですか」
Tallyとの対話を経て、本格的に話を聞きたいと思った方は、その時点で当社のFP相談にお進みいただけます。Tallyを使って、それで自己解決できたのなら、それが一番です。
「本物のFP相談」を、まず体験していただきたい
近年、当社が懸念していることがあります。ウェブで「FP相談」と検索して予約した方が、実際に始まったのは保険商品の提案だった、というご経験を耳にする機会が増えていることです。FP相談というラベルへの信頼が、業界全体として少しずつ損なわれつつあるように感じます。
誤解のないようお伝えしておくと、当社も保険を扱う事業者です。生命保険、損害保険、少額短期保険の代理店業務を行っており、必要な場合は保険商品をご提案します。
ただ、当社のFP相談における順序は明確です。
最初にお伺いするのは、ご家族の人生設計、住宅購入の予算、家計のキャッシュフロー、教育資金、老後資金、リスク対策などの全体像です。そこで見えてきたリスクのうち、保険でカバーすべきものがあれば、リスクヘッジの一手段として保険をご提案します。保険を提案しないこともあります。
つまり、保険販売が目的のFP相談と、ライフプランの全体設計があり、その一部としての保険提案も可能なFP相談は、消費者の方にとって、得られる体験の質が大きく異なります。
私たち独立系FPは、後者の体験を提供している事業者です。Tallyは、その体験のごく一端を、相談予約の手前の段階で感じていただくためのサービスでもあります。Tallyの応答に流れている考え方の温度、扱う論点の幅、特定の商品に偏らない立ち位置を、対話を通じて知っていただいたうえで、ご納得いただけたら相談に進んでいただく。この順序を作ることが、消費者の方にとっても、私たちにとっても、健全な関係性につながると考えています。
汎用AIに聞いても、答えは出てこない
「お金の相談ならChatGPTで十分では?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際、ChatGPTやその他の汎用AIに住宅ローンや保険について質問することは、誰でもすぐにできます。
しかし、汎用AIから返ってくる答えは、インターネット上の一般的な情報を平均化した、教科書的な内容にとどまります。「年収倍率は5〜7倍が目安」「変動金利は固定金利より低いがリスクがある」といった、ネット記事を読めばわかる範囲を超えません。
住宅購入や生命保険の判断で本当に必要なのは、こうした一般論ではなく、「経験豊富な独立系FPが、目の前の状況をどう読み解くか」という視点です。20年の相談現場で見てきた失敗パターン、業界の構造的なリスク、住宅メーカーや金融機関の営業話法、相談者がよく見落とす論点。これらは汎用AIの中には入っていません。
Tallyは、ここを埋めるために設計されています。当社代表・長岡理知が住宅専門FPとして約20年、累計5,000世帯超のご相談現場で積み上げてきた価値判断・方針・思想を、AIが応答時に必ず参照する構造になっています。
具体的には、利用者が質問を入力すると、Tallyは裏側で以下の処理を行っています。
まず、当社が記述した「システム指示」(応答方針、対応領域、禁止事項などを言語化した数百項目におよぶ規定)を読み込みます。同時に、当社が整備した「ナレッジソース」(住宅ローン、生命保険、ライフプランの判断軸など、長岡FP事務所の20年分の知見を体系化した文書群)から、利用者の質問に関連する箇所を意味検索で抽出します。
このシステム指示と関連知識を一括して応答生成エンジンに渡すことで、汎用AIの平均的な答えではなく、長岡FP事務所として「この質問にはどう答えるか」が反映された応答が返ります。
つまり、利用者が住宅ローンや保険について質問すると、Tallyは「インターネット上の平均的な答え」ではなく、「長岡FP事務所が、その質問に対して何と答えてきたか」をもとに応答します。
業界に類例の少ないRAG型エージェント — なぜ他のFP事務所は作らなかったのか
冒頭で述べた通り、自社知見を組み込んだRAG型AIエージェントを公開しているFP事務所・保険代理店は、当社が確認した範囲ではほぼ存在しません。これには、構造的な理由があります。
RAG型のシステムを構築するには、ナレッジソースの整備、応答方針の言語化、複数のAI技術の組み合わせ、そして法務面の整備が必要です。外注すれば数百万円から数千万円規模の投資になり、当社のような小規模事業者には現実的ではありません。
加えて、最大の障壁は「自社知見を、AIが読める形で言語化する作業」です。これは外注では絶対にできません。20年の相談現場で何を見て、どう判断してきたか — それは長岡本人にしか書けないからです。
当社は、これをインハウスで構築しました。Tallyを構成するコードは、フロントエンドからAPIサーバー、応答方針を記述したシステム指示、ナレッジソースまで、合計で約5,800行に及びます。応答方針もナレッジソースもコードも、すべて当社のインハウスで書いています。
次のフェーズ:キャッシュフロー表の作成を、Tallyが担う未来へ
Tallyは現時点では、対話形式でお金や住宅に関する一般的な質問にお答えするエージェントです。しかし、当社が見据えている将来像は、もう一段階先にあります。
FP相談の中核業務のひとつに、「キャッシュフロー表の作成」があります。ご家族の収入、支出、貯蓄、住宅ローン、教育費、老後資金などを年単位で先まで並べ、家計の将来を見える化する作業です。一世帯分のキャッシュフロー表を作成するには、ヒアリングを含めて数時間を要するのが通常ですが、実際のところ市販のFPソフトや保険会社のライフプランシステムを利用して作成しているにすぎません。技術的には自動化することは容易であるものの、様々な思惑からFPが手計算することに価値があるという前提が存在してきました。
当社は、このキャッシュフロー表の作成を、Tallyが担えるようにする方向で開発を進めています。
将来的に、利用者は対話を通じて必要な情報をTallyに入力するだけで、ご自身のライフプランに応じたキャッシュフロー表を自動的に生成できるようになります。これは消費者にとって、FPに会わなければ作成できなかったはずの計算作業を、FPに依頼することなく、はるかに短時間で、そして無料で行えるようになることを意味します。
この変化は、FPの仕事のあり方そのものを変えます。
機械的な計算作業や、年単位の予測表を作る作業をTallyが引き受けることで、人間のFPは「その家庭が幸福を追求するための資金計画とは」「この選択は人生の優先順位として正しいのか」「プロからのアドバイス」といった、価値判断と思想に関わる対話に時間を集中できるようになります。
数字を並べる作業はAIでも可能ですが、その家族にとっての幸福、住宅購入、子供の進路、夫婦の関係、親の介護、これからの仕事、こうした人生の文脈を踏まえて「お金の使いどころ」を一緒に考える作業は、人間のFPにしかできません。
当社は、Tallyによって、キャッシュフロー表作成などの労働集約的な部分を自動化し、人間のFPは思想的な対話と価値判断のサポートに集中する、という業務構造への移行を見据えています。これは、独立系FPの提供価値を「もったいぶった計算代行」から「価値判断の伴走者」へと完全にシフトさせる動きでもあります。
なぜ自社開発したのか
当社は、迷わずインハウスでの開発を選びました。理由は3つあります。
第一に、思想を埋め込めるかどうか。「不安を煽らない」「特定の住宅メーカーや保険商品を推さない」「断定的な投資助言を避ける」「権威の振りかざしをしない」「業界の慣習や営業話法に流されない」「論理を装って感情に訴える詐欺的な話法を用いない」といった当社固有の応答方針を、文字通り何百行ものシステム指示として書き込むことは、外注では通常不可能です。当社の20年の蓄積を、当社自身の言葉で記述する必要がありました。
第二に、責任の所在を明確にするため。AIエージェントの応答に問題があった場合、その責任を取れる立場にいなければなりません。応答ロジック、ナレッジソース、応答方針のすべてを当社が把握・管理できる構造でなければ、利用者に対して誠実なサービスとは言えないと判断しました。
第三に、長期的な拡張性のため。金融・住宅業界は法令改正や市場環境の変化が頻繁に起こります。応答内容を即座にアップデートできる体制を、外部ベンダーに依存せずに持っておく必要があります。
法務面も整備:利用規約とプライバシーポリシーをAI運用に対応
Tallyの運用にあたり、当社は「対話型AIエージェント Tally 利用規約」を新たに制定し、プライバシーポリシーにもAI利用に関する条項を追加しました。特に重視したのは、以下の3点です。
- 利用者がTallyに個人情報を入力しないでいただきたいことの明示
- AI応答が代表社員・長岡理知本人の発言ではないことの明示
- 海外事業者への情報送信について、利用者の同意取得を明示
「AIで業務効率化」と謳う事業者の多くが、こうした法務面の整備を後回しにしています。当社は、利用者保護と事業者責任の観点から、サービス開始時点でこれらを整備したうえで公開しました。
Tallyができること、できないこと
Tallyは、以下の領域に関する一般的な情報・考え方の枠組みを提供します。
- 住宅購入の予算決定および住宅ローンの選び方
- 住宅の維持費、ランニングコスト、長期保有のリスクに関する考え方
- 生命保険・損害保険の必要性および保障額の考え方の枠組み
- 教育資金、老後資金、家計の見直しに関する考え方
- ライフプランニングの基本的な考え方
- 住宅メーカー選びの一般的な判断軸
一方、以下の事項についてはお答えしません。
- 個別の保険商品の比較・推奨
- 個別株、投資信託その他の投資商品の推奨および運用助言
- 個別の住宅メーカーの優劣判断
- 税理士・弁護士等の独占業務に該当する助言
- 個別の物件の購入可否判断
これらは「AIで答えるべきではない領域」だと当社は考えています。一般論としての枠組みはAIで効率的に提供できますが、個別具体的な判断は、有資格の専門家との対話を通じてしか到達できないものです。
代表社員・長岡理知のコメント
住宅専門FPとして約20年、5,000世帯を超えるご相談に対応してきた中で、ずっと感じてきた業界の課題があります。それは「FP相談という入り口の歪み」です。
ウェブで「FP相談」と検索して予約した方が、実際にFPに会うと保険営業マンであり、ネットでも手に入る一般論を説明しキャッシュフロー作っただけで、すぐに変額保険の勧誘が始まった、という経験をされた方がたくさんいらっしゃいます。本来、保険のご提案は、ライフプラン全体を見たうえでリスクヘッジが必要だと判断したときに行うものです。FP相談と称して保険勧誘が目的になると、消費者の方が得られる体験はまったく別物になります。
Tallyは、この課題に対する当社からの答えです。
「本物のFP相談」とはどういうものかを、Tallyとの対話を通じて事前に体験していただく場として機能します。Tallyは、当社の20年の蓄積を取り込んだ、汎用の生成AIとはまったく別物のエージェントです。
次のフェーズでは、キャッシュフロー表の作成をTallyが担えるようにしていきます。AI時代のFPの仕事は計算代行ではなく、価値判断の伴走です。AIにできることはAIに任せ、人間のFPは、本当に人間の力が必要な対話に集中するべきでしょう。
これを実現するために、私たちは外注ではなく、コードもナレッジソースも応答方針も、すべて自分たちの手で書きました。FPや保険業界で、自社知見を組み込んだRAG型AIを公開している事業者は、私の知る限り国内にはまだほとんど見当たりません。独立系FP事務所がAIをどう使うべきか、その一つの答えとして、業界の同業の皆さま、住宅メーカーの皆さま、メディアの皆さまにもご覧いただければ幸いです。
関連リンク
- サービスURL:https://nagaokafp.co.jp/tally-chat.html
- Tally利用規約:https://nagaokafp.co.jp/blog/tally-terms/
- プライバシーポリシー:https://nagaokafp.co.jp/privacy-policy/
会社概要
- 会社名
- 長岡FP事務所合同会社
- 代表者
- 代表社員 長岡 理知
- 所在地
- 〒104-0061 東京都中央区銀座1丁目15-4 ヒューリック銀座一丁目昭和通りビル7階
- 事業内容
- ファイナンシャルプランニング相談業務、保険募集業務、住宅ローン取次業務
- 代表・長岡理知の主な執筆媒体
- 幻冬舎ゴールドオンライン(連載中)、Yahoo!ニュース ほか
- 公式サイト
- https://nagaokafp.co.jp/
本件に関するお問い合わせ
- 会社名
- 長岡FP事務所合同会社
- 担当
- 代表社員 長岡 理知
- お問い合わせフォーム
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