マイホーム、特に戸建て住宅を購入するとき、多くの人は何にどのくらいのお金がかかるのか見当もつきません。
簡単に言うと、建物の建築費用、土地費用、そして諸経費に分類されますが、この諸経費が分かりづらく厄介です。
諸費用は原則的に住宅ローンを組めないという特徴があります。諸費用を住宅ローンに含めると金利が上がる住宅ローン商品も存在します。
この記事では、諸費用について内訳から具体的な金額の目安、土地購入特有の費用、そして賢く節約するためのテクニックまで解説します。
住宅購入は「物件価格+諸費用」で考える
まず大前提として、住宅購入に必要な総額は「物件価格+諸費用」で成り立っていることを強く認識しましょう。
諸費用とは?なぜ現金準備が必要なのか
諸費用とは、物件の本体価格とは別に、売買契約から登記、ローンの手続き、そして入居に至るまでの一連の流れの中で発生する費用の総称です。具体的には、税金、各種手数料、保険料などが含まれます。
これらの費用の最大の特徴は、原則として現金で支払う必要があるという点です。
住宅ローンはあくまで物件価格に対して組まれるもので、諸費用はローン対象外と考えるのが原則です。諸費用は「諸費用ローン」を別途借りる必要があるのです。
しかし諸費用を住宅ローンに含めることが出来る銀行も、ネット銀行や地方銀行を中心に存在します。フラット35では諸費用分10%を除く90%までしか融資されませんが、追加の金利を払うのであれば100%の融資が可能です。
しかし実際のところ、諸費用まで住宅ローンに含める、いわゆる「フルローン」は将来のリスクが大きくなります。担保価値の低い地方の物件では、ネット銀行で借換えができないなどの不利益が隠れているのです。
そのため、最低限でも諸費用分は自己資金として用意しておくことが鉄則です。目安としては500万円程度は現金を準備してください。
【物件種別】諸費用の目安はいくら?
では、諸費用は一体どのくらい準備すれば良いのでしょうか。購入する物件の種類や価格によって変動しますが、一般的な目安は、
物件価格の6%~10%
です。
例えば、4,500万円の中古一戸建てを購入する場合、その6~10%にあたる270万円~450万円程度の諸費用がかかる可能性があります。特に中古物件や土地の購入では、不動産会社への「仲介手数料」が発生するため、新築マンションなどに比べて諸費用の割合が高くなる傾向があります。
住宅購入の諸費用一覧【保存版】
まずは全体像を掴むために、主な諸費用を一覧表にまとめました。ご自身のケースでどの費用が必要になるか、チェックしながらご覧ください。
(スマートフォンの場合は横にスクロールできます。)
| 費用の大分類 | 費用の種類 | 内容 | 費用の目安 | 支払うタイミング |
| 税金 | 印紙税 | 不動産売買契約書・ローン契約書に貼付する印紙代 | 1万円~6万円(契約金額による) | 契約時 |
| 登録免許税 | 所有権の登記、抵当権設定登記にかかる税金 | 固定資産税評価額 × 0.1%~2% | 残金決済・引渡し時 | |
| 不動産取得税 | 不動産取得時に一度だけかかる都道府県税 | 固定資産税評価額 × 3%(軽減措置あり) | 入居後半年~1年 | |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年1月1日時点の所有者にかかる市区町村税 | 固定資産税評価額 × 1.7%(標準税率) | 購入初年度は日割り精算 | |
| ローン関連 | 事務手数料 | 金融機関に支払うローン手続きの手数料 | 定額型:3万円~10万円 / 定率型:借入額×2.2%など | ローン契約時 |
| ローン保証料 | 返済不能時に備え保証会社に支払う費用 | 借入額と期間により数十万円~(金利上乗せ型もあり) | ローン契約時 | |
| 団体信用生命保険料 | 契約者の死亡・高度障害時にローンを弁済する保険料 | 金利に含まれることが多い(フラット35は別途) | ローン契約時 | |
| 火災保険料・地震保険料 | 災害から建物を守るための保険料 | 10万円~50万円(構造・補償内容・期間による) | 残金決済・引渡しまで | |
| 専門家への報酬 | 仲介手数料 | 不動産会社の仲介に対する成功報酬 | (売買価格×3%+6万円)+消費税が上限 | 売買契約時と引渡し時に半金ずつ |
| 司法書士報酬 | 登記手続きを代行する司法書士への報酬 | 5万円~15万円程度 | 残金決済・引渡し時 | |
| 土地・注文住宅 | 地盤調査・改良費用 | 土地の強度調査と、必要に応じた補強工事費用 | 調査:5~10万円 / 改良:30~150万円以上 | 建築工事前 |
| 上下水道・ガス引込工事 | 敷地内にインフラを引き込む工事費用 | 50万円~150万円程度(状況による) | 建築工事前 | |
| 建築確認申請費用 | 建築計画の適法性を確認する申請費用 | 20万円~30万円程度 | 建築工事前 | |
| その他 | 手付金 | 売買契約時に支払う代金の一部 | 物件価格の5~10% | 売買契約時 |
| 引っ越し費用 | 荷物の運搬費用 | 5万円~20万円(時期・荷物量による) | 引っ越し時 | |
| 家具・家電購入費 | カーテン、照明、エアコン、家具などの購入費 | 50万円~100万円以上 | 入居前後 |
【内訳を徹底解説①】税金関連の費用
それでは各項目をさらに詳しく見ていきましょう。まずは避けては通れない税金です。
印紙税・・・契約書に貼る印紙代
不動産売買契約書や住宅ローン契約書(金銭消費貸借契約書)は課税文書にあたり、契約金額に応じた収入印紙を貼付して納税します。 2027年3月31日までは軽減措置が適用されます。
- 契約金額 1,000万円超 5,000万円以下→1万円(本則2万円)
- 契約金額 5,000万円超 1億円以下→3万円(本則6万円)
契約書を作ると課税されるというのは、知らない人にとっては驚きポイントです。
登録免許税・・・権利を守るための登記費用
購入した不動産が自分の所有物であることを法的に証明するため、「所有権登記」を行います。また、住宅ローンを組む際は、金融機関が不動産を担保に取るための「抵当権設定登記」も必要です。
この登記手続きの際に納めるのが登録免許税です。税額は不動産の固定資産税評価額に税率をかけて算出します。
現在は軽減措置が適用され、安くなっています。
| 登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 | 軽減措置の適用期限 |
| 土地の売買による所有権移転登記 | 2.0% | 1.5% | 2026年3月31日 |
| 建物の所有権保存登記(新築) | 0.4% | 0.15% | 2027年3月31日 |
| 建物の所有権移転登記(中古) | 2.0% | 0.3% | 2027年3月31日 |
| 住宅ローンの抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% | 2027年3月31日 |
これらの軽減措置を受けるには、床面積が50㎡以上であることなど、一定の要件を満たす必要があります。
不動産取得税・・・購入後に一度だけかかる税金
不動産を取得したことに対して一度だけ課される税金です。
入居から半年~1年後に都道府県から納税通知書が届くため、計画的に資金を確保しておく必要があります。 原則の計算式は「固定資産税評価額 × 3%」ですが、住宅の場合は大幅な軽減措置があります。
- 建物の軽減 評価額から最大1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)を控除
- 土地の軽減 次の①か②の多い方の額が税額から減額される
- 45,000円
- (土地1㎡あたりの評価額 × 1/2)×(建物の課税床面積 × 2)× 3%
多くの場合、この軽減措置を適用すれば、税額がゼロか数万円程度に収まります。ただし、軽減措置の適用には、原則として都道府県税事務所への申告が必要です。
固定資産税・都市計画税・・・毎年かかる税金
毎年1月1日時点の所有者に課税される市区町村税です。
自動車税と同じく、所有するだけで毎年課税され、その額は土地と建物の評価額に応じて変動します。住宅の維持費として毎年の支出計画に組み込んでおく必要があります。
固定資産の課税標準額には、免税点という課税するための最低限度額があります。課税標準額の合計が、土地は30万円未満、家屋は20万円未満の場合は課税されません。土地の価値がほとんどない僻地にある古い建物を所有している場合は固定資産税は必要ありませんが、極めて稀でしょう。
新築住宅の場合、床面積などの要件を満たせば、一戸建ては3年間、マンションは5年間、固定資産税が2分の1に減額される減税措置があります。
【内訳を徹底解説②】住宅ローン関連の費用
住宅ローンを利用する際に発生する費用です。金融機関によって大きくことなるので、住宅ローン選びには準ようなポイントです。
事務手数料・・・「定額型」と「定率型」どちらを選ぶ?
金融機関に支払う手数料です。大きく2つのタイプがあります。
- 定額型 借入額にかかわらず、3万円~10万円程度の固定で支払うパターン。金利は定率型に比べてやや高めに設定されていることが多いです。
- 定率型 「借入額 × 2.2%(税込)」のように、借入額に比例して手数料が決まる。金利は低めに設定されていることが多いですが、借入額が大きいと手数料も高額になります。
例えば4,000万円を借りる場合、定率型の手数料は88万円になります。しかし目先の金利のだけでなく、総支払額で比較検討することが重要です。2.2%の手数料を支払っても、総支払額は安くなることもあります。
ローン保証料・・・保証会社に支払う保険料
万が一返済が滞った場合に、保証会社に代位弁済してもらうための費用です。
誤解があるポイントですが、代位弁済してもらったあとは、保証会社に一括返済する必要があります。返済が免除される意味ではありません。銀行に迷惑をかけないための費用と考えてください。代位弁済されたあと、多くの場合は自己破産へと進みます。
保証料の支払い方法には、ローン実行時に一括で支払う「一括前払い型」と、毎月の返済金利に0.05~1%程度上乗せして支払う「金利上乗せ型」があります。上乗せの金利に幅があるのは、融資を受ける人の信用度の判断です。
最近では、ネット銀行などを中心に保証料無料の金融機関も増えていますが、その分、事務手数料が定率型で高めに設定されていることが多いです。
団体信用生命保険(団信)料・・・金利に含まれる
契約者に死亡・高度障害といった不測の事態が起きた際、ローン残高がゼロになる生命保険です。
民間の金融機関では加入が必須で、保険料は金利に含まれていることがほとんどです。 近年は、がんと診断されたら残高がゼロになる「がん団信」や、3大疾病・8大疾病に対応する特約付きの団信も増えています。これらは金利に0.1%~0.3%程度上乗せされるのが一般的です。
そのため諸費用として保険料を支払っている感覚が乏しいでしょう。
火災保険料・地震保険料・・・最大5年ごとに更新する
ローンを組む際、火災保険に加入し、金融機関に控えを提出する必要があります。
金融機関で進められた火災保険に加入するか、住宅メーカーやFPに依頼にして加入するか、自分でネットなどで加入するか、自由に決められます。
新築の場合、5年一括での契約にすることが多いです。一括払いで15万円~30万円程度になります。建物が古くなるほど掛け金は高くなっていきます。
中古の場合、1981年6月以前に建築された建物は火災保険に加入できない保険会社がほとんどです。一部加入できる保険会社もありますが、かけ金は高額です。
かけ金は建物の構造、所在地、補償内容、保険期間によって大きく変わります。地震による損害は火災保険の対象外のため、別途「地震保険」に加入する必要があります。
保障内容は保険会社によってほとんど同じですが、ユニークな特約が用意されている保険会社もあります。
【内訳を徹底解説③】不動産会社や専門家への報酬
仲介手数料・・・諸費用の中でも高額な項目
中古物件や土地などを不動産会社の仲介で購入した場合に支払う成功報酬です。法律で上限が定められており、速算式は以下の通りです。
(売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税
4,500万円の物件なら、上限は「4500万×3%+6万」で141万円、これに消費税を加えて約155万円となります。諸費用の中でも特に大きな割合を占める費用です。
司法書士・土地家屋調査士への報酬
複雑な登記手続きを代行してもらう専門家への報酬です。
所有権移転や抵当権設定は司法書士、新築時の建物表題登記は土地家屋調査士が担当します。報酬額は依頼する事務所や手続きの難易度によりますが、合計で10万円~20万円程度が一般的です。
【土地込みの注文住宅】特有の諸費用
土地を購入して家を新築する場合、建売やマンション購入にはない特有の費用が発生します。これらは見落としがちなので特に注意が必要です。
地盤調査・改良費用
安全な家を建てるには、土地の強度が十分でなければなりません。その強度を調べるのが地盤調査(費用5~10万円)です。
調査の結果、地盤が軟弱だと判定された場合は、地盤改良工事が必要となり、30万円~150万円と考えておきましょう。
傾斜地など、地形によっては造成工事が必要となり、さらに追加費用が発生します。造成工事も含めると500万円以上になることも珍しくありません。
上下水道・ガスの引き込み工事費用と水道加入金
前面道路に埋設されている本管から、敷地内まで上下水道管やガス管を引き込む工事です。引き込む距離や道路の状況によって費用は大きく変動し、合計で100万円前後かかることも珍しくありません。
また、新たに水道を利用する際には、自治体に対して「水道加入金(水道施設負担金)」を支払う必要があり、これも10万円~30万円程度かかります。
建築確認申請費用
建物の設計図が建築基準法に適合しているか審査を受けるための「建築確認申請」に20~30万円程度の費用がかかります。
その他(測量費用、古家解体費用など)
隣地との境界が確定していない土地の場合、正確な面積や境界線を確定させるための「確定測量費用」(30万円~80万円程度)が必要になることがあります。
また、「古家付き土地」を購入して新築する場合や、建て替えの場合は、既存の建物の解体費用も必要です。坪単価5万円~7万円程度必要で、35坪の建物を解体した場合は200万円前後が目安です。
知らなきゃ損!諸費用を賢く節約する6つのテクニック
最後に、諸費用を節約するテクニックを紹介します。
テクニック① 仲介手数料の交渉や割引を検討する
上限額が定められているだけで、値引きが禁止されているわけではありません。交渉の余地があるか、あるいは割引キャンペーンを行っている不動産会社を探すのも一つの手です。
テクニック② 住宅ローンは総支払額で比較する
目先の金利だけでなく、事務手数料や保証料を含めた「総支払額」で比較しましょう。複数の金融機関に事前審査を申し込み、最も条件の良いものを選ぶのが基本です。
金利の今後の動向も考慮しましょう。変動金利は今後上昇することが既定路線です。目先では金利が高いフラット35を利用することで、一生での総支払額はむしろ安く抑えられる可能性があります。
テクニック③ 火災保険は相見積もりで
住宅メーカーや金融機関で進められる火災保険に安易に加入せず、複数の保険会社から見積もりを取りましょう。不必要な保障を削ることで保険料を抑えられます。
高台にある土地で、近隣に用水路や川がなく、地形的に大雨でも沼のようにならないと判断すれば、水災の保障を削ることも検討できます。水災を外せば掛け金は大幅に安くなります。
テクニック⑤ 各種税金の軽減措置をフル活用する
不動産取得税や登録免許税の軽減措置は、申告しなければ適用されません。要件を確認し、忘れずに手続きを行いましょう。
テクニック⑥ 引っ越し時期や業者選びを工夫する
引っ越し料金は、3~4月の繁忙期を避け、平日に設定するだけで安くなります。住宅の引き渡し時期から逆算して住宅メーカーと契約することもコツです。
自分自身で引っ越し作業をすると考える方も大勢いますが、新居を傷つける恐れもあるのでプロに任せた方が無難です。
【重要】最大の節税策「住宅ローン控除」を理解しよう
諸費用の節約とは少し異なりますが、住宅購入における最大の経済的メリットが「住宅ローン控除(減税)」です。
住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、年末のローン残高の0.7%が、最大13年間にわたって所得税(および一部住民税)から控除される制度です。これは非常に大きな節税効果をもたらします。
控除額の計算方法と最新の制度内容
例えば、年末のローン残高が4,000万円の場合、その0.7%である28万円がその年の所得税から直接差し引かれます(控除額には上限あり)。制度内容は頻繁に改正されます。2024年以降に入居する場合、子育て世帯や若者夫婦世帯への優遇措置が設けられる一方で、省エネ基準を満たさない住宅は対象外となるなど、注意が必要です。必ず最新の制度内容を国税庁のホームページなどで確認しましょう。
諸費用はできる限り現金で用意してください
これらの諸費用は、原則的に現金で用意すべきものです。
諸費用を含めたフルローンも可能ですが、将来の借換え時に融資審査がNGになってしまうこともあります。土地と建物の担保価値よりも、借入金額が数百万円分多くなるため、担保割れという現象が起きるのです。担保価値が十分でないと、特にネット系銀行は融資をしません。
他にも金利が高くなる、保証料が高くなる、団信の上乗せ分の利息が高くなるなどのデメリットが多すぎます。
家を買う時にはまずは自己資金を500万円程度貯めることを目標にしましょう。


























